忘れじの行く末まではかたければ 今日を限りの命ともがな

 万物に終わりがあることは紛れもない事実であろう。あの逞しい彼もいつかは老いるし、かの美人で有名な女性もいつかは枯れていく。気持ちもそうだ。どんなに強い感情を持つことが出来てもそれを継続することは難しい。仮に二人が一生かけて愛を育んでも片方が先に逝けば、行き遅れた人は終わりを認識せざるを得ないのである。だから、始まらせないという選択肢または早期に終わらせるという選択肢は実は相手を考え抜いた案とも言えよう。

 しかし、僕は保身の為にこれを一見思いやりのある下衆な行為にしてしまったのだ。反省している。僕が愛に目覚めていないから、こうも非情な選択を取ってしまったのだ。傷つけたくない気持ちはあった、ただそれなら始めなければ良かったのだと悔やむことがあるのは認めなければならない。

 

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