第16話・大企業の社長の考え

 今の状態は明らかにおかしいことはわかる。でも、原因がわからない。プライベートで私が悩んでることは一つ。

 ”玲香の出生”だ。

 久保山玲香。テーブルの向かい側にいる4歳ぐらいの女の子だ。濡れ羽色の髪は家で手入れしてきたからか非常に美しく、濡れ羽色の瞳は数えきれないほどの光が入り、神秘的なものを感じさせる。真っ白な肌はなぜか数えきれないほどの傷があったが現在は完治したらしく傷一つなく美しい。玲香から発せられる小さい女の子の声は高くて可愛らしい。そして、玲香の顔立ちはどこか外国人、いやの神秘さと美しさを感じさせるのだ。

 私と夫の佑太と玲香は引き取る前にも何回か会ったことがあった。その時に最後に会ったときにも玲香は”あ”とか”う”とかぐらいしか言ってない二歳児だった。

 玲香と話しているうちに私は引き取る決意をしたときのことを思い出した。


 休日の朝に起きた瞬間、私の頭の中に”予感”がよぎった。

 ”今すぐ玲香ちゃんのところにいかないと玲香ちゃんが死ぬ”という予感が。

 昔から私は人のピンチを予言するような”予感”がよぎることがある。人のピンチがなかったのでしばらくは”予感”は発動してなかったが、久しぶりに発動してしまってすぐに佑太に話した。

「佑太、玲香ちゃんが死にそうだって。」

「そうなの!?すぐに玲香ちゃんが住んでる家に向かおう!」

 佑太もこの”予感”に何回も助けられている。だからこそ佑太は私の言葉を信用してすぐに対応したのだろう。正直に言うとものすごく不安だった。玲香ちゃんが住んでる家に向かっても玲香ちゃんが救えるとは限らないのに、義姉が原因だったら私たちには児童相談所に通報する以外には何もできないのに。

 そう思ってもなるべく不安に押しつぶされないように努めた。だって玲香ちゃんはこれの何倍、いや何十倍もの不安を抱えてるはずだから。私が不安に押しつぶされていたら救えるものも救えないと思って佑太にも努めて明るく話していた。

 玲香ちゃんが住んでる家について焼け石に水だとしてもチャイムを鳴らした。そしたら、玲香ちゃんが出てきたのだ。奇跡だと思った。このまま養子にしてしまえば保護できる。そう思った。でも、そうするには多大な問題があった。

「こんにちは。」

 そう話しかけても玲香ちゃんは戸惑いの顔を浮かべるだけだった。グサッと来たが、次に玲香ちゃんが話した言葉でそんな場合じゃないと気づいた。

「#%@。(こんにちは。)」

 玲香ちゃんが発した言葉は日本語になってない声だった。あたかも別の言語を話しているかのような態度だった。直感的に感じたのは”この世界の言語ではない”ことだった。今思えば「だったらどこで使われてるんだよ(笑)」ぐらいは突っ込むと思うけど。

「もう大丈夫だよ。」

 佑太が気をきかせて玲香ちゃんに話しかけてくれたが・・・・多分伝わってない。言葉は伝わらなくてもニュアンスは伝わってると信じて私も日本語を発した。

「こっちにきて!」

 手をつないで軽く引っ張ると玲香ちゃんもついてきてくれるようだった。こうして保護に成功したが、言葉は全く通じなかった。どこからか通訳兼教育係を連れてこないとと思っていた。

 そんなときだろうか。玲香が玲仁君を連れてきたのは。とはいえ探していたハウスキーパーさんから聞いたんだけど。

「本人に会うことはできませんか?」

「できると思いますが・・・・子供なので、働かせることを考えてはダメですよ。」

「わかってますよ。」

 正直、お小遣い渡してこの家に住んでもらえないかと思ってたのだがそれはもう働いていることになってしまう。久しぶりにぐぬぬって気持ちになった。

 しかし、玲香の言語を理解できるのは彼しかいない気がする。やがて連れてきた男の子と話をすることにした。

「玲仁君、お願いがあるんだけど、いいかな?」

「いいですよ。」

「玲香ちゃんに勉強を教えることと玲香ちゃんが言ってることを通訳することはできないかな?」

「できますよ。」

「玲香ちゃんに日本語を教えてくれない?報酬は渡すから。」

「いくら渡してくれるんですか?」

「そうね・・・・毎月500円あればいいかな?」

「いいですよ!何買おうかな!よければここに住むことはできませんか?」

「・・・・できるけど、いいの?」

「いいですよ。思い入れはないので。」

「・・・・そっか。玲仁君、お父さんとお母さんの連絡先とか知らない?」

「後見人の電話番号なら知ってはいます。」

 玲仁君の言い方に違和感を感じた。お父さんとかお母さんっていうはずなのに”後見人”って言うってことは玲仁君のお父さんとお母さんはこの世にいないのだろうか?

とりあえず電話番号を教えてもらったので電話をかけてみる。・・・・我ながら図々しいお願いをしてることを自覚していた。

「突然かけてしまい申し訳ございません、わたくし久保山祐奈と申します。」

『え、社長!?火山豪太です!』

 なんと驚くことに玲仁君の後見人(?)は久保山財閥の子会社の社長だったようだ。これを聞いたときはすごくびっくりした。

「突然申し上げますが、お宅の息子さんの玲仁君がわたくしの家に住みたがってまして・・・・少しの間でいいので預かることはできますか?」

『ええ、全く問題ございませんよ。すみません、社長にご迷惑をかけて。』

「いえ、大丈夫です。では、失礼しました。」

 よし、許可がとれた。正直すごく安心した。だって玲香ちゃんとは全く言葉が通じないし、通訳と教育係がいないと玲香の意思が聞き取れないことがちょっと怖かったんだよね。本当によかった。

 こうして玲仁君が教育を教えてくれることになったので今玲香がかなり日本語を話せるようになっている。さすがに言葉が丁寧すぎるが。

 玲香の出生に関しては全くわからないが、とりあえず今は幸せでいてくれればそれでいい。そう思うがやっぱり気になる。結果的に悩み続けるのだった。

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