第28話 龍と狐 デートの続き。VSヴィカミオ。

氷の大地でペンギンを見たあとはさらに中心の場所に行くことにした。ここに魔獣がいるらしく、言葉は通じるのかはわからないが、とにかく会いに行ってみることに決めた。ヤマタドナとは一応知り合いらしいけど。


2人は適当な会話をしながら進み、魔獣がいる場所へたどり着いた。


「ここだ、ここにその強い魔獣が居るはずだ。私たちのことも感知している。出てくるはずだ。」


「じゃあ待ってようか。」


?「その必要は無いぞ!狐の獣人!」


どうやた隠れてたみたいだ。僕にはバレてたけど、けどなんで隠れてた?


「お、久しぶりだな、魔獣の王。」


姿を見せるとその姿は禍々しく、人の形をした魔獣だと分かった。


「なんでここに来たんですかい、ヤマタドナさん。」


ヤマタドナの袖を引っ張って聞いてみる。

「あの人が魔獣?」


「そうだ、奴が魔獣ヴィカミオ。」


「魔獣の王 ヴィカミオだ!全く、あんたのほうが強いからっていっつもからかいよる。大体何しに来たんや!わし何もしとらんやろ…」


「浮き沈みの激しい人だね。ヤマタドナ何かしたの?」


「奴は昔、私に喧嘩を吹っかけてきてな。コテンパンにしてやっただけさ。今では私の舎弟だ。」


「舎弟になった覚えはさすがにない!付き人さんに嘘を教えんでくれ!」


「付き人?何を言ってるヴィカミオ。訂正しろ。この人は私の旦那だ、将来だけどな。」


「はぁ!?姉さん結婚したんか!?嘘やろ!?あの人と全く関わらん姉さんが!?」


「ヤマタドナ、やっぱ舎弟だと思うよ。姉さん呼びしてるし。」


「天狐よ。それは奴は私の舎弟だからだ。」


「やっぱそうなのか。」


「おい!二人で無視せんといてくれ!悲しくなるやろ!?」


「だってさ。構ってあげなよ、ヤマタドナ。」


「お主の頼み事なら仕方ない。おい、ヴィカミオ。私は結婚した、それで今日はここに来た。」


「ほ、ほんとにそこの獣人と結婚したん?姉さんと結婚するなんて不思議なやつやな…」


「勢いと流れに任せたらね、まだ出会って三日目だけど。」


「それはスピード婚過ぎるやろ!早すぎや!」


「そうなの?ヤマタドナ。」


「知らん。」


「姉さん。な、なんで結婚したん?」


「天狐がいじけて私のところに来て布団を占拠したからだ。だからそのまま同衾した。」


「いや、間違ってはないけど、なんかその言い方!」


「事実であろう、もう体の関係にもなったことだ。過ぎたことは仕方ない。」


「ほ、本当に勢いと流れやな。しかし獣人とはな。ぱっと見は強くはなさそうやけど…」


「なら天狐と戦ってみるか?」


「ヤマタドナ!?」


「え、まぁ、ええやろ!よし来い!狐の獣人!」


「え、まあ、いいか。じゃあ行くね、ヴィカミオ。僕は冥途天狐。よろしく。」


「挨拶おおきにな!天狐!さあ来い!」


そういうと僕は黒文様は発動せず、尻尾をすべて顕現した。


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「う、うそやん。なんや、この魔力。」

ヴィカミオが目を見開くが無反応な天狐。


「おい、ヴィカミオ。行っておくが、私より強いぞ。それに天狐、文様が出ているぞ。」


「ほ、本当かそれ!だったら最初に言うてくれ!バケモンやぞ!この獣人!」


「え、抑えてたつもりなんだけどな。なんで急に。まぁ、行くよ、ヴィカミオ。」


「仕方ない!腹くくるか!」


こうして殴り合いの正面衝突が始まった。と思っていた。

しかし天狐が殴り、躱し、尻尾で掴んで叩きつけ、一方的にことが進んでいった。

アースランドの時とは比べ物にならないくらいの強さで。


「ガハッ!。ほ、本当に、化け物やな。天狐さん!」


「なんかここでは力が出せるんだよね。おかげで戦いやすい。ついてきなよ。」

上空に行き、ヴィカミオが追ってくる。これ以上、下で戦うと、被害が大きいからだ。


「ここならさっきよりも全力で戦えるよ。」


「くそ!避けるなよ!“テラエノーメ!”」

ヴィカミオが手をかざすと上空に炎の塊ができてこちらに放つ。受けるとただでは済まなさそうなのでこちらも準備をする。


右手を出し、そこに尻尾を重ねる。黒文様の魔力を使い、真っ黒な四角い物質ができる。それを圧縮して放つ。

「これで終わりにするから避けてね、ヴィカミオ。“黒死壊形こくしかいけい。”」


天狐が放った一撃はテラエノーメを吸収しヴィカミオに向かっていく。


「な!あぶな!」

間一髪でヴィカミオは避けることに成功するが、その瞬間に黒死壊形と天狐が場所を入れ替える。地面に叩きつけられ、意識を失い、天狐の勝利が決定する。天狐の勝利を祝うように黒死壊形が爆散する。


「勝負あったな。天狐、よくやった。」

そういいながらヤマタドナが頭を撫でてくる。


「うん。でも、大丈夫かな。」


「大丈夫だろ。」


軽く言葉を交わしてしばらくするとヴィカミオが意識を取り戻す。


「は!ここはどこや!」


「あ、起きたみたいだね、ヴィカミオ。怪我は?」


「いや、対してしてないわ。手加減してくれたおかげでな!」


「そっかぁ~。それはよかった。」


「しかし天狐はバケモンやったな!なぁ姉さん!」


「ああ、あれはやばいな。私も塵にされる威力だったな。」


「なんやそれ!?あれそんなにやばい威力やったのか!」


「ちょうど気絶してたから見てなかったね。」


「よ、避けといてよかったわ。」


「まぁ楽しかったよ、ヴィカミオ。殺し合いじゃないなら戦いは楽しいな。また来ようかな?」


「か、勘弁してくれ!命いくつあっても足らんやん!」


こうして、ヴィカミオへの結婚報告が終わり、無人とに帰って来た。


「今日は楽しかった、ありがとう。ヤマタドナ。」

頭を撫でてあげる。少し照れてる。


「喜んでくれたのなら私はいい。また出かけよう。」


「お腹空いたし、ご飯にしようか。」


「そうだな、またとってくるか。」


「うん。」


こうしてヤマタドナとのデートが終わった。

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