第29話 龍と狐 チョコレートコスモス

天狐ちゃんとのデート楽しかったな!

お花ももらっちゃったし、ずっと一緒に居たいだなんて、可愛い狐さん。

今は忙しいから一週間後に仕事が終わったら帰れるからまたからかいにいこうかな。


そう考えていて一周間が立ち、仕事が終わり帰宅すると屋敷の様子が少しおかしかった。

天狐がいなく、皆が集まっていたので話を聞いた。


「あれ、みんなどうしたの?」


そんなことを聞くとグラツィアが答えた。


「天狐ちゃん、実はデートの後から姿を消していて…」


「え。初耳なんだけど、それ。なんで?なんで誰も教えてくれないの?」


「天狐ちゃんは前の世界のことについて何か見つけたみたいで。でも数日で帰るって言っておきながらもう一週間経ってて…」


「何かに巻き込まれたとか?」「だとしてもすぐに帰ってくるだろう。」アスカニオとオレロが話している。


「私とのデート、本当は、楽しくなかったのかな?。でも一緒に居たいってお花渡してくれたし。」


「へぇ、天狐がお花をねぇ。アースランド様にバラでも送ったのかしら。」

エリザさんがアースランドに聞いてみる。


「ううん、チョコレートコスモスってお花。」


「そう。けれどチョコレートコスモスはそんな意味の花ではないわ。一体、何を考えているのかしら。」


「それはどういう意味なの?一緒に居たいって意味じゃないの?」


「チョコレートコスモスは諦めの気持ちを伝えるときに贈れる花でもあるんですよ。しかし、なぜ。」

シモーナが花の本当の意味を教えてくれると同時に疑問に思う。


「…わからないわ。けれどあの子、本当は出て行ったのかしら。」


「え、なんで。」


「それはわからないわ。でも本当は前の世界に帰りたかったんじゃないの?」


「…」

わからないよ、天狐ちゃん。だからあのとき心を読ませてくれなかったの?なんで嘘をついてまで花を渡すの?なんで勝手にいなくなるの?なんで?私が弱いからなの?私が嫌だったのかな?だとしたらもう何もしないからさ、戻ってきてよ。


「まぁ!わからねーことは仕方ない!天狐の居場所を探してそこに行けばいい!」


「そうだな、目の保養が欲しい。」


オレロとアスカニオが言葉を出す。


「あら、わたくしたちは目の保養にはならないのかしら?」

カテリーナがオレロに問いかける。


「そういうわけではない。」


「ふーん。」


「と、とにかく天狐の居場所を調べよう!。行けば何かわかるはずだ。そうでしょアースランド様。」


「でも、嫌われちゃってたらどうしよう。もう姿を見せるなってことでしょ?あの花を渡したってことは。」


「それはわかりません。ですから直接聞くことが一番です。騎士団なら居場所はすぐ見つけられるはずです。」


「…でも」


「わかりました!私たちがお探しします!」

いつの間にか屋敷の守護騎士がいて指示を出す。


「指令!冥途天狐の探索をはじめろ!すぐ見つけ出せ!魔力が大きいからわかるはずだ!」


「え、待ってよ。勝手に進めないで!」


「いえ!進めます!」


「ちょっと!」


「大丈夫です!ほらもう見つかりました!無人島にいます!おそらくはドラゴンといます!船を出す準備を!」


「話を聞いてよ!」


「聞きません!とにかく話を天狐に聞きに行ってください!さあさあほら!」


「ちょっと!だからってなんで私一人だけ!屋敷のみんなは!?」


「私たちはあなたの帰りをお待ちしています。どうぞごゆっくり天狐と話をしてきてください。」

シモーナがそういうと皆が頷く。


「アースランド様。」

グラツィアが声をかけてくる。


「えっと、なにかな?」


「天狐ちゃんをちゃんと連れ帰ってきてくださいね。じゃないと私、許しませんから。」


「…天狐ちゃんとなにかあった?」


「いえ、特に…。とにかくよろしくお願いします。」


そのまま押され、屋敷を追い出された。

「ええ~!?待って心の準備があ~!」


「…わかったよ、待っててね。天狐ちゃん。」

そういうとアースランドは無人島に向かい始めた。


一方そのころヤマタドナと天狐は


「暇だね。」


「そうだな。子作りでもするか?」


「え、いや、なんで?」


「なんとなくだ。ん?ふふ、そうか。」

ヤマタドナが何かを感じた。


「どうしたの、ヤマタドナ?」


「よかったな、アースランドが来るぞ。」


「え、なんで。ここに?」


「明日には着くだろう。まあ心の準備をしておけよ。」


「…でも。」


「とにかくだ、逃げるなよ。天狐。」


「わかったよ。」


「ふむ、よろしい。風呂にでも入るか。天狐、お主も一緒に入れ。」


「なんで?あれ以来入ってなかったじゃん。」


「アースランドが来る前にもう一度だけ、その、したいだけだ。」


「…わかったよ。だけどエッチなことをしたことはアースランドさんには黙ってておいてね。」


そういいながらお風呂を満喫する二人だった。

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