第45話 謁見

騎士がドアを開るとそこには王と王妃、その子供たち、騎士。そしてこの国の役人?貴族?がいる。皆立っていてこちらを見てくる。気にせず前に歩き続け国王の前に行く。立ち止まるとヤマタドナと天狐以外は跪き、国王は椅子から立ち上がりこちらに向かって話し始める。


「よく来てくれました。ヤマタドナ様と旦那様、ありがとうございます。」

国王が膝をつき頭を下げる。

周りの人達は何も話さない、既に周知していたのだろうか。王が頭を下げるなんて。


「頭を上げろ国王、国のトップが簡単に頭を下げるな。」


「しかしヤマタドナ様はこの国の新たなる象徴、下げない方が有り得ません。おかげでこの国はかなり平和になりました。魔獣の被害も今ではありません。」


ヤマタドナは国王に対して叱るが王は反論する。


「ここはそのままにしておこうよヤマタドナ。」


「お主がいいならいいか。」


天狐は小声で伝えヤマタドナもそれを了承する。


「ありがとうございます。早速ですが謁見の方を始めさせてもらいます。司会者殿、よろしくお願いします。」


「はい、お任せ下さい!それでは皆様、お顔を上げてください。」


司会者が指示を出すと皆は立ち上がる。

「それでは謁見式の方をさせていただきます。国王様よりお話があります。」


「ヒィスト王国に住む皆さん、こんにちは。ヒィスト8世です。今回は新しく国の象徴となるヤマタドナ様とその旦那様にお越しいただきました。ヤマタドナ様のおかげでこの国は平和になり魔獣の脅威も無くなりました。これからは楽しい時代に向かって行けそうです。そして旦那様改めて冥途天狐様、このステリオスに来て下さりありがとうございます。あなたのおかげでもあります。そして皆様、今日からこの日は新しい祝日となります。今日は存分に楽しんでください。」


国王の話が終わるとこちらについて聞いてくる。


「そしてヤマタドナ様、天狐様。お二人の望むものを差し上げたいと思います。何かご要望はありませんか?」


いきなりそんなこと聞かれてもわかんないんだけど。かっこいい剣とか欲しいな。悩んでいるとヤマタドナが助け舟を出してくれた。


「私は人型の防具だ、天狐は剣が欲しいそうだ。」


「かしこまりました。では後ほど国庫に行き好きなものを差し上げましょう。」


「それで頼む。」


「ではお2人ともこちらに、国民に向けてのご挨拶をお願いします。」


「え、聞いてない。」


「俺が伝え忘れた、すまん。」

サンドレスが謝罪してくる。


「まぁ、いいですよ。適当に話してきます。」


「では私から話そう。」

3人は小声で話すとヤマタドナから挨拶するようだ。こういう時って頼りになるなぁ。


「ヒィストに住む皆野共、私は龍族のヤマタドナだ。これからこの地で生活し、お前たちに秩序と安寧をもたらすだろう。この国は魔獣の被害はなくなり発展していく、これからの生活も私は楽しみだ、今より美味い食べ物を期待しておく。以上だ。」


「続いては冥途天狐様です。」


「冥途天狐です。えっと、これからしばらくここに滞在するので美味しい食べ物でも教えてください。これからこの国の発展が楽しみです。」


「そうだ、明日は天狐の16歳の誕生日だ。パーティーでもするか?国王。」


「ちょっ、ヤマタドナ!?」


ヤマタドナがマイクを奪い宣伝する。映像を見る限り外は盛り上がっている。国王は目が点になっている。


「ええと、是非しましょう!お酒も解禁される年齢にもなるので、それと今日致しましょう。1日くらい早く飲むのは王として許可します。早急に準備致します、明日はデートと聞きました故。」


「王様が飲みたいだけだろー!?」「てことは今日お高い酒が飲めるのか!?」「やったぜ!」「王様の奢りだー!」「え、私のポケットマネー?」

皆が叫んでいる。ありがたい。


「では挨拶は以上になります。ありがとうございました。」


皆が拍手をして元の位置に戻る。謁見はこれくらいしかないので終了し、皆と挨拶をした。僕は全く顔と名前が覚えられずあとでアースランドさんに教えてもらった。


しかしヤマタドナの旦那というだけでここまで盛り上がるのか?魅了は凄いな。


そんなことを思っていると王様に呼ばれ国庫に案内された。先程言っていた剣と防具を貰いに行った。


「ここから好きなのを選んでください。」


「どれにしようかな?刀でいいかなぁ。」


「私はライトアーマーとナックルとクローにするか。」


2人は武器を選び、国王に見せた。


「これは黒魔刀というものですね、相手の魔力攻撃を吸収することが出来ます。魔法など切れるはずです。」

魔力の吸収はいいね、僕的にはありだ。


「私はナックルとクローにした、片方ずつだと使いやすい。」


「そうですか、その武器はグランドナックルとシェーロクローですね、大地と空の恩恵を受けられる武器です、相性も良さそうです。」


「そうなのか、それはいい。感謝する。」


「いえいえ、このくらいは。」


「しかしこの武器を試したいな、どこか場所はあるか?」


「それならこの外にある闘技場をご利用ください、天狐様もよろしければ。」


「ありがとうございます。じゃあ試そうよ。せっかくだし戦わない?」


「いいだろう、確かに戦ったことは無いな。本当に天狐の方が強いか確かめてやる。」


「そうだね、僕もヤマタドナの全力を見てみたい。」


「全力を出せばこの土地は吹っ飛ぶぞ?」


「そうだよね。ならお互い人型でやろうよ、僕も九尾の力は封印するからさ。」


「それなら平等だな。」


「あの、観客入れたりしましょうか?」


「それはいいな、私はともかく天狐はただの旦那様と思われているだろう。強さの証明はしておくべきだ。」


「そっか、そうだよね。ちゃんと強さを見せてあげよう。それに食前の運動だ。」


「わかりました。40分ほど闘技場でお待ちください。」


こうして国王は急ぎ闘技場に人を集めることになった。

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