第19話 VSステラ・アースランド

そう言葉を発すると二人は構え始める。

まずは分析。装備を見たところプレートがあり重量がある。防御重視だろうか。剣はロングソード一般的な剣だ。身体能力向上の魔法は使ってくるだろう。


観客席側では。

「おいおい、あの獣人可愛くないか?」

「ああ、えっちだ。」

「聞いたところあの狐男らしいよ?」

「まじか!?」

「俺ちょっとありかもな。」

「アースランド様に怒られるぞ。」

「おい、それはダメだろ」そんな感じの言葉が聞こえる。おい、聞こえてるぞ。


「おい、戦いに集中しろ。減給するぞ?」

サンドレス様が注意する。


「「「「「す、すみません…」」」」」


「それとあの子をよく見ておけ。この前の害獣駆除をしてくれた子だ。」


「そうなですのか!?だからアースランド様との訓練に。」

「あのサイズの害獣となると騎士でも3人くらいは必要なのでは…」

「でも実際に戦ってるとこは見えなかったのではと聞いていたが?」

「実はあの獣人が何か良からぬことをしたのではないか?」


そう騎士が話していると現場を目撃した騎士が話をする。

「確か私が駆けつけていた時にはすでに土の壁でなにも見えなかった。だけど土の壁が解かれると害獣が倒れていたよ。傷一つなく相手を倒していたから相当の手練れだろうな。私個人、勝てそうにない。」


「そうだろうな、俺の見立てじゃこの世界で勝てるものはいない。強いて言えばドラゴンくらいだ。」


「サンドレス様がそこまでおっしゃるのですか…」


その話を聞くと騎士たちは真剣にこの戦いを見ることになった。


場面は戻り、二人が激突するところから始まる。


「やぁ!」

アースランドさんが一瞬で距離を詰め僕に剣を振り下す。


僕はそれに答え下から小刀を振り上げる。

「フゥッ!」


剣同士がぶつかり合い、金属の接触音が周囲に響き、火花を散らしながらどんどんと二人は距離を縮めていく。


「よく防げたね?強い狐さん!」

「こう見えて、馬鹿力ですから…」


軽く言葉を交わし注意喚起する。


「でもこんなに距離を詰めていいんですか?」

そういうと魔力を小刀に流し、刀身を大きくする。

それに感づいたのか後ろに飛び距離を測ろうとするが、アースランドに傷を負わせる。


「その刀かなり伸びるんだね…」

腕を少しかすめ左手から出血する。


「…」

黙っているとアースランドは気にせず突っ込んでくる。


「はぁああ!」

右左上下斜め、隙の無い連撃で小刀から形態変化をさせないように攻撃してくる。突きも混ぜてき、実に厄介だ。だったらこっちも応戦だ。


アースランドさんの懐に入り込み軽く蹴りを入れ、距離をとる。

そのまま小刀をロングソードの刀身に変更し、反撃をする。


「はぁ!」

今度はこちらから詰め寄り連撃を浴びせ、相手を防戦一方に詰めていく。


しかし向こうも一歩も引かず、しばらく剣劇が続いた。すると途中でアースランドさんが動きを止め、こちらに問いかけてくる。


「ねぇ、天狐ちゃん。いつもその小刀使ってるの?刀でも怪物級の腕前だけど。」


「いえ、基本は素手です。そちらのほうが戦いやすいですから。これはたまにしか使いません。あとは陽動で使います。」


「…そうなんだ、じゃあ素手で戦ってよ、こっちも全力で行くから。全然余裕あるでしょ?」


「アースランドさんはいけますか?」


「私は平気だよ。」

その答えを聞くと、剣ではなく槍を出してきた。


「槍、ですか?」


「うん、実はこっちのほうが強いんだよね。皆にも隠してた。だから覚悟してね?強い狐さん。」

知らなかった。でも槍のほうがリーチも長く厄介だ。力があるアースランドさんなら槍のほうがあっているとも思う。


「わかりました。でも…」


「でも?」


「せっかくなので僕も全力で行きます。」

そういうと僕は小刀を納め、本来の戦闘体系になるのであった。

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