第56話 屋敷

天狐が眠ってからひと月がたった。

眠っていることはステリオスの屋敷にまで届いており皆が心配していた。


「天狐が眠ってからひと月か、向こうにはヤマタドナがいるからそこまで心配はないがアースランドまで帰ってこんとはな。」


「仕方ないでしょうあなた、戻ってくるまで我慢しなさい。」


「少しくらい顔を見せてくれてもなぁ。」


「娘が向こうで特訓を頑張っているでしょ。」


「そうだけど。」


「あなたは天狐に少し冷たくないかしら?」


「いや、ヤマタドナからはいずれ目が覚めるとかどうとか言ってたからな。あのまま眠っているわけではないのだろう?」


「いずれは自分の息子になるというのにねぇ。」


「全くですよ、サンドレス様。少しは天狐ちゃんのことを心配してください。龍をとられたと怒って攻めてくる国もあるかもしれませんよ、天狐が寝ている今がチャンスだって。」

グラツィアがサンドレスに少し怒りながら言う。


「それはさすがにないだろう。今のヒィストと他の国では戦力が違う、ヤマタドナが加入してくれたからな。それにうちの国は平和でどこの国ともいざこざはない、そう心配することはないさ。」


「ヤマタドナだけで他を押さえられますか?さすがに他の国にもサンドレス様より強いお方が数人いますし。」


「それならうちの国にも強いやつならいるだろう。」


「確かにそうですね。けれどほかの龍族は大陸に住んでいたはずですけど天狐ちゃんとヤマタドナの結婚で今は皆ヒィストに属してることにはならないんですか?」


「あーそういわれるとわからんな、ヤマタドナに聞くしかないか。」


「しっかりしてくださいよサンドレス様。」


「すまんすまん。」


「けれど龍族全員がヒィストについたのならもはや安泰すぎるのでは?」

オレロが疑問を投げつけてくる。


「確かに龍族がすべてうちの国に属したのならヒィスト王国一強になるな、しかしそのぶんほかの国が連携が強固になるかもな。」


「それはそれでまずくないですか?」


「かもな、ただそれを決めるのは国王様たちだ俺たちが気にすることではない。」


「そうですが。」


「安心しろ。天狐もいるんだ、気にすることじゃない。心配をするなら早く天狐が目を覚ましてくれるようにできることをしておけ。」


「できることとは?」


「…。まぁ日々の業務を頑張ったらいいんじゃないか?」


「それは適当すぎませんか領主様。」


その後はオレロとグラツィアが二人で何かを話していて仲がいい雰囲気を出していた。周囲の人はそれを見ながら何かニヤニヤしていた。


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「なんかオレロとグラツィアが仲良くありません?」


「そうねえ、なにかあったのかしら。」


「まぁこのまま見守っててあげましょう。」


「賛成ですね。」「うん。」

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