第14話 仕事内容は社内ニート!

アースランドさんにからかわれた後は、服も着替えて、食事もとり、顔も洗った。準備満タンなので職場に向かう。

屋敷の守護に関してはいるだけで結界になるので特にすることはない。

今日は役所の人とのコミュニケーションをとる仕事だ。これが毎日続くのだろうか。そう考えていると職場につき、案内してもらった。役所といっても屋敷内にあるのですぐ着くけどね。


部屋に入ると皆の視線がこっちに向き始めたので挨拶をした。

「お、おはようございます。今日からこの屋敷で働く冥途天狐です。

よ、よろしくお願いします。」


「よろしくね。」「お!かわいいな!」「仲良くしてね~」

ちゃんと声が返って来たので安心した。変なの聞こえたけど。


役所の偉い人が声をかけてきて今日の仕事内容を伝えてきた。

「おはよう天狐くん、私は役所の責任者のアンドレアだ。サンドレス様から君のことを頼まれた。今日からよろしく頼むね。今日の仕事内容は皆と仲良くすること!以上だ!皆も仲良くしてくれ!」

そういうと偉い人は自分の仕事部屋に向かい質問責めにあった。


「しっぽないの?」「私の膝にどうぞ~」

とりあえず無視して仕事内容について聞きなおした。


「あの、今日の仕事は何をすればいいですか?仲良くするだけだとなにか、その…」

そう答えるとお姉さんに抱えられ膝の上に座らされた。柔らかいものが当たってる。


「さっきも言った通り私たちと仲良くするのが仕事だよ~?」

お姉さんに頭を撫でられながら答えられた。僕は人形じゃないんだけど。


「そ、そうですか、で、でもこのスキンシップはちょっと過剰過ぎませんか?」


「そうだよ!あたしと変わりなよ!」

違う違う、そうじゃない。


「フェデリカだけずるい!」

僕は人形じゃない。狐だ。


「ごめんね?可愛くてつい~?」

じゃあやらないでよ。


「あ、私はフェデリカね。よろしくね。狐ちゃん~」

膝の上に座らせてきたお姉さん。なんか独特。


「あたしはオルネラ!よろしく天狐!」

元気な人。


「私はラウラです。よろしくお願いします。」

オルネラさんとは逆タイプ?


「よ、よろしくお願いします。」


こうして挨拶をするとすぐ時間になり皆仕事をし始めた。


オルネラ、フェデリカ、ラウラの3人の膝の上を行ったり来たりしている。

他の人から見ると何やってんだ?となっている状況。本当に何をしているのだろう。

特に何か話しているわけではなく皆仕事に夢中になっている。ただ膝の上にいるだけ。たまに頭を撫でられるくらいだ。というかむしろ邪魔になってないか?僕はマスコットか何かだろうか?退屈だなと感じながら時が過ぎていくのを待った。


お昼になりようやく解放され、お昼を食べに行った。お仕事何もしていないのに「天狐用ご飯」と書いてあり、他の人よりたくさん食べる。これはただの穀潰しじゃないの?気まずくなりながらご飯を食べ、役所のほうに戻るのであった。


さすがに膝の上にずっといるのは気まずいのでフェデリカさんたちに聞くことにした。

「あの、僕邪魔じゃないですか?何もしてるわけではないので…」


「確かに何もしてないけど。いるだけでなんか十分だから大丈夫だよ~」


「そうそう!可愛いからあたしなんて癒されてるぜ!」


「「うんうん。」」


もしかしたら魅了が気づかないうちにあふれてる???まさかね。


「まぁ屋敷の守護とは聞いているから危ない人がいたらその時対処してくれたらいいからな!でも騎士の人いるし、なにもないかもな!」


「わ、わかりました。」

これはもう社内ニートの完成だ。これからどうなるのかな。


「あ、それか本でも読む~?色々あるよ~?」


「本、ですか?」

僕この世界の文字読めないよな…


「これ、おすすめですよ。私のお気に入りですよ。」

ラウラさんが本を渡してくる。


渡された本が目に入るけど、なんて書いてあるんだ?さっぱりわからない。

「す、すみません。文字、わからなくて…」

そう答えると三人が首を傾げた。


「え、天狐文字読めないのか!今までどうやって生きてきたんだ!?」

オルネラさんにすごく失礼なことを言われた気がした。


「確かにこの年なら文字を読めない人はほとんどいないですよね。皆学校に行っていますし…」

ラウラさんも少し戸惑う。

学校なんてあるんだ。え、僕そういうの行ったことないから気になるなぁ。


「えっと、違う場所から来たので、この土地の文字がわからないだけであって…」


「そういうことだったのね~」「「なるほど。」」


「じゃあ文字の練習でもする~?」


「い、いえ。皆さん忙しそうなので屋敷の人たちに聞いてきます。」


「でしたら、読めるようになりましたら私たちと本を読みましょう。」


「が、頑張ります…」


キーンコーンカーンコーン

午後の始業の合図が鳴る。


「チャイム、なっちゃいましたね~。そしたら皆さん午後も頑張りましょう~。」


「「「はーい。」」」


こうしてお昼の業務を開始するのであった。

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