第35話 どこに行こっか
1週間後に王国に謁見を行くことになった天狐たち。しかし、当の本人達は観光にしか興味がなく、どこに行こうかと話をする。
3人で天狐の部屋に行き、アースランドが地図を広げながら雑談する。
「ねぇねぇ、どこ行こっか?天狐ちゃんは行きたいところとかあるの?」
「そうですね、美味しい屋台で買い食いしたいです。」
「私は酒が飲みたい。酒屋に行こう。」
「2人とも食べ物関係かあ~、食いしん坊だね。」
「え、僕はこれくらいしか知らないので…。」
「私もだ。特に関わってきた奴など居らんからな。」
「そっかぁ、じゃあどこかでお酒飲みに行く?」
「いや、僕飲めないんですけど。」
「なに、この世界は16歳から飲酒可能だ。気にする事はない。そもそもアルコールは効かないだろ?」
「え、そうなの?まぁ、9日後に誕生日だから合法になるのか。」
「ほう、そうだったのか。なら誕生日プレゼントでも買ってやろう。何がいい?」
「ずるい。私も買ってあげるから好きなの言ってね、天狐ちゃん。」
「あ、ありがとうございます。」
欲しいものかー。考えたこと無かった。何が欲しいんだろう。愛情とか?
「飯と酒は屋台で美味しい食べ物でも買ってから酒屋に行こう。きっといい酒があるはずだ。なかったら国から拝借する。」
「賛成~。」
「わかった。」
「でも天狐ちゃんって、ご飯以外何が好きなの?」
「え、なんなんでしょうね。前は戦ってばっかりでしたのでよくわかんないです。強いて言うなら愛情が欲しい?よく、わからないです。」
「…そうか、だったらこの2日間は私がたっぷり甘やかしてやろう。覚悟しておけよ、旦那様。」
「だったらお言葉に甘えて。それとヒィヒィ言わないでね。雑魚龍さん。」
「い、言わせておけば!大体お主が強すぎるのだ!何回する気だ!」
「僕が満足するまで。」
「だとしても多すぎだ。」
「ヤマタドナのが、気持ちいいのが行けないんだ。僕は悪くない。」
「そ、それを言われると反論出来ぬ。」
「むー。それと私はお洋服を見たいかな。天狐ちゃんに合う服を見繕ってあげたいし。」
アースランドが話の方向を変えてくる。
「え、前のデートみたいに着せ替え人形になるんですか?僕。」
「大丈夫だよ!今回はそんなかからないから!」
「し、信用出来ない…。」
「大丈夫だって!それと指輪も買いに行きたいかな…。」
「あ、でもその、どうせなら4人で行きたいので、また今度でもいいですか?グラツィアもいないとなんか嫌だなって。」
「ううん、そうだよね。グラツィアちゃんも一緒に行かないとダメだね。」
「そうですね、ありがとうございます。」
「じゃあ他にはどこに行きたいとかあるかな?」
「ふむ、そうだな。せっかくソアレフ領に行くのだからそこの有名な場所に行ってみたい。」
「それなら景色が凄くいいところがあってね、そこで結婚式も上げている場所があるの。そこに行くのはどうかな?将来結婚するから下見でね!」
「ほう、ついでに式場の下見か、悪くない。よし、そこにも行こう。天狐もいいな?」
「え、早すぎない?」
「別に下見をするだけだ。式を挙げるわけではない。」
「そっかー。ならいいんじゃない?」
「よし、決まりだな。」
「ウエディングドレスも試着できるって確かお父さんが言ってたからもしかしたら切れるかもね、天狐ちゃん!」
「え、僕が着るんですか?」
「着ないの?」
「いや、アースランドさんたちが普通着ますよね?」
「だってオレロもいるんだよ?私たちは皆タキシード着るから天狐ちゃんがウエディングドレスだよ?そうしないとオレロのハーレムになっちゃうよ。」
「え、やっぱり本当にオレロとも結婚しないといけないんですか?あんまりなんですけど…。」
「これは決定事項だから揺るがないよ?それとオレロにもちゃんとかまってあげてね?」
「わ、わかってますよ。」
「それならいいけど。」
「でも私たちがタキシードを着るのか、それはそれで面白いな。」
「でしょう?なんか斬新で面白いかなって。」
「実は、そんな理由で僕がウエディングドレスなんですか!?」
「うん。そうだよ?」
「...」
「あ、天狐ちゃんは可愛いから大丈夫だって!絶対似合うよ!」
「私も問題ない。なんなら性別変えてやろうか?」
「それはしなくていい。僕は♂なんだ。♀にはなりたくない。」
「意外とそこにプライドがあるんだな。」
「それくらいはあるよ、別にいいでしょ。」
「私は女になった天狐も見てみたいんだがな。」
「勝手に性別変えたら、結婚しないからね。」
「そ、それを言われると。」
「わかった?ヤマタドナ。」
「仕方ない。」
「よろしい。」
「むう。」
「じゃあとりあえず、天狐ちゃんがウエディングドレス着るのは決定ね!」
「くうーん。」
勝手に色々決められ、少し不満な天狐だった。
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