第63話 アルマ帝国2

天狐が眠っている間、アルマ帝国は勇者の召喚を行った。

召喚には成功したものの魔力をかなり消耗した人が多く、守りが手薄になっていた。

そのためヒィスト王国に物資支援を依頼して不足している魔力ポーションを大量に支援してもらった。今回、ヒィスト王国とは物資を支援してもらい、その見返りにアルマ帝国は金銭を送った。そのおかげかアルマ帝国はすぐに立て直すことができ、レストリア興国との戦争は再開しなかった。しかし問題は山積みで、呼ばれた勇者 秋神 結友あきかみ・ゆゆは少しだけ不機嫌だった。


「ねぇ、なんで僕をこの世界に呼んだの?適当なこと言ったらその首飛ばすからね。」


「そ、それは。」


「どうせ困りごとなんでしょ?勇者召喚なんてどうせそんなことだし。」


「…はい、この国は不安定で現在レストリア興国という国と戦争状態にあります。ですのであなた様のお力を必要としています。」


召喚した一人の魔術師は結友に対して説明をする。


「戦争だから僕を利用するのか?レストリア興国とやらの人を殺せと?」


「そういうわけではありません、この国の抑止力としていてほしいわけです。」


「抑止力?そんなの強い人見つけて仲間にすればよかったじゃん。」


「魔獣の王ヴィカミオ、龍族ヤマタドナ、そしてエルフの女王 藍那フレア《アイナフレア》。この三方はすべてほかの国に属しております。本来は呼ぶ必要がなかったのですがヴィカミオがレストリア興国に属しましたのであなた様が必要になったわけであります。」


「…そういうことね、魔力を感じたけどヤマタドナって龍が一番強そうだけど。それはいいの?」


「はい、ヤマタドナはヒィスト王国に属しておりまして現在ヒィストとはいい関係にあります。それにヒィストは平和の国ですのでどこの国とも戦争状態にありませ。もし戦争になったとしてもヒィストが勝つことは明白なので戦争を吹っかけるような国は存在しません。そして冥途天狐というものがヒィストにおります。その方の力はヤマタドナを超えているという噂もあります。」


「…そっかぁ、それはいい国だね。今度遊びに行こうかな。」


「はい。ぜひ、行ってみてください。」


「それはそれとして気になったんだけどさ、あのトップはなんなの?人を呼んでおいて態度が軽くない?」


「それは大変申し訳ありません、どうにもああいう性格の人なので。」


「はぁ、人はよさそうだけどあの態度はないよ。」


「トップに言い聞かせておきます、すみません。」


「それより僕はこの世界で何をすればいいのさ。抑止力としているだけじゃ暇なんだけど。」


「そうですね、前の世界では何をやってたんですか?」


「先生だよ、先生。人に魔法を教えたりしてたよ。こう見えて不老不死だからね、僕。それなりに長い期間生きてきたよ。」


「でしたらこの世界でも先生をやってみたらいかがですか?そうすればうちの国はもっとと良くなります。」


「いいけど、条件がある。」


「なんでしょうか。」


「教えるのはヒィスト王国でする。この国はこの国で何とかして。」


「そ、それはどうしてですか!?」


「だってヒィスト王国は平和そうじゃん、それにあの国とは何もないんでしょ?美味しい物食べに行きたいし。それにあのトップの態度が気に入らなかった。悪いのはあいつだから言っておいてね。」


「わ、わかりました。こちらで何とか説得しておきます。」


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そっか、天狐はこの世界に来ていたんだ。どおりで魔力を感じなくなったし天狐の家周辺も火事になっていたし。だけど気になるのは天狐の魔力を感じられない。この世界にはいるんだろう?ヒィストに行くことは決まったし今度こっそり会いに行ってみるか。

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