第52話 戦いの後で

決闘の後、セリクトが謝罪をしてくる。

「先程は大変失礼いたしました、天狐様。貴方の力を見誤っていました。」


「いや、別にもういいけど。もう終わった事だし。」


「し、しかし。」


「まぁ、強いて言うならあの言葉遣いはダメだよね。」


「私の教育不足です、すみません。」

サクヒノラさんが謝罪してくる。


「まぁ、いいですよ。終わったことですし。でもなんであんな態度を?」


「それは少し試してみたかったというのもあります、このままの口調だと相手にして貰えないのかなと。しかし戦いの最中はあのような感じになりますのであちらの性格が本来の性格に近いかと。」


「そ、そうなんだ。まぁ、誤解も解けたようだし僕はもういいかな、お腹空いた。食事の続きをしたいな。」


「いえ、それはいけません。それと約束通りサクヒノラを貴方の妻として迎え入れてください。サクヒノラ、いいかい?」

国王が口を挟んでくる。本当に貰うの?冗談だったんだけど。


「はい、私は構いません。天狐様、よろしくお願いします。」


「え、本当に貰うの?あれは適当に言ったことなんだけど、僕はただセリクトをわからせれば良かっただけだし。なんか条件とかいるかなって。」


「え、それはいけません天狐様。約束通りサクヒノラをお願いしますね。」

国王がダメ押ししてくる。それにつられてアースランドさんとヤマタドナも追い打ちをかけてくる。


「ダメだよ天狐ちゃん、ちゃんと貰ってあげなきゃ。」


「第三夫人にはなるがいいだろ?サクヒノラとやら。」


「はい、構いません。」


「ちゃ、ちゃんと考えた方がいいですよサクヒノラさん。僕よりいい人いますから。」


「龍を妻に迎えるほどの方よりいい方はいますか?」


「え、それはわからないです。」


「それに天狐様が仰ったじゃないですか、私を貰うと。」


「そ、そうですよね。喜んでサクヒノラさんを妻に迎え入れます。」


「そうですか、娘をよろしくお願いしますね天狐様。」


「は、はい。」


「それと天狐様。」


「なんですか?」


「食事ですが、先程の戦いで全て吹っ飛びました。」


「え。本当に?」


「本当にです。」


戦わなければ良かった。あぁ、僕のご飯が。


「しかしお酒は残っております、おつまみも直ぐに出せるものもありますのでそちらでもよろしいでしょうか?」


「え、全然大丈夫ですよ。また作って貰うのは迷惑がかかるので。」


「いえ、ご希望であればお作りします。先程のご迷惑も兼ねて。」


「別に要らないですよ、お酒飲めればそれでいいですから。」


「かしこまりました、ならお酒をお楽しみください。おつまみは直ぐに出せるものがありますから直ぐにお持ちします。」


「わかりました、よろしくお願いします。」


とりあえずサクヒノラを迎える天狐はその後、食事に戻りパーティーを楽しんだ。セリクトとはちゃんと和解し酒の力で仲良くなった。お酒はすごい、誰もでも仲良くなれる力があるのかな。


アースランドとヤマタドナ風呂に入り満喫した。いつも通り甘えまくっていた天狐である。


3人はベッドに入り天井を見上げていた。


「今日は色々な事があったね。」


「そうですね。なんか疲れました。」


「お風呂ではともかくセリクトとの戦いはかっこよかったよ?」


「確かに私と戦った時よりも動きが良くなっていた。」


「ヤマタドナと戦ったあとは楽だからね、動き易かったのかも。」


「それはそうだが、私としては少し怖かったぞ。いきなり動きが良くなるなんてな。」


「僕は強くなれたならそれでいいよ、現に何も異変はないし。」


「そうだが。」


「けどもう疲れたよ、眠い。」


「…先程は風呂で私を寝かさないとか言ってたのにか?」


「え、いや、あれは冗談だよ。」


「まあいいだろう、明日もあるからな。」


「そうだね、もう寝よう。おやすみ。」


「「おやすみ。」」


こうして3人は眠りにつき次の日のデートを楽しみにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る