第11話・大賢者は祖父母と出会う1
「玲香、おじいちゃんとおばあちゃんに興味はない?」
そのお誘いは少なくとも平均的な5歳児ぐらいには会話ができるようになってきたころ夕食の話だった。
「あるけど・・・・なんで?」
「玲香のパパとママになるための準備だよ。」
「なるほど!」
確かに両親には認められないといけないよね。どうしようかな?いつもの服装でいいのかな?
「玲香が服に興味があるなら買ってあげるよ?でも、いつもの服装の方がいいと思うよ。」
そうかな?諸国の国王陛下との面談とかがあったとき私は迷わずいつも着てないローブを着ていくんだけど、そんなものなの?
「当日は玲香とパパとママだけで行くからね。」
「はいはい。」
ハウスキーパーは連れて行かないってことね。玲仁君がいないと私の意思を伝えられるかが不安だががんばることにする。
「ちょっと緊張します。」
「いや、お父さんお母さんも隠居してて寂しがってるしこの家みたいに豪邸ではないから安心して。」
そうお母様はいうけど・・・・何の令嬢かはわからないが生粋のご令嬢だって最近わかったし、ちょっと信用できないかもしれない。
玲仁君は日本には貴族はいないっていうけど・・・・身近にいるお母様の性格が完全に”お貴族様”なんだよ・・・・。私は最低でも侯爵令嬢だと思うよ。
「わかりました、絶対に生きて帰ってきます!」
「ええと、それ毎回いうけど・・・・実際に命の危険にさらされたことってあるの?」
「うん!」
「うんじゃなくて・・・・ってえええええ!?」
「毒盛られたりとか、遠くから狙撃されたりとかね。」
「・・・・ん?玲香ってなんで狙われるかわかるの?」
「人々にとって脅威だからじゃないかなって私は思ってるけど。」
まあ、強くはあるけど実際に人間を殺めたことは実母を倒した一回だけだ。レベリングの時もモンスターを倒している。それを民衆が勝手に妄想するのだ。いい方向にも悪い方向にも。前に私の伝記?みたいな本を出されたときにはさすがに戸惑ったよ。
「え、脅威、なの?」
「まあ、うん。」
「暗殺者は殺人未遂で逮捕されたりはしないの?」
「ないよ、だって日本みたいに治安よくないもん。」
モンスターがいないとかそれだけで最高に治安がいいと思うんだけど。モンスターの襲来が起こるとお金の価値が下がるし、窃盗とか強盗は増えるし。
お父様は私と同じ濡れ羽色に濡れ羽色の瞳をしてるし、お母様は墨色の髪に真っ黒な瞳をしてるし道行く人はみんな黒い髪に黒い瞳だから黒って縁起がいいのかなとか最近思うよ。まあ、私もお父様と同じ濡れ羽色に濡れ羽色の瞳だけど。
「日本の治安ってすごくいいの。それを忘れないでね?」
「・・・・わかったわ。」
お父様は黙りこくってるようだった。・・・・それにしても実父はどこへ行ったのだろうか?何が起こったか全くわからないんだよね。少なくともこの地方には住んでなさそうとは思ってるけど。あの女が本当に実母だとしたら実母は死亡ってことになるから実母に関しては一旦考えるのを止めておいてる。
「とにかく、土曜日ね!」
「はいはい。」
また魔法漬けの生活を送りたいなとか思いながら夕食を終えた。
当日になって車に乗って(お母様曰く)隠居しているおじい様とおばあ様のところへ来たんだけど・・・・。
「ええと?お母様?聞いてる話と違いますよ!」
ついたのはやっぱり豪邸だった。いや、百歩譲ってあのお父様たちが住んでる豪邸よりは小さいよ?でも、ちょっと小さいぐらいでこれは確実に豪邸だと思う!
「え、豪邸ではないでしょ?」
「いや、これは豪邸です!絶対に豪邸です!」
やっぱりおじい様とおばあ様も贅沢して暮らしてるんだな。やっぱりお貴族様はお貴族様だった。
「・・・・そうなのかな?」
「うん、そうです!私が見た侯爵様のお屋敷と同じぐらいですよ!」
「え、そうなの?公の方の?」
「まあ、難しいほうの侯爵ですけど・・・・」
なんでこんなに日本語は難しいのだろうか?同じ爵位、それもご身分が高い爵位で同じ読みとかふざけてる気がする。これは魔法語候補か?どうだろう?むしろそう思わないと私の気合が入らないというか・・・・。
「・・・・そうなんだ。じゃあ、入るよ。」
そういってお母様は呼び鈴(チャイムというらしい)をならしていた。テンパってるときでもリスニングとスピーキングはちゃんと機能しますように・・・・。
「久保山祐奈です。娘を連れてきました。」
「むすめ・・・・」
娘か・・・・ほとんど孤児状態の私にとって娘と呼ばれるのはあこがれる。
「祐奈お嬢様一家ですね。どうぞこちらへ。」
ハウスキーパーさんが出てきたってことはここもたくさんの人の手によって維持されているのだろう。
部屋の中は想像よりずっとお上品な家具でそろえられてたけど・・・・このソファとか絶対高いよね?この家の経済状況が心配になってきた。
「初めまして、家永玲香と申します。よろしくお願いいたします。」
あとがき
区切ることになって申し訳ございません。しばしお待ちください。
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