第65話 グラツィア
オレロに鼓舞された後に天狐はグラツィアの魔力を探知して声をかけに行った。
帰ってから1度も話す機会がなかったし、しっかり伝えよう。
「ぐ、グラツィア!」
「天狐ちゃん?どうしたの?」
「えっと、その、帰ってきてから話してなかったなって。それに2人で話したいことがある。」
正直気まずいがここはしっかりしなきゃ、ちゃんと話し合っていかないとこの先ずっとこの変な気持ちは消えることは無い。
「…いいよ、行こっか。天狐ちゃんの部屋でいい?
「うん、いいよ。ありがとう。」
2人は天狐の部屋に移動して話し始める。
「天狐ちゃん少し変わった?前まで私に敬語使ってたよね?」
「え?そうだったっけ?」
「まぁ、私は全然気にしないけどね。出来れば婚約時に敬語は使わないで欲しかったくらいだから。」
「そっか。」
「うん。」
「でもアースランド様には今でも敬語だよね?変えないの?」
「今の所は買えるつもりはないかな、言われるまでは。」
「そっか、それでもいいかもね。」
「うん。」
しばらく無言になってしまうが天狐はグラツィアにオレロとの関係を聞く。
「えっと、そういえばオレロと恋人になったんだね、おめでとう。エリザさんから聞いたよ。」
「そうなんだ、ありがとう。」
「僕が眠っている間、本当に心配かけてごめんなさい。」
「大丈夫だよ、オレロさんが色々助けてくれたから。」
「いえ、3ヶ月以上も留守にして挙句の果てに帰っても話す機会がなくて。気まずくなって、話しかけられなくて。」
「ううん、気にしてないよ。」
「いや、婚約を解消したのに新しい婚約者を連れてきて、ごめんなさい。グラツィアの気持ちをなにも考えてなかった。」
「だから気にしてないよ。オレロさんとは恋人になれて今は楽しいし、天狐ちゃんがいきなり王家の人を連れてきたのはびっくりしたけどね。」
「…」
「私、本当に天狐ちゃんの魅了にかかってただけだと思う。そもそもオレロさんとは私が来たときから仲良くしてもらってたし。ええと、アースランド様はヤマタドナ様は別だと思うけどね。」
「そうですか。」
「うん。」
「…聞きましたか?サクヒノラさんがこっちに来た理由。」
「そういえば聞いてなかったね、なんで婚約したの?」
「それは、王都で決闘になって僕が勝ったらサクヒノラさんを僕が貰うって言っちゃって。」
「それはまた変なこと言ったね。」
「僕が負けたらヤマタドナと婚約解消って条件だったからそれ相応に対価を要求しただけだったんだけど、僕が勝ってサクヒノラさんを貰うことになった。」
「なんでサクヒノラ様を要求したの?気になるんだけど。」
「なにも考えてなくて、適当に言っちゃってそれで…。本当は別に貰う必要はなかったんだけど、約束は約束だから。僕から言い出したことだし。」
「そうだったんだ、でも言い出した事だし責任は持ちなよ?」
「はい、ちゃんと幸せにします。」
「そっか!それなら安心だよ!」
「ありがとう、グラツィア。グラツィアもオレロと夫婦になれることを祈ってる。そして幸せに生きてきけたら。」
「そうだね!私もオレロと夫婦になっても2人でアースランド様は天狐ちゃんを支えるよ。この屋敷の執事とメイドとして。」
「頼りにしてます、先輩。」
「やめてよ、一応私より偉い立場になったんだから。」
「それでも僕からすればみんな先輩だよ、それはいつまでも変わらない。この先もそうだよ。」
「…そうだね、じゃあ天狐ちゃんって呼び名も変えなくていいか。」
「まぁ、それはアースランドさんで慣れてますからわざわざ変えなくても。」
「確かに。」
「うん。」
「「…。」」
「「あはははは!」」
2人の関係は元に戻り、いやこれからは主従関係になったかもしれないがこの関係性はいつまでも変わることはなかった。
このとき、天狐の部屋からは笑い声が耐えなかった。
その後は屋敷の皆でオレロとグラツィアのことを盛大に祝った。
「そういえば私とオレロさんの関係性知らなかったの?」
「帰ってきても訓練所にいることが多かったし、その、恥ずかしながらわからなかった。」
「天狐ちゃんやっぱり抜けてるところあるよね。」
「そ、そうですか?」
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