好奇心
人の心というのは不思議なものでして、彼も彼女も表情、発言、本心が必ずしも一致する訳ではないのであります。例に漏れず僕も有言実行など苦手中の苦手であり、「ちゃんと断るときは断る」と強く思ったところで、優柔不断なところが祟り対面で話しているといつの間にか丸め込まれているのです。渋々飲んだ筈なのに受け答えするときに僕は笑い続けています。
僕の信条は「思ったことを実現させる」ということであります。ですから、神社に行ってお賽銭した後は決まって神様にこうお祈りします、「願ったことが全て叶いますように」と。一度でなるべく多くを聞き入れて貰うならこう頼むしかないでしょう?誰もがこんな下品な願いを強欲だと嗤うと思います。でも、自分の心に逆らいたくはないのです。素直な心に従わずして生きていく、不誠実な人間を神様が見たらきっと馬鹿にするでしょう。神様が全知全能であるならば、神に近づこうとする変態のほうが興味を唆るものだと思われるのです。僕が中学校のとき目標に書いていたのは、全知全能になることでした。いつからか全能は無理だから全知だけでもと思い、今となっては無知であることを自覚して嫌気がさしています。
だって、僕は目の前にいる人さえ理解してやれないのです。宗教、国籍、言語、食の好みその他全てが同じなんて人間は居ない、端から分かり合える筈もないのです。それでも僕らはその人を知ろうと探り合います。お互いの物差しでお互いを測り合う、これが馬鹿馬鹿しいなどとは思いません。そんなに自分の中でその人を消化したくて堪らないのかと疑問に思うことがありますが、知的好奇心が燃える限りきっとその人を見続けるしかないのです。ずっと見続けて私じゃ分かってやれないと諦めがついて尚、その人への関心が薄れないとなればそれは愛と呼ぶに相応しいと思います。燃え滓になったって冷めないんだから、二人がどんなに惨めになろうともそれは変わりません。無常の世の中で思いが揺らぐことはあっても不変であろうとする、そんな尊い営みを僕は愛と信じたいのです。
だから僕は沢山愛されたい。
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