第46話 VSヤマタドナ

急遽ヤマタドナと対決が決まり、闘技場に人だかりができる。この闘技場は10万人を収容できるのだが満杯になっている。外にも映像を中継し、全国民が見れるようにしているのだけど。


「こ、こんなに人が一瞬で…。」


「想像以上だな、これは。だが楽しみだ。」


「そうだね。」


「しかし一般市民に影響がないように結界を張っておこう。これならお主が尻尾をある程度出しても大丈夫だろう。」

ヤマタドナが5重障壁結界を張り魔力を闘技場内にとどめる。


「そんなに魔力使って大丈夫?」


「確かにかなり減ったが大丈夫だろ。問題はない。」


「手出して」


「何をする気だ?」

ヤマタドナが手を出してタッチする。互いが触れた瞬間に魔力がヤマタドナに渡って全回復する。


「これは、すごいな。しかし天狐の魔力が減っているぞ。」


「10分待てば天星眼の能力で全回復するから気にしなくていいよ。」


「それは便利だな。しかし黒文様は使うのか?」


「今日は使おうかな、楽に勝てる相手でもないし。多分使おうが使わまいが寿命は一緒だと思う。」


「そうか、それならいいが。」


「そうそう、せっかく全力を出せるんだし使わなきゃもったいないよ。」


「天狐が言うならそれでいいか。」


「うん、今日はよろしくね。」


「ああ、勝つのは私だ。」


「いいや僕だよ。」


「しかしただ勝負するだけではつまらん、一つ賭けをしないか?」


「いいよ、何にするの?」


「どちらかが勝てば一日好き放題できる。その際の命令は無視だ。武器を落としても負けにしよう。」


「いいよ、わかった。」


「よし、これで決まりだな。」


開始までしばらく待ち、天狐の魔力が回復するまで控室で待っていた。


「天狐ちゃんもヤマタドナも頑張ってね!」


「はい、でもあくまで武器の見せあいですから。」


「しかし賭けは賭けだからな。私が勝ったら好き放題できる権利を得たからな。」


「それはこっちもだよ、気を抜かないでね。」

なんのお願いしようかな~。エッチなこととかにしようかな…?


「…二人とも結構バチバチしてるね~!」


「当然だ、せっかくの全力戦闘だ。煽りあいもないとつまらん。」


「そうですよ、アースランドさん。本気で行かなくちゃ。」


「そっかぁ、私も天狐ちゃんを好き放題できる権利欲しいなぁ~。」


「なら私が勝てばアースランドにも権利をやろう。」


「なに勝手に追加してるの!?」


「いいだろうそれくらい。それとも負けるのが怖いか?」


「…いいよ、その提案乗った。」


「よし、今度こそこれで決まりだな。」


「やったぁ~。ありがとね、ヤマタドナ!」


「例には及ばん。」


「じゃあ僕は先に行ってるね、ヤマタドナも準備できたら来て。」


「ああ、わかった。」

天狐は立ち上がり、闘技場内に戻る。

歓声が上がる中、深呼吸をして文様を出す。


久しぶりに出したな、でも特に何も変化はないか。これなら大丈夫そうだな。


歓声が再び大きくなるとヤマタドナも戻って来た。

「待たせたか?」


「ううん、大丈夫。始めようか。」


「では始めてください!」

審判の合図によって二人は構え始め、激突した。


刀とクローが激突して火花を散らす。

互いに一歩の引かないと思っていたがヤマタドナのほうが力が上で天狐が少し押されている。


「どうした天狐!こんな程度じゃないだろう!」


「言ってくれるね!まだまだこれからだよ!」

刀を両手持ちにして押し返す。しかし少し押し返したところでヤマタドナが右手のナックルで殴ってくる。


「オラッ!」


「…っ!」


天狐が吹き飛び、軽くダメージが入る。


「これほどまでとは、さすが龍だね。」


「当然だ、私は龍だぞ。」

ヤマタドナがこちらの言葉に返事をする。


しかし尻尾を5本以上出さないと複合能力は使えないしヤマタドナは魔法を撃ってこない。

黒魔刀の能力によって魔法は使えないため殴り合いになる。このままだと不利だな。

仕方ない、こっちから仕掛けるか。


足元に魔力をため、地面を抉るように蹴り上げる。土の塊がヤマタドナに向かって飛んでいく。その避けた場所を予知してそこに火魔法をぶつける。


「ちっ!」

間一髪で避けはしたが多少は当たり、向こうもダメージを追う。

しかしすぐにこちらに飛んでいき距離を詰める。僕も懐から小刀を取り出して二刀流にする。こっちはリーチを生かして戦うしかない。


再び激突して剣と拳がぶつかる。

ただ僕のほうがリーチが長く、少し有利になっている。このまま連撃を浴びせ、勝ちを狙う。


「どうしたヤマタドナ!さっきまでの威勢は!」


「私はこれからだ!魔装拳劇!」

その瞬間拳に魔力を込め殴ってくる。躱したと思っていたが魔力の塊が飛んできて腹に命中する。これはやばい。


「くそっ。」


「まだまだぁ!」

ヤマタドナが畳みかけてくるが回避に専念して回復を待つ。持久戦になったらこちらが有利だ。

天星眼のおかげで回避はできているが結構ぎりぎりだ。黒文様を出してなかったらあっさり負けてたな。


「回避に専念か!?持久戦にはさせんぞ!魔装拳劇!」

再びヤマタドナが殴ってくる、今度は完璧に合わせて剣で相殺する。何とかなったが隙ができてしまい回し蹴りが飛んでくる。


「うわ!危な!」


ガードしたことで直撃はなんとか防げたけど重たいな、やっぱり距離を保って戦うしかない。もっと回避に専念しなky


その瞬間視界からヤマタドナが消える。


「え、消えた?ガハッ!」

一瞬で天狐は吹っ飛ばされ壁に激突する。何が起こった…。見えなかった。

しかも今度は先ほどよりも一瞬で距離を詰められた、気がする。


「どうだ?これが私の強さだ。降参するか?」


「く、そ。まだ、だよ、終わっていない。」


「そうだな、もう一度行くぞ。」


来る!見えない何かが!目に専念しろ。一瞬で消えるはずがない。何かだ、何が。


その瞬間ヤマタドナが消え、再び目の前に現れる。

今度も吹き飛ばされ地面に倒れる。


「さすがにすべての力を使わない天狐には勝てるか、おい審判終わりだ。」

ヤマタドナがそういい審判が中止しようとするが天狐は立ち上がる。


「…まだだよ、まだ、終わっちゃいない。武器は落としてないだろう。」


「…まだやるのか、」


「ああ、それにその能力はわかった。次は破って見せる。」


「面白い、なら次で最後だ。」

そういうとヤマタドナが魔力を全力で込め始めた。






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