第53話 おはよう?

セリクトとの決闘があった次の日アースランドは目を覚ます。

体を起こして2人を見るとまだすやすや寝ていて可愛らしい寝顔と感じた。

時計を見るとまだ出発まで3時間ほどある、しかし今日はデートなのでベッドから出て早めに支度を済ます。しかしベッドから出る際にヤマタドナも目を覚ます。


「ふぁあ、眠い。」


「あ、起きたんだヤマタドナ、おはよう。」


「ん?あぁ、おはよう。」


「まだ寝てても良かったよ?デートにはまだ早いよ。」


「そういうアースランドはもう準備してるではないか。」


「私はメイクとかするからね、可愛いって言って欲しいし。あとこっちで朝は食べて行くからね。」


「…そうか、なら私もメイクをしよう。」


「え、メイク出来るの?」


「いや、出来ん。だからして貰う。」


「しょうがないなあ、じゃあ先にシャワー浴びにいこうか。」


「ああ。」


こうしてヤマタドナとアースランドはシャワーを浴びた後にメイクを始めた。


「ヤマタドナはなんでメイクするの?」


「私はあまり可愛いとかは言われないからな、たまには天狐に言ったもらおうと思ってな。」


「確かに天狐ちゃんはそんなに言わないよね、言うのが恥ずかしいんだよ。」


「確かに天狐は意外と恥ずかしがり屋だからな、そんなに言葉に出すのが恥ずかしいのだろうか?」


「そうだと思うよ、だから私から聞くもん。」


「なら今度は私から聞いてみるか。」


「うんうん、聞いてみなよ。」


「それにしてもメイクは難しいな、よくわからん。」


ヤマタドナはアースランドにしてもらいながら道具を色々見ている。しかし理解しようとしていない、きっとめんどくさいからだ。アースランドはそう思っている。


「案外面倒くさがりだもんね、私に髪とか乾かせたりしてるし。」


「別にいいだろう。」


「いいけどさ、自分でやらないと天狐ちゃんにもやってあげること出来ないよ?」


「天狐は♂だから雑にやっても大丈夫だろう。」


「案外気にするかもよ?ヤマタドナが雑だって、現に今日も私が乾かしてあげたし2人で入るときは天狐ちゃんにしてもらってるでしょ?」


「…そ、それは。」


「今度からはアースランドさんとしかお風呂入らないとかたまには乾かして欲しいとか言われるかもよ?」


「…。」


「私は天狐ちゃんの心は読めるから何て言ってるかわかるけどさ。」


「…天狐はなんて言ってる?」


「天狐ちゃんに聞いてみれば?」


「お、教えてくれないのか!?」


「だって話し合わないとダメでしょ〜。私が居ないときはヤマタドナがしっかりしなきゃ。」


「むぅ。」


「今日のお風呂で聞いてみたら?」


「え、今日か?」


「こういうのはちゃんと早めに話し合って置くべきだよ、そうしないとどっかで綻びが出るよ?」


「そうだな、今日聞いてみるか。」


「そうそう、ほら目閉じてメイクの続きするから。」


「ん。」


2人はメイクの続きをしてしばらくたった。まだ天狐は寝たままだった。

そしてあれから1時間が経ちメイクは終わった。


「これがメイクか、確かに可愛くなった気がする。」


ヤマタドナは鏡に映る自分を見つめ色々な角度で見る。

アースランドはそれに頷き肯定してあげる。


「うんうん!ちゃんと可愛くなったよ!これなら天狐ちゃんもびっくりするね!」


「そうか。よし、そろそろ天狐を起こそう。デートまで2時間きったからな。」


「そうだね、天狐ちゃんも準備があるだろうし起こさないとね。この後朝ごはんも食べに行かないと。」


「しかし私はもう少し鏡で見ていたいから起こしてきてくれるか?」


「そんなに気に入ったんだ。わかった、起こしてくるね。」


アースランドは天狐の元に行き体を揺さぶった。


「天狐ちゃんそろそろ起きないとダメだよ?」


「…。」


「おーい!天狐ちゃん!えっちな狐さん!」


「…。」


アースランドは大声で起こそうとするが反応がない。いつもは何か声を出るはず。それに体に力が入ってないように見える。仕方がないと思い毛布を剥がして体を揺らしてみるも反応がない。


「あれ?天狐ちゃん?どうしたの?」


「…。」


「天狐ちゃん!おーい!天狐ちゃん!」


「…。」

やっぱり反応がない、なんで?どうして?

再び体を揺らしても全く反応がないアースランドは焦り天狐に呼びかける。


「天狐ちゃん!天狐ちゃん!どうしたの!?返事して!」


「…。」

やはり天狐からの反応はない。


「どうしたんだアースランド、そんな大声出して。」


「天狐ちゃんの反応がないの!幾ら呼びかけても反応がなくて!」


「なんだと?少し見せてみろ。」

ヤマタドナが天狐の状態を解析する。しかし何もわからない。ただ眼になにか反応がある気がする。


「…どう?」


「なにもわからん、ただ息はしてるし死んだとは思えない。それに怪我とか病気はないはずだ、昨日変なのを食べたとかも言い難い。とりあえず結界を作って私が決めた相手以外は誰も入らないようにするしかないな。」


「そっか。」


「心配することは無い、必ず目は覚ます筈だ。」


「そうだよね、天狐ちゃんはそんな簡単に死ぬわけないもんね。」


「あぁ、私もそう思う。」


「とりあえず今日のデートはなしだね、また今度にしよう。」


「悪いな、わざわざメイクまでしてもらったのに。」


「天狐ちゃんが目を覚まさないと意味ないからね、仕方ないよ。」


「それにしても冷静だな、天狐は目を覚まさないと言うのに。」


「なんだろうね、よくわからない。けどずっと気になることがあるんだけどいいかな?」


「なんだ?」


「天狐ちゃんの眼ってなんなの?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る