第51話 VSセリクト
ヤマタドナが衝撃結界を作り、2人は武器を構えて睨む。
騎士は名乗りこちらに向かって剣を振る。
「俺はヒィスト王国ソアレフ領所属騎士セリクト!行くぞ、冥途天狐!」
「いいよ、力の差を教えてあげる。」
その瞬間2人は衝突した。
互いに剣を交え、交戦する。
セリクトは想像以上に天狐が強く驚く。
「闘技場の時とは随分動きが違うじゃないか!どうなっている!?」
「それは学習したからだよ、負けは自分を強くする。それになんか少し体の使い方が上手くなった気がするよ。」
恐らく僕が気絶してる間になにかあった、体が以前より使いやすい。
「だが、互角だ!俺はまだ全力じゃない!」
「それはこっちのセリフだよ、全力には程遠い。」
「ならスピードを上げるぞ、着いてこられるか?全力で行く。」
「いいよ、来な。」
その瞬間セリクトが視界から消えるように速度を上げた。
凄まじい剣の雨が降ってくる、防ぐので精一杯だ。傷がつきはじめる。
「どうだ!俺の力は!防戦一方になってるぞ!」
「…早いね、でも、今度は油断しない。」
黒文様の魔力を引き出し、動体視力を最大限上げ、黒死反転の準備をする。
少し防ぐ力も強くなってきた。
「適応してきたのか!だがその程度か!」
「まだまだ、これからだよ。」
「舐めるなよ!行くぞ!ビースティアルソラド!」
魔力を込めた剣を振り下ろし、斬撃がこちらに向かってくる。
「僕だって、黒死反転!」
貯めた魔力を使い、相殺する。
お互いが後ろに下がり、見つめる。
「ちっ、奥義が!」
「それが奥義?それなら大したことないね。」
「なんだと!舐めやがって!こうなったら!」
セリクトが先程よりも魔力を込め、向かってくる。
こちらも最大限天星眼を使って対処する。
しかし向こうの方が上で傷もまた増えていく。
「威勢はいい代わりに大したことないな!」
「奥義を防がれたのに?」
「だが今はこうして俺が押している!」
「そうだね、このままはまずいかも、けれどひとつ欠点がある。」
「なんだと!?」
「長期戦に持ち込めば体力は尽きるだろう?僕はほぼ永久だからね。これなら勝てる。」
「は?永久だと!?ふざけてるのか!」
「ふざけてないよ、大真面目。」
「だったらすぐに立てなくしてやる!ビースティアルソラド!」
「黒死反転!」
今度は少しセリクトの方が上だったのか天狐が後ろに飛ばされる。
「…なるほど、凄いね。」
「どうだ、参ったか!?」
「いや、準備出来たよ。ありがとう。天眼吸力!」
その瞬間天狐が周りの魔力を吸い込み、黒文様に還元する。
「なんだ、魔力が!?」
「これは周りの魔力を一気に吸うことが出来る、あと少しだけ相手の体内の魔力もね。おかげで魔力がなくなったでしょ?まぁ、こっちも魔力を多少消費しないとダメなんだけどね。」
「くそ!」
「さぁ、こっからは少し力を上げてで行くよ。」
今度は天狐が詰め寄り追い詰めていく。セリクトは魔力がほぼ枯渇し肉体強化も出来ない、天狐はそこに漬け入り接近戦で相手をボコボコにしていく。
剣を躱して相手の懐に入り溝落ちや顎を目掛けてぶん殴る。
騎士なので鎧もあるからそれも外して無力化する。
「ガハッ!」
急所に入りセリクトは膝をつき呼吸が荒くなる。
「大丈夫?もう終わる?」
「くそ、こんなはずじゃ!」
「言っておくけどまだ全力じゃないからね?」
「ふざけるな!」
振り下ろされるセリクトの剣を指で掴み投げ捨てる。
「な!」
セリクトは驚くがヤマタドナが声をかけてくる。
「天狐、そろそろ終わらせろ。尻尾を全て出してもいいぞ、結界は完成した。」
「わかった、ありがとう、ヤマタドナ。
「礼は要らん、さっさと片付けろ。」
「うん。」
天狐は再びセリクトに声を掛ける。
「じゃあセリクト終わらせるね?死んだらごめん。」
「何を言って!?」
尻尾を全て出し、魔力の圧をセリクトにかける。
しかし結界に少しヒビが入る。あれ、やばいかも。
「な、なんだ、これは。オェェ。」
魔力の圧でセリクトが嘔吐し、地面に跪く。
天狐はその様子を見ながら黒死壊形を作り、セリクトに照準を合わせる。
「これが僕の全力だよ。尻尾を初めから出して入れば肉弾戦でも負けないんだけどね。それで降参する?しないとこの国全て吹き飛ぶよ。」
「カヒュ…。」
「言わないとわからない。」
「ぉ、俺の負けだ…。」
「そう、わかった。」
天狐はすべて尻尾を収め、黒死壊形を消して魔力の圧を解いた。こうして2人の決闘は終了した。
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