第24話 龍と狐 無人島には何もない。

ドラゴンに求婚された後、なにをしようかと二人?で話す。


「ねえヤマタドナ、今日はなにするの?」


「やることなど何もないぞ、見ての通り、ここは無人島だ。強いて言えば一日海を眺めている。」

それだけかぁ、でも僕もそうだったな。釣りくらいしなよ。


「少し前の僕と全く一緒じゃん。」


「ほう、天狐は人間といるときは何をしていた?」


「仕事したり、お風呂入って長湯したり、一緒に出掛けたりとかかな。」


「…そうか、楽しんでいたのだな。ずるいぞ。」


「…魅了のおかげだよ。本当の意味で楽しめたのかはわからない。それまでは戦場にいたし。」


「…そうか。確かに人は魅了に掛かりやすい。お主からあふれる美貌にやられたのかもな。」


「そうだと思うよ、だって皆優しいし、」


「ふむ、それなら私と街に行き、デートでもするか?本当の意味で楽しませてやれるぞ?」


「いや、いいよ。そんな気分じゃない。」


「わがままな奴め、別に構わんだろう。」


「それに魔力で龍ってバレるでしょ、あふれ出しているし。」


「それは天狐も一緒だろう。」


「いや、僕はヤマタドナと違ってそこまであふれ出さないよ。尻尾が出てないし、それに魅了でごまかせる。」


「ずるいな。しかし私は抑えるのは嫌いだ。めんどくさい。」


「ふーん、そっかあ。」

ヤマタドナを見て少し考える。


「おい、何を考えている。天狐。」


「じゃあデートは無しだね。釣りでもしようか。」


「な、」


「どうしたの?ヤマタドナ。デートは無しだよ。」


「…」

無言になり、少し考えている。


「いや、抑えよう。私はデートがしたい、お主を旦那様にさせるためだ。」

そういうと魔力を押さえようとするがうまく収まらない。


「人型だから難しいんじゃない?」

おそらく形態が全く違い、うまく調節できていない。


「ふむ、そうか…」


「できないならやっぱりデートは無しだね。」


「な!なんだと!」


「だって抑えられないじゃん。龍の姿になるのは駄目だし。」


「この私が、出来ないだと…?」

悔しそうなヤマタドナ。少しがっかりしている。


「そもそも人の姿慣れてないんじゃない?」


「確かに、この姿は初めてなる。」


仕方がないので助け舟を出す。

「なら特訓する?どうせ暇だし。」


「いいのか!それなら早速特訓しよう!今すぐに!」

目を輝かせてこちらに顔を近づける。やっぱかわいい顔してるよなぁ、スタイルいいし、大きいし、話し方はちょっとあれだけど。


「わ、わかった。じゃあ早速始めようよ。」


「それと、胸が欲しくなったら言えよ?いつでも吸わせてやろう。」


「はいはい。」


こうして修行を始める二人。

五時間くらいたったが。やはりすぐにはできないらしい。


「もっと魔力絞れないの?緻密なコントロールしてよ。」


「な、いきなりそんなこと言われて出来るか!大体お主が魅了を周りにかければよかろう!」


「それだと効かない人が居たらどうするのさ、ばれて終わりでしょ。逃げられるけどさ。それに楽しみたくないの?デート。」


「む、そうだな。しかし何かコツがあれば。おい、ちょっと尻尾出してみてくれ。」


そういわれると尻尾を全開し、魔力の塊を顕現させる。天星眼も使い、黒文様を出す。

「これでいい?僕のは体内の別の場所から魔力を引っ張り出しているからそんなに参考にはならないとは思うけど。」


「いや、勉強になった。私もそうしよう。」

そういうと魔力を収納できる場所を体内に作り、魔力を格納する。さっきまであった魔力の圧が消えた。こんなことができる龍はやはり化け物だな。


「すごいじゃん、一瞬でできるなんて。」


「当然だ、私は龍だからな。それにこれなら必要な時に魔力を引っ張り出して使える。前より魔力の持ちがよさそうだ。」


「それならよかったよ。少し強くもなれたようだね。」


「感謝するぞ、天狐。」

頭を撫でながらお礼をしてくる。まぁ、悪い気分じゃないか。


「よし、さっそくデートに行くぞ!」

行こうとするが時間が遅いので止める。


「待って。デートはまた今度ね。」


「な、なぜ?私は頑張ったんだぞ!」

少し怒っているのでしっかり説明してあげる。


「もう夕方だよ、夕食の準備しなきゃいけないでしょ、デートはまた今度ね。」


「むう、しかし。」


「今からのんびり釣りしながら魚を取って、無人島にある食料を使って夕食を作る。別にいいでしょ?それに一緒にご飯を食べるのは楽しいじゃんか。」


「確かに、そうか。」


「わかってくれた?じゃあ魚釣ってきてよ。森のほうに入って食べ物取ってくる。」


「わかった、大きい魚を取ってこよう。」


「じゃあよろしくね。」


「うむ。それと私は野菜を作っているからそこから収穫するといい。」


「え、野菜作れるんだ。さすが龍。」


「当然だ!色々種類があるから見てくるといい。」


「ありがとね、ヤマタドナ。」


「べ、別に。」


こうして二人は夕食づくりに励むのであった。

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