出戻り賢者の奮闘記～異世界から出戻った幼女の賢者はひらがなの勉強を始めます～

第20話・大賢者の別荘 part2

「ねえ、ちょっと魔法を使ってもいい?」

　説教された直後で言いづらかったけど、お披露目したかったので素直に切り出すことにした。

「まあ人とか物とか家とかに危害がないならいいよ。」

「OK。」

　許可が出たので訓練に使うアレを召喚する。アレの姿を想像して軽く念じるとかかしが出てきた。

「え、これなに?」

「ダメージ量とか効果をわかりやすくしてくれるかかしだよ。」

「こんなものがあったの?」

「うん、ローレンス様が生きてた当時から使ってたよ。」

「あ、ローレンスでいいよ。」

　いや、無理だよ。推しを呼び捨てにするとかハードルが高すぎる。それこそ心臓が破裂しそうな思いをするから普通に様呼びでいいです。

「じゃあ、ローレンスさんでどうかな?」

「････わかりました。」

　まあ呼び名の話はあとで掘り返すとして本来の目的を果たそう。

「爆発」

　詠唱をしたあとそう言うとすさまじい爆発が起こる。まあ、実母を倒したときほどではないけど。

「え、威力高くない?」

「高いよ。」

「すごい、すごいよ!」

「まあこれで人を傷つけたら傷害罪あたりが成立しそうではあるけど。」

「････まあそれはそうだね。脅しぐらいになら使えそうだけど。」

「それに全属性扱えるようになったし各種状態異常も扱えるようになったよ!」

「状態異常は････麻痺とかは使えそうだね。」

「そうだね、拘束力があるからね。」

「しかし俺はあの世界でもできなかったのにすごいな。」

「まあ何回もやってるからね。」

「そういえば自称実母だっけ?そっちはどうなったの?」

「うん、倒したよ。特大ティポバを限界突破してくらわせたからさすがのあの女でも死んだと思う。」

「それは････死んでそうだね。」

　ちなみにティポバは爆発魔法の中でも一番威力が強い魔法だ。攻撃魔法を極めると最終的にこの魔法に到達する。それぐらい威力も放ちやすさも申し分なしな魔法なのだ。

　限界突破というのは”ダメージの限界を超えたダメージを限界突破することでダメージの限界をなくす”というアビリティだ。つまりダメージの限界を超えていないと意味がないアビリティなのだが、魔法を使っていると簡単にダメージの限界にたどり着くのでここぞというときに起動したりする。

　あと特大の意味はただでさえ魔力が高い状態なところを意思を強めることでこれ以上ない高い威力になるということだ。私がこの三つをそろえると敵が簡単に殲滅することだろう。

「せっかくだから別荘を探検しない?」

「いいね!」

　話をそらされた気がするがある意味重い話だしものすごくいい提案なので乗ることにした。

　別荘を探検していたらさっき案内していた女の子に話しかけられた。

「玲香様、あたし川口理沙っていうの!よろしくね!」

「私の名前は久保山玲香って言います。よろしくね。」

「玲香様、私のお友達になって!」

「ええ、いいわよ。」

　理沙ちゃんとは大変可愛らしい。それにちょっと海外風の名前だな。これはこれで可愛らしいと思う。まあ、肉体年齢の差も相まってこの中で一番身長が低いけど。早く身長伸びないかな････。

「玲香様はいつも何してるの?」

「お勉強ですわ。」

　まあ、間違ってはいない。魔法の練習や魔法理論を学ぶことも別世界では魔法の勉強だ。それに日本語の勉強は続行してるし。

「何の勉強をしてるの?」

「国語、ですわ。」

「得意なの?」

「････まあ得意ではないですわね。」

「そっか。で、一緒にキッチンに潜入しない?」

「いいでしょう、やりますわ!」

　この世界のキッチンに入るのは初めてだ。やっぱりハイテクなものがいっぱいあるのかな?見てみたいな!

　キッチンに移動した。

「わあ････!」

　なんでつまみをひねったら火が出るのだろうか。火属性魔法の魔道具が下にあってつまみをひねることでMPがあふれて着火してるのかな?でも、そうしたらMPの元はどこなの?

「なんかすごい勘違いしてる気がするけど、この世界に魔法を使ったものはないからね?」

「魔法じゃなかったら何なの?」

「ガスを燃やしてるの。」

「なるほど････。」

　確かに燃料となるガスがあれば可能だろう。

「玲香様、何しゃべってるの?」

「生活のお勉強ですわよ。」

「何か面白いところってあったっけ････?」

　そりゃあこれが当たり前になってる現代日本の子供にとっては面白いところはないかもしれないが、私にとっては大発見だよ。だってつまみをひねったら火が出てくるとか別世界にはないもん。

「理沙、勝手に入らない!」

「なんでよ、ノックしても許可出さないじゃん!」

「入っちゃいけないからだよ、とにかく出てって!」

　私たちもろとも追い出されてしまった。

「理沙ちゃん、入っちゃいけない場所だったの?」

「････まあね、別の場所を周ろう。」

　どうやら入ってはいけない場所だったようだ。私たちは別の場所を周ることにした。

　あとがき

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