第14話・大賢者はひらがなを見(つけ)る
「玲香ちゃん、絵本を読まない?」
「へ?」
今さら絵本とか興味ないよ?多分今の私の顔は驚きと戸惑いと困惑が混ざった顔をしてると思う。
「そんな顔しないでよ。いや、祐奈さんからご命令が下っちゃって。」
「お母様が?どういうことなの?」
ちなみにお父様もお母様も朝に私が出かける前に出かけて帰ってくるころには私は寝る時間になっている。幼児に絵本を読ませてあげられないとかそういう思考から下った命令なのだろうが、今さら絵本なんか読まない。別世界で読むものと言えば魔法理論関係の本が多かったし、この世界はというと・・・・
「私、まだこの世界の文字読めないよね?」
そう、そうなのだ。周りの大人の人も玲仁君もみんな口をそろえて「まだ早い」って言ってる。文字だけは教師がいないと走り出しのときが厳しいし、時期を待つしかないと割り切らざるを得なかったのだが・・・・。
「読み聞かせをしてっていう命令なんだよ。」
「そうなの?」
じゃあ、少しはこの世界の文字にふれあえるってこと!?お願い読み聞かせて!
「わかったよ。熱意は伝わったから、それ以上目をキラキラさせないで?」
え、私の目ってキラキラしてた?年甲斐もなく恥ずかしいわ・・・・。
「玲香ちゃんの目ってどこから入ってるかわからない光がいっぱい入ってて、その光の数が多くなった気がしてちょっとまぶしかっただけだよ。じゃあ、絵本を選ぼう。」
「はい!」
私の目ってそんなに光が入ってるの?あ、でも目を凝らしてみると白い光が無数にある気がする。瞳ってその人が見てる光景を映すっていうから多分それが原因だろう。
とある世界の文献を漁ってたときに見つかった情報なんだけど、無数にある白い光は生物の霊らしい。でも他の人には目に沢山の光は入ってないけど、他の人には見えないのかな?とりあえず絵本を選ぶことに集中することにした。
「じゃあ、この中から一つ好きなのを選んでね。」
「はい!」
正直選べないほど本の数が多い。貴重な本がここにいっぱい集まってるってことはこの家は本に関する企業で儲けているのか?そういえば娯楽小説は面白いとか玲仁君が言ってたっけ。この世界(この国?)は余裕があるんだろうな。だから娯楽とかにいろいろなものを割くことができるのだと思う。
「これ、かわいいね。」
「これ?じゃあ読んでみる?」
「うん!」
私が手に取ったのは三角帽子にローブを着た女の子が書いてある絵本だった。なんて書いてあるかは読めないけど、読み聞かせしてくれるならわかるだろう。
で、読み終わった感想だけど、日本語の文字かわいい。丸っこくていろんな種類があるし。あとカクカクしてる文字もあったけど、そっちはちょっとかっこいいと思う。
「日本の文字ってかわいいしかっこいいね!」
「・・・・ひらがなとカタカナを教えようか?」
「え、いいの!?」
「別にいいよ。さすがに小学四年生の漢字まで行ったら無理だろうけど。」
「小学、四年生?」
なんの話だろうか?
「えっと、話してなかったっけ。日本の教育は素晴らしくて、お金持ち貧乏生まれ関係なく6歳から9年間教育を受けられるように国が作られてるんだよ。」
「えええええ!?」
日本の教育ってすごい!しかも9年間ってことはかなりの内容が詰まってるよね?だったら・・・・
「大人になったらみんな文字の読み書きができるようになってるの!?」
「まあだいたいの大人はそうだね。だいたいの人はさらに3年間は延長するよ。」
「そうなの!?」
さっきから目を見開いたまま閉じることができてない。少なくともいろんな世界を周ってきた私の価値観では9年で十分だと思うけど、さらに3年も追加するのか。
「あとやる人はそこに2~6年間追加するよ。」
「ええ!?」
9年でも十分だと思うのにまだ勉強するの?6歳から教育を始めたとして9年間教育を受けて15歳(この時点で世界によっては成人してる)、3年間教育を受けて18歳(別世界の結婚適齢期)、さらに6年間教育を受けて24歳(もう結婚適齢期過ぎてる)!?
「いや、念のため言っておくけど6年間勉強する人はお医者さんになりたい人とかだけだからね?だいたいの人は12~16年で教育は終わりにすると思う。」
え、それでも22歳は結婚適齢期も終盤ですよ?貴族とかだったらそのあとすぐゴールインですよ?そこまで教育することはあるの?
「正確には6歳の時に6年制の小学校に入ってそのあとすぐに3年制の中学校に入って入りたいなら3年制の高校に入って、てところかな。」
「すごい・・・・」
その教育分国民が豊かになってるんだ。だから娯楽に時間もお金も割くことができるってことなのね。
「で、勉強しないの?」
「あ、するよ!」
今は2歳(らしい)しとりあえずかわいらしいひらがなとやらを学べばいいかな。そう思ったのだった。
あとがき
ようやくタイトル回収しました。私の筆力でタイトル回収できてよかった。え、できてない?だったら申し訳ない。ここまで読んでくださってありがとうございます。よかったらフォローや★をつけるなどしてください。ありがとうございました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます