第19話・大賢者の別荘 part1

 別荘旅行の当日になった。ちなみに荷造りの時にすごく手こずったのだがその時の語りはまた今度にしておこう。

 どうやら車に乗っていくらしい。時間はどれぐらいかかるかと聞いたら「2時間半ぐらい」って言ってたけどここからカルイザワという町まで200kmキロメートル以上あるって玲仁君が言ってたけどいくら車が早いからってそんなに早く着くものなのかな?って思ってたんだけど・・・・。

「なにこれ早い!」

 ほぼバスみたいな大きな車を運転している運転手がどこか変なゲートに入っていくかと思ったらものすごい速さで走る車にすごくびっくりしている。

 なにこれ最初に車っていう乗り物に乗ったときより速いし、信号とやらがない。

「もしかしてこの道路には生身の人間がいない?」

「よく気づいたね。正確に言えば歩行者っていうんだけど、歩行者がいないから速度を出せるんだ。」

「えへへ」

 隣にいる推しに褒められて私の機嫌とテンションは急上昇する。これも子供扱いされてるからなんだろうしいつも褒めてくれるけどやっぱりうれしい。

 なんで玲仁君が隣にいるかというと私の要望で席を隣にしてもらった。だって推しと会話できるとか最高じゃん、とは言ってないけど緊張がほぐれるとか適当な理由をつけてごり押しした。

「それで、ティポタを使えるようになったの?」

「うん、使えたよ!やっぱり最終到着点の魔法は必要よね!」

「すごいね!」

「まあ、魔法理論がわかったらすぐなんだけどね。」

「それでも俺は使えないからあこがれるよ。」

 ここで言うティポタは爆発を起こす魔法で、無属性魔法なことから”最終到着点”とか”末路”みたいな意味もあったりする。実際に無属性魔法は誰にでも効くし慣れたらすごく簡単だから魔法アタッカーの使う魔法の”最終到着点”なのだ。

「魔法理論とか前世で教えられたけどさっぱりわからなかったよ。最近気づいたんだけど俺にとって物理アタッカーっていうのは一番向いてるのかもな。」

「まあ、あれ難しいからね。私だって最初に魔法理論を学んだときはすごい何回も聞き返して復習してた記憶があるわ。」

「玲香様でも難しいものは難しいのですね!」

「当たり前よ、なんでもできたらそれは人間じゃないわ。」

「そうだよね。」

 玲仁君とは前世で会ったことがあるからか戦闘関係の話もできるし話題が尽きない。私だって可愛らしくて強い玲仁君と話してるとすごく楽しいしかっこよく感じる。

 玲仁君と話していたらいつの間にかものすごいスピードで走っている車も気にならなくなっていった。


 車に揺られて二時間半、ようやく別荘についた。玲仁君と話していると不思議とあっという間だった。

 そして車から降りたときに見た豪邸にすごくびっくりした。だって本邸と同じぐらいかそれ以上の広さだよ?いくら生きてきた社会が貴族社会が多かったってびっくりするのは当然なぐらい大きいし広そう。

「じゃあ、入ろう!」

「うん!」


 中に入ってもものすごく広い。特にびっくりしたのは中に入った瞬間にお出迎えしている人がいたからだ。

 三十代後半の夫婦と7歳ぐらいの女の子の三人家族で、別荘に入った瞬間お辞儀してきた。

「「「ごゆっくりお楽しみください。」」」

 あとで聞いた話だけど、この屋敷は久保山一家の別荘ではあるけど、普段はホテルとして宿泊客をもてなしているそうだ。チップも払ってないのにいい態度をするのが不思議で仕方なかったが、一旦無視することにした。

「じゃあ、部屋にご案内しますね!」

 7歳ぐらいの女の子がご案内してくださるようだ。お言葉に甘えてついていくことにした。


「こちらです!」

 可愛らしい女の子にご案内されてたどり着いたのがツインの部屋。

「で、俺の部屋はどこですか?」

「こちらです!」

「え、一緒?」

「うん、そう聞いてますよ!部屋のシステムを話しますね!」

「玲香。」

「ひゃい!」

 呼び捨てとか最高か!それがたとえ怒りを含んだ呼び捨てだったとしても私は一向にかまわないしなんなら普段も呼び捨てにしてほしい!

「あとで聞かせて?」

「う、うん!」

 女の子が持ってるスマホみたいなものをドアノブの下の黒いところにかざすと電子音が鳴って扉が開いた。

「わあ!」

 これにはどういう魔法がかかっているのだろうか?ものすごく解析したい。

 部屋の中に入ると綺麗な青色の壁紙が貼ってある広い部屋になっていた。それにテレビと言われるものもおいてあるし、いつもより広いベッドが一つといつもと同じぐらいのベッドが一つある。

「これは”ホテルスマホ”と呼ばれる久保山財閥独自の機能です。」

 どうやらこれはさっきみたいに部屋の鍵に使えるほか、ホテルの人を呼ぶ、近くの観光地の案内をするなどができるらしい。なんかこれすごいハイテクだ。

「では、ごゆっくりお楽しみください!」

「はい!」

 あの女の子はすごいな、7歳で敬語を使って。特大ブーメランかもしれないけど私が実年齢7歳のときにあんなに敬語が使えてたかというと自信がない。

「で、玲香。」

「ひゃ、ひゃい!」

「なんでツインにしたの?」

「少しでも長く一緒にいたい所存で!」

「じゃあ、部屋を隣同士にするとかもっと方法はあったよね?」

「お互い子供だから大丈夫だと思ったのでございます!」

「いや、中身大人なんだからよくないよね?」

「・・・・」

 本当にその通りだ。いくら見た目が子供だからって中身が大人なんだからもうちょっと規制するべきだったか。

「そう思ってたことはうれしいけど次からは気を付けてね?」

「はい・・・・!」

 一緒にいててうれしいとか言われちゃった!ローレンス様、今世でも一生ついていきます!

 話がひと段落ついたと思った私はこの世界でできるようになった魔法をお披露目することにした。


 あとがき

 更新が遅れてしまい申し訳ございません。何度も言っていますがよかったら応援や★をつける、レビューなどお願いいたします。

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