第16話 僕は文字を読めない。
害獣の件の翌日。
今日は何もなく平和に過ごした。仕事が終わると食堂に向かい夕食を食べているときに頭の中で考える。
僕はこの世界の文字が書けないし、読めない。どうにかして読めるようにはなりたいから誰かに教えてほしい。アースランドさんは騎士の仕事でしばらくいない。
食事中にも関わらず手が止まってしまい、そんな様子を見たのかメイドのノエミさんとマヤさんが声をかけてきた。
「あれ、どうしたの?天狐。食欲無いの?も、もしかして私が作ったご飯美味しくなかった!?」
「え?」
「さっきから手が止まってるわよ?狐さん。」
「ええと、いや、ご飯はすごく美味しいです。ただ、ちょっと考え事してて…」
「なに、言ってごらんなさい?お姉さんたちが解決してあ・げ・る!」
ノエミさんがからかうように言ってくる。
「も、文字が読めないのと書けないので、本が読めなくて、どう、しようかと…」
二人は顔をあわせ頷き、こちらを向く。
「その話!私が解決してあげる!」「手取り足取り教えてあ・げ・る。」
ノエミさん、ちょっといやらしくありません?
「え、そういうことなら、ぜひ、お願いします。」
「おっけ~。じゃあご飯食べたらお部屋に行くから待ってなさい?アースランド様がいないから私を襲っちゃだめよ?」
なに勝手にそんなこと決めてるの?いつアースランドさんのものになったって?
「だ、出しませんよ!」
「ノエミ先輩!逆に天狐に手を出したらアースランド様が怒るからそっちもダメではないかと思います!」
え、アースランドさんが怒るの?なんか以外。
「そっかぁ~。アースランド様は君ゾッコンだもんね?でもまだ出会って四日目くらいじゃない?なにに惹かれたんだろうね!しかし邪魔しちゃ悪いか!」
「え、も、文字教えてくれないんですか?」
「それは二人で教えるわ。部屋で待っててね、準備してあとで行くから。」
「あ、ありがとうございます。」
こうして部屋で二人を待つことにした。
二人が部屋につきドアを開けた。
「おまたせ~」「準備してきたよ!」
「ど、どうも」
「じゃあさっそく始めましょうか。」
「お、お願いします。」
こうして僕たちは文字の勉強を始めた。
少しだけ前の世界と似たような文字だったため、理解しやすい。どの世界においても文字の形は近いのだろうか。ただすぐには覚えられないから毎晩、教えに来てくれるようにしてくれた。夜が少し楽しみになった。早く読めるようになってラウラさんにお勧めしてもらった本よめるようになりたいなぁ。
しかし、ご飯を食べたあとは眠くなる。1時間くらい経つと眠気が来て、うとうとし始める。戦場にいるときは全く眠くならないのになぁ。やっぱ緊張感が違いすぎる。
しかしノエミさんが起こすように頬を引っ張る。
「いで。」
「こーら、眠っちゃ駄目でしょ?」
「す、すみません。」
「今日はあと少しだから頑張ろう!天狐!」
マヤさんに励まされ、勉強を続け始める。昔から勉強は得意じゃないからね、それも眠くなる原因かも。
またしばらく頑張り、今日の分はクリアする事ができた。
「お疲れ様。よく頑張ったね!」
マヤさんが頭を撫でてくる。
「はい、もう眠いです。ありがとうございました。」
ひと眠りしたらお風呂に行こう。そう思うと急に瞼が重くなり、ベッドのほうへ行き、腰かける。そのまま横になろうとするとノエミさんが抱きしめるように僕を包み込み、頭を撫でる。
「お疲れ様。」
その言葉に安堵したのかそのまま眠り、起きてお風呂に入る天狐だった。
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「どうでした?ノエミ先輩?」
「そうねぇ、なんか子供ができた気分だったわ。」
「天狐、ノエミ先輩に甘えてましたもんね。」
「ああいうところにアースランド様は惹かれたのかな?」
「どうなんですかね?。」
そう考え、後日アースランドに一緒に寝てる写真を見せ、
「天狐ちゃんは私以外とも同衾するの?もう知りません!」
と、言われなぜか理不尽に怒られた。
誤解を解くのに必死だった天狐をニヤニヤ見るノエミとマヤである。
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