第23話 狐と龍 無人島へ。しかし…

領地を飛び出し、無人島へ向かう。

かなり高く飛び、陸地に被害が出ないようにする。そのまましばらく移動し、ドラゴンがいる無人島に到着する。


「ここがドラゴンのいる島?」

あたりを見渡し、周囲を観察する。目の前にドラゴンがいる。あれがドラゴンのベッド?結構ふわふわしてそう。今フワフワっていったかしら?誰もいないし、波の音だけが聞こえる。いい音だ、前は木が揺れる音だったけど、こっちも悪くないな。


「作用だ、人の子。いや、獣人か?何をしにここへ来た。しかし貴様、私を見ても恐れぬとはな。」

ドラゴンがこちらに威圧をしながら声をかけてくる。


「いや、この前僕の力を感知しただろう?誰かはわかってるんじゃないのか。」


「如何にも。しかしいきなり私の所へ来るとはな、何の用だ。強き獣人よ。」


「寝に来た。」


「は?」


「だから寝に来た。」


「私と戦いたくて来たのではないのか?」


「こんな夜遅くに戦ったらダメだろ、それに今はそんな気分じゃない。」


「そうか、しかしなぜここに。」


「ここならだれにも迷惑かけないし、気軽に接することがドラゴンが居るからね。僕を見ても、本当の意味でも恐れない。」


「…お主も怯えられる様か、やれやれ、まだ私よりかなり若いのだろう。まあいい、寝床は貸してやろう。好きに使っていい。」


「しかし、お主、先ほどから言葉使いが怒ってるように見えるが、もしやいじけてるのか?」


「だったらどうする。もう寝る。」

そんなことを言いながら布団に入り、目を閉じる。皆のことが気になるけどもう終わったことだ。寝よう。


「さて、私も寝るか。しかし、このままじゃ寝てるときに押し潰してしまいそうだな。」

ドラゴンは女の人型になる。身長は180センチくらいでやはり大きい。布団に入り、腕枕をしてもらい、一緒に眠る。


「全く、初対面の者に腕枕を所望とはな、とんだ甘えん坊だな。危機感というものはないのか?」


「…」


「まぁいいか、寝たのか、強き人。私も寝よう。」

そのまま眠りに落ちる二人?であった。


しかし翌朝になるとドラゴンに叩き起こされる。


「…ぃ、おい、おい!」


「んー、ふぁに?」

なぜか口の中にになか入っていてうまく話せない。


「あっ。な、なにじゃない!どこに口をつけてるんだ!この変態め!それと手もさっさと放せ!」


「まら、もうひょっとねふぁい…」


「おいこら!そのまましゃべるな!んっ、離れろ!」

ドラゴンに頭を離される、ようやく目が覚めた。しかし顔を見ると真っ赤で胸を押さえている。


「ふぁあ。あ、おはようドラゴン。どうしたの?そんなに怒って。」


「ど、どうしたもないだろう!貴様、私の大事な所を弄びおって…」


「ごめん、寝ぼけてたからつい。というかなんで全裸なの?」


「貴様が服を投げ飛ばしたからだろう!」

ドラゴンが指をさすとそこにドラゴンの服が落ちていた。


「そうなんだ、なんかごめん。」


「全く貴様という奴は、責任取ってもらうぞ!?」


「何の責任?もしかして結婚?でもドラゴンとはなぁ、人じゃないし…」


「私が人型になれるからいいだろう!」


「え、」


「それに私もお主もずっと一人であったろう。いいではないか。」


「いきなり夫になれはちょっと。」


「私の胸を好きにしたのにか?」


「いや、初対面の人に求婚されるのは。」


「私のこと言えるか!いきなり私の寝床に来て同衾するなどと!」


「あれはドラゴンが僕の布団に入って来たのが悪いじゃないか。」


「私は慰めようとしてあげたのだぞ!いじけてる誰かさんをな!」


「それは悪かったけどさ…」


「それに屋敷から逃げ出してきたのにか?今さら遅い、お主がいなくなったところで誰も気にしないだろう。」

理由も話してないのにばれてる。さすがドラゴン。


「…結婚については考える。」


「そうか、いい返事を期待しているぞ、天狐よ。」


「あれ、名前教えたっけ?」


「記憶を見ただけだ。私は龍種のヤマタドナ。よろしくな。かわいい旦那様。」


「旦那様はやめてよ、ヤマタドナ。結婚はしないかもしれないじゃん。」


「ふん、知らん。その時はステリオス領を破壊してやる。」


「そしたら僕は君を殺すけどね。この土地ごと無かったことにする。」


「言うではないか、天狐。この私に向かって。」


「別に、できるから言ってるだけだよ。対して労力はかからないからね。」


「…まぁいい、私は今はお主に旦那様になってもらえるようやってみよう。」


「とりあえずよろしく、ヤマタドナ。」


「ああ、私こそ。」


こうして狐と龍の生活が始まるのであった。







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