第17話・大賢者の服
「服はいらないの?」
「いらないよ。」
そう話している今は休日の朝の着替えだ。でも、正直服とか何着もいらないんだよね。だって私が持ってる薄い青紫色のワンピースって成長と共に服も大きくなる魔法がかかってるし、その副作用で服に回復魔法をかけたら傷が治るし、着心地がいいから文句ないし。
「その服もそろそろ小さいんじゃない?」
「まだまだ着れるって。」
「・・・・服、買いに行きましょう?」
「・・・・わかった。」
お母様の無言の圧力で私はうなずいた。よし、服を買いにいこう!
いつの間にかお父様もついてきて三人で私の服選びです。
それにしても、カジュアルな服の専門チェーン店らしいけど、色とりどりの服がたくさんあってやっぱりこの国豊かなんだなって思うよ。
「この服とかいいんじゃない?」
「・・・・これ着るなら下にズボン履きたい。」
選ばれたのは薄いピンク色のワンピースなんだけど・・・・スカートの丈が短いんだよ。明らかに膝よりは上のやつ。そもそも私がもともと着ていたワンピースは戦闘服だからっていうのもあるけど丈もすねぐらいまであるし、下にズボンを着てるから気にならないんだよ。さすがにこれははしたない。
「え、かわいいからいいじゃん!」
「よくないって!これはちょっと間違ったらパンツ見えると思うよ?」
「・・・・・・・・」
今の言葉ってそんなにダメージくらうような内容だった?よくわかんないや。それにパンツ見えること考えてなかったの?
「これとかいいな。」
私が選んだのはピンク色のひらひらしたワンピースだった。丈は膝のすぐ下ぐらいだからそこまで気にならないと思う。
「この下に黒いズボンをはきたい。」
「ズボンはいらなくない?」
「うーん・・・・」
正直下にズボンをはいてた理由ってパンチラとかに気を配る余裕がないからなんだよね。だから現代日本ではパンチラとか気にする余裕があるって考えればいい気がする。
「じゃあ、明日からそうしてみるよ。」
「本当!?」
「それでパンツ見えるようだったら考え直すけど。」
「そっか・・・・」
「で、これとかどうかな?」
実際にやってみると服を選ぶのって楽しいな。別世界でキャッキャ言って服を選んでる人を見て”服何着かでそんなに盛り上がるものなの?”って思ってたけどこれは楽しい。確かに盛り上がると思う。
結局買った服の枚数は10枚を超えた。いずれもシャツとスカートとワンピースは薄い色の服でそろえてズボンは黒い色でそろえている。私自身が薄い色の服が大好きだからっていうのが一番大きいかな。それに髪色が黒だから白系の色は綺麗に見えるのもある。
魔法をかけるかは迷ったけどやっぱり長く使いたいから帰ったらかけようかな。詠唱の翻訳を頭でこなしておこう。
「玲香、帰ったら着てみない?」
「うん!」
@***@
「どう?おかしくない?」
「かわいいよ!天使みたい!」
「ありがとうね!」
祐奈社長と佑太副社長と玲香ちゃんが帰ってきたと思ったら玲香ちゃんが着替えて俺玲仁に見せに来てくれた。
濡れ羽色の髪をピンク色のリボンでハーフアップにしてピンク色で前身頃と袖の間のところにフリルがついたシンプルなワンピースを身にまとい、膝よりしたを露出させた玲香ちゃんがかわいかったのでそう素直に言った。
「装備品はいいの?」
「現代日本で襲ってくるやつはほとんどいないからいいや。人間の攻撃なら多分かわせるだろうし。」
ちょっと発言が魔族っぽいけど彼女は人間です。人間のはずです。たまに人間だと思えないほど強い魔法を繰り出しますが人間のはずです。
「そうなの?玲香ちゃんがそうならいいんだけどさ。」
「まあ長く着たいし魔法はかけようと思うよ。」
・・・・服にかける魔法ってあるのか?まあ玲香ちゃんがいうのならあるのだろう。納得することにした。
「じゃあお父様とお母様にも見せてくるわね。」
「OK、バイバイ!」
「また後でね!」
少なくとも18年は立ってるはずなのに玲香ちゃんは元気できれいだな。俺はそう思ったのだった。
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