第44話 ソアレフ領に出発!
特に何も無い準備をした後、ソアレフ領に向けて出発する。
ヤマタドナが人化を解き龍の姿に戻ると背中に乗る。
出発する前にサンドレスが皆に対して言葉を伝える。
「皆、俺がいない間は屋敷を頼むぞ。」
「ハッ!」「はい!」
オレロが声をかけてくる。
「天狐、気をつけてな。」
「うん、行ってくる。」
「行くぞ。」
ヤマタドナが飛び立ち空へ舞う。
と言ってもソアレフには30分で着く。
大した事は何も起きないだろう。
「しかし龍の背中に乗るとはな、凄い光景だ。」
「本当ね、まさか生きてる内に乗れるなんて。」
「でもワイバーンには乗ったことあるでしょ?お父さん。」
「そうだが、さすがに龍とワイバーンは違うだろ。」
「サンドレスの言う通りだ、ワイバーンと私を一緒にするな。」
「ごめんね~、ヤマタドナ。」
「ふん、別に怒ってない。」
「でも拗ねてそうだね。」
「拗ねておらんわ!」
「まぁまぁ、2人とも落ち着け。それより国王の謁見のマナーは大丈夫か?」
「私は王に膝をつくことはせんぞ?」
「サンドレス様の真似すればいいだけですよね?」
「確かに俺の真似をすればいいのか?…だが龍とその旦那だ、むしろ王国側が膝を着くんじゃないのか?」
「ヤマタドナの功績は偉大だからね。」
「当然だ。私はこの国に大して壮大な加護を与えたからな。」
「じゃあ堂々としてればいいですね。」
「多分な、ヤマタドナと天狐に逆らってもこの国が不味くなる状況になるだけだ。気にせず堂々としてればいいか。」
「そうか。」
「国王からするとソアレフに居てくれって頼まれそうだがな。」
「え、そうなんですか?」
「国の新しい象徴になるからな、出来れば住んで欲しいと思ってると思うぞ。」
「でも近いから住む必要はないですよね?僕も飛ばせば10分もかからないですし。」
「しかし馬車で行くと半日はかかるからな。」
「だったら馬車以外の移動手段を使えばいいだろう。」
「ヒィストには馬車の移動しかないんだよ。」
「そうなのか、てっきりワイバーンとか使うものだと思ったが。」
「空にも魔獣はいるし、ワイバーンは騎士団の所有になっている。使うことは無いだろう。」
「なるほどな。」
「あら、今は結界で魔獣がいなくなったから新しい移動手段を考えてみたら?」
ムーンアルネが口を開く。
「そうだな、考えてみるか。」
「魔力を魔晶石に与えて馬車にハンドルとアクセルとブレーキつければ使えそうですけどね、そうすれば馬は要らないですし、速度も上がります。」
「そんなことできるのか?」
「前の世界ではありましたよ、魔動車って言うんですけど。仕組みはわからないです。」
「そうか、仕組みがわかれば使えそうなのにな。」
「さすがに僕もさっぱりです。」
「仕方ない、他の手段はこれから考えるか。」
「そろそろ着くぞ、降りる。」
下を見るとソアレフ領内にある王都が見える。下に降りていくと皆がこちらを見ている。それはそうだよね、普通に見るよ。
「あれが龍?」「デカっ!」「あの龍がヤマタドナ様?」「あ!サンドレス様だ!」「ムーンアルネ様もいる!」「アースランド様は相変わらず可愛いな、結婚したい。」「あの獣人は誰だ?」「さぁ、何も聞いてないぞ。」「国王様の新しい妻か?」
色々な声が聞こえてくる。皆今日を楽しみにしてたのかな?僕に関しては何も話してないと見た。サプライズかな?しかしそこの人間、アースランドさんは僕のお嫁さんだぞ。
「天狐ちゃん嫉妬しちゃった?可愛いね~!」
ほっぺをつついてくる。
「な、何いきなり心読んでるんですか!?」
「顔がむーってしてたからね!」
ヤマタドナから降りると騎士たちが案内をしてくる。
「お待ちしておりました!こちらへどうぞ!」
「ほら、行くぞ。」
僕達は客室で謁見時間までを待つことになった。謁見まで1時間あるのでそれまでは客室にあるフルーツを食べて時間を潰す。これはとても甘くて美味しい、ずっと食べていたい。
「にしてもあと1時間もあるのか、暇だな。」
「ヤマタドナこのフルーツ美味しいよ。」
「そうか?私も食べてみよう。」
「はい、あーん。」
せっかくなので食べさせてあげる。
「ほう、美味いな。これは。」
「え、ずるい!天狐ちゃん私にあーんは?」
「え、あーん。」
「あーん。」
美味しそうにしてるので嬉しい。
「おい、娘と人前でそんなにイチャつくな、見てる俺が恥ずかしい。」
「別に食べさせて貰ってるだけじゃん。」
「そうよ、私にもあういうことしてたのに?」
「そ、それは昔の話だろ!?」
「そうね、一昨日のことだからねぇ。」
「お父さん達もラブラブだね!」
「もうなにも言わんでくれ。」
「あはは。」
しばらく談笑し、時間を潰した。5分前になると騎士が部屋に来て「時間です!」と連絡があり、準備をして国王が居る謁見の間に向かった。
「天狐ちゃん口にフルーツついてるよ?」
「わ、本当だ。」
口を吹き、汚れを落とす。
「全く、この謁見はヒィスト王国全体に配信されるから気をつけてくれ…。」
「す、すいません。」
「一応気を引き締めておけよ、」
「私はあくびが出そうだ。眠い。」
「全くお前たちは緊張感がなさすぎる…。」
「仕方ないだろう、私は明日のデートが楽しみなんだ、さっさと終わらせて寝たい。」
「明日楽しみだね!天狐ちゃん!」
「そうですね。」
「娘まで…。」
「まぁ、いいじゃない。早く行きましょ。」
「そうだな。」
扉の前に立ち、騎士が話しかけてくる。
「では、この扉を開けると皆様がお待ちしております。どうぞこの国をよろしくお願いします。」
そう言うと騎士が扉を開け、光が指した。
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