第50話 揉め事勃発?
3人は食事をしながらイチャついてると誰かが後ろから声をかけてきた。
「すみません、お時間よろしいでしょうか、冥途天狐様。」
振り向くと綺麗な女性と騎士の男が立っていた。
「えっと、どちら様ですか?」
「私はヒィスト王国ヒィスト8世の娘、サクヒノラと申します。以後お見知り置きを。」
「え?ああこちらこそどうも、はじめまして冥途天狐です。」
「ふふ、そんな緊張しなくてください。貴方はヤマタドナ様の旦那様なのですから。」
「旦那様と言っても僕は国に何もしてあげてませんよ。」
「謙遜なさらずに、貴方様はヤマタドナ様を連れてきてくださった功績は計り知れません。勲章を授与したいくらいです。」
「そうですか?」
「はい。」
「ところでなんの要件ですか?」
「そうですね、こちらの騎士が貴方様との決闘を望んでいるのでお連れしました。」
「はじめまして、俺はセリクトだ。よろしく。」
隣にいた騎士が名乗る。
「え、よろしくお願いします。で決闘とはなんですか?」
「先程の戦いを見て俺の力試しをしたくなった。ヤマタドナ様には負けるがその旦那になら勝てると思ってな。」
「ちょっと、セリクト。何を言ってるんですか、言葉遣いも気をつけて。」
サクヒノラが止めようとするが2人は会話を続ける。
「…ヤマタドナと戦えばよくない?負けるのが怖いの?」
「違う、俺はお前の力を試したい。この国の象徴となる方の旦那が弱いとこの国としてはマイナスだからだ。それに帝国が龍を取られてこの国に対して敵意を持ち始めた、もしものことがあってお前に危害が加わるかもしれん。それを忠告しにきた。」
「おい、大した力のないお前が私の旦那様に大して何を言っている。」
「そうだよ、天狐ちゃんの本当の力を見た事ないくせに。」
ヤマタドナとアースランドが席を立ちその者を睨みつける。
しかしセリクトはびびらずに天狐に話を続ける。
「お前の本当の力は何か知らないが、闘技場で見た限りお前は俺でも倒せる。だから俺とも勝負しろ、もちろん全力でだ。そうじゃないとこの国の象徴となるお方の旦那とは俺は認められん、どこかで死ぬからだ。もちろん俺が勝ったらヤマタドナ様との結婚は辞めてもらう。」
「セリクト何を言ってるの!?」
「すみません、姫様。少しお静かにして貰えると助かります、私はこの者に用がありますので。」
「し、しかし。」
「大丈夫ですよ、サクヒノラさん。決闘は直ぐに終わりますから。」
「…この俺を舐めてるのか?」
「舐めてないとこんなこと言えないよ?それに君が負けた場合はどうするの?」
「…俺は騎士を辞める。」
「それだけで足りると思ってるの、こっちは結婚破棄だよ?どう考えても釣り合わない。」
「なら俺の命でどうだ。」
「そんなの興味無い。」
「なら、何がのぞみだ。」
天狐は国王を睨みつけ、身動きを取れなくする。
「ねぇ、国王。」
「な、なんでしょうか。天狐様。」
「僕が勝ったらサクヒノラさんは王族を辞める、それでいい?」
「え!?そ、それは考えて直して貰えないでしょうか!?」
「言い方が悪かったね、言い直すとサクヒノラさんは僕が貰う。」
「…そ、それなら私は構いません。サクヒノラよ、お主はいいか?」
「はい、元はと言えば私の責任です。それくらいの覚悟はあります。それに兄弟はまだまだ居ます、跡継ぎは問題ありません。」
「ひ、姫様!?お考えください!」
「これで決まりだね、セリクト。」
「し、しかし。」
「僕はサクヒノラさんに責任を取らせただけだよ。それに本来ならヤマタドナに魔獣結界を解除させることも考えてたよ。」
「…セリクトよ。」
「はい、なんでしょうか、国王様。」
「お主、大変なことをしてくれたな。浅はかな行動を反省しなさい。」
「も、申し訳ありません!」
セリクトが膝をつき頭を下げる。
「しかし、娘の婿候補にしてはいいと思っている。なんせヤマタドナ様の旦那様だ、私としてはとてもありがたい。」
「そ、そう言って下さるとありがたいです…。」
「…決闘、頑張るがいい。」
「は!…では天狐。後日改めて連絡する。」
セリクトは帰ろうとするが天狐は呼び止める。
「待ってよ。」
「なんだ?」
「相手にするのめんどくさいなら今からでいい?それに全力、出していいんだよね?」
天狐はアルコールを全て解毒して黒文様を出す。
「今から始めるのか!?」
「別にいいでしょ、何か問題でも?」
「いや、闘技場では。」
「嫌だと言ってるだろ、それに今は少し怒ってるんだ。ヤマタドナ、結界を作って。」
「ああ、衝撃結界。」
ヤマタドナは手を合わせ結界を発動する。
「これでいいでしょ?さぁ、剣をとって。」
「まぁいいか。」
2人は武器を構える。
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