第25話 龍と狐 サバイバル夕食?そんなことはない。

二人は別れ、食料を調達しに行った。

僕は森、ヤマタドナは海に。


畑があるという森の中に進む。魔物や動物もいるが今は尻尾をすべて出しているので誰も近づかない。そのため楽に食料をとれることができそうだ。野菜を育てているのはありがたい。そう思いながら森の中を進む。


しかし、畑を見つけると野菜の大きさに驚愕する。


「うお、でっか。」


ヤマタドナの魔力に長年当たっているのか、野菜が通常より30倍くらいでかい。いくら何でも大きすぎる。よくよく見るとドラゴンサイズで普段作業しているのか使用している道具もすべて大きい。マジかと思いながら尻尾で収穫する。まさか役に立つとは思わなかった。こういう尻尾の使い方もあるのか、今度練習しよう。


「しかしこれはすごいなぁ~。いっぱい食べられそうだな。ふふ。」

楽しみにしながらヤマタドナがいる場所に戻る。


「ただいま。」


「帰ったか、天狐。」


「もういたんだね。」


「うむ、特に時間はかからない。ほれとって来たぞ。」

そういうと大きい魚だけではなく、海老、蟹、貝殻など沢山とってきてくれた。


「あ、いっぱいいるね。ありがと。」


「ああ、さっそく調理して頂くか。」


「そうだね。調理器具はあるの?」


「ドラゴンサイズの調理器具ならあるぞ。」

指をさすと大きすぎる調理器具がある。


「あれ、か。まぁ、使えないわけではないね。」


「しっぽがあるなら大丈夫だろう、さっそく調理するか。」


「そうだね、始めよう。」


こうして二人は夕食を作り始めた。


メニューはガンガン焼きとお刺身、そして野菜炒め。


ガンガン焼きから作っていこう。

まず大きめの缶を用意して、洗った海産物たちを入れる。酒を二回しくらいの量を入れて蓋を閉じ、火にかける。あとは待てば出来上がりだ。


次にお刺身。

海老の殻を外しながら頭と胴体を分ける。殻が取れたら身の上側にあるワタを取りのぞき、器に並べる。これを繰り返しながら百匹準備する。

他には魚もあるので頭を落とし、内臓をとり、三枚おろしにする。血合い部分を削り、腹骨をとる。お刺身にすると器に盛りつけて完成だ。


最後に野菜炒め。

フライパンに油をひき、切り刻んだ野菜を入れ炒める。シンプルに塩コショウで味付けをする。これで完成だ。


しばらくするとガンガン焼きも完成したのでさっき調理間に作ったテーブルに並べ腰かける。


「おいしそうな匂いだね。」


「うむ、頂きます。」


「頂きます。」


美味い。刺身はぷりぷりして食べ応えがある。野菜炒めもジューシーでガンガン焼きも美味しい。ヤマタドナも満足そう。よかった。


「ヤマタドナ、おいしい?」


「ああ、こうして誰かと食事をするのは生まれて初めてだが楽しいな。」


「そうなんだ。やっぱり龍には誰も近づかないも?」


「いや、いるにはいるがこのような形ではいないな。私は恐怖の対象だからな。」


「まぁ、その気持ちはわかるよ。僕もそっち側だし。」


「でも天狐は人といたのだろう?」


「二週間だけね。その前は別の世界に居たからだし、こちらの世界では恐怖の対象にもなってないからかな。」


「ふむ、そうなのか。それなら急に私以上の力を持つ存在が現れたことにも納得だ。」


「この世界の皆はもう僕のこと把握してるのかな?」


「おそらくしてあるだろう。ドラゴン以上にやばいのが出てきたと。」


「そっか~。」


「それだけか?」


「うん、だって現れても誰も何とかできないし、どうでもいいかなって。」


「ふふ、そうか、まあそうだろうな。」


「まぁ、恐怖の対象同士、仲良くしようよ。」


「それは天狐が私の旦那様になってくれればな。」


「それは考えておく。」


「楽しみにしておけ、私が必ずお主を虜にして見せると。」


「じゃあ楽しみにしておこうかな。」


「それと私は第二夫人でも構わんぞ?」


「え、第二婦人?なんで?」


「アースランドとやらが気になるのであろう。」


「いや、それは。もう終わったことだよ。」


「ずっと頭の中から離れないのにか?」


「…うるさい。」


「全く、頑固者が。よし、こうしよう。」


「なに?」


「二週間以内にアースランドがここまで来たら私は将来第二婦人になる。来なかったら私がお前の第一夫人になる。そのときアースランドは第二婦人だ。いいな?」


「まずアースランドさんともヤマタドナとも結婚するとは決めてないし。出会って二日目だよ。それにアースランドさんも僕のことは好きじゃないだろ…」


「結婚するのは将来的な話だ。まだ時間がかかろう。それにアースランドが天狐が好きじゃなければ私が第一夫人になるだけだ。」


「なら好きにして…」


「言質は取ったぞ。」


「でも幻術をアースランドさんにかけたから来ないだろうね。」


「いや、来るさ。」


「なんで?」


「天狐が屋敷と騎士にはかけてないのであろう?」


「まぁそうだけど。」


「心配するな。必ず来る。それはそれとして私との結婚は決まった。」


「?」


「夫婦の営みを始めようではないか。」


「いや、役所行ってないし、お風呂入りたい。」


「ふん、仕方ないな。」


こうして二人は食事をしてると気が付いたら夜になり、片づけをして、お風呂の準備を始めた。




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