第15話 午後の問題児。九尾の力。
お昼の業務が始まり、また何もしない時間が続くのかと思われたがそうはいかなかった。
「ん?」
「お、どうした?天狐?トイレか?」
オルネラさんが要件を聞いてくるが、全く違う内容です。
「ええと、だれか走ってきてるなと…」
足音がする。だれか走ってきている。その人を感知するとその人は役所の前にいる騎士に来て助けを求めた。
「なぁ騎士さんよ!誰か戦える人はいるか!?害獣が出て一般市民にまで被害が出てるんだ!けが人がいる!C地区の山付近の畑のところだ!」
役所の前で大声がする。皆がざわざわし始めた。
害獣?もしかして昨日あたりに感知した生き物?
「わ、わかりました!すぐに騎士団に連絡を取って対処します!少しお待ちください!」
そういうと騎士の人がこちらに来て応援を要請する。
「役所の方々!騎士団に至急連絡だ!害獣が出て一般被害あり!応援よろしく!場所はC地区山付近の畑!」
「わかりました!すぐ連絡を!」
オルネラさんが連絡を取ろうとするが、僕が現場に行ったほうが早い。
「あ、あの僕が先に行ってきます。」
「天狐?」
「場所は、いいです。わかります。先に行ってきます。
フェデリカさん!行ってきます!」
皆の静止を無視して屋敷を飛び出した。
天星眼の感知能力でどこに敵がいるのかはわかる。
なんかいるなとは思ってはいたけど無視していた。これくらいなら対応できるのだろうと。でも一般市民だとそうだといかない。そこまで考えていなかった。
早速現場に行き、被害状況を確認した。
農作物が荒らされているのと怪我人が5名。一人は重体、もう一人は…。駄目だ今は害獣の駆除が先だ。僕は治療ができないので怪我人たちにに魔力を与える。生存ラインのぎりぎりにはなるだろう。
「あ、あの、この人を早く病院に送ってください!あと駆除するので離れててください。」
周りの人たちがいたので指示を出す。
「わ、わかった!おい!運ぶぞ!」「「はい!」」
害獣はさっさと片づけよう。
とにかくまずは敵をおびき寄せなければ。
「この地に集まれ、魅了されるものどもよ。」
唱えると九尾の力である魅了を使って敵をおびき寄せる。
少しすると足音が聞こえ、姿を現す。
「「クォー!」」
ちょっとかわいい鳴き声を出しながら2体集まった。大きい熊みたいなもので4mくらいある。
「さて、始めるか。」
背中に魔力の塊である二本の尻尾が顕現する。これが天狐の戦闘モード。尻尾の数は九本まで変えられるが九本出すと魔力の圧がすごいのとこの程度なら必要ない。
しかし逃がすわけにはいかないので周りに土の壁を作り逃げ場をなくす。
逃げ場がなくなったのと危機を感じ取ったのか襲い掛かりに来る。
「「クオッー!」」
真正面から突っ込んできた。体格差を生かしたかったのだろう。
ただ、こちらは九尾で相手はそこら辺の害獣。
しっぽを伸ばし、喉を掴み取る。宙吊りにして足をつかないようにして、そのまま締め上げ窒息死させ、土の壁を解く。
周りにいた人達は土の壁で何も見えなかったがその壁がなくなると狐の獣人と倒れている害獣を見た。
「あ、あの、終わりました。」
そう声をかけると皆が声をかけてくれた。
「すげー!」「踏まれたい。」「なにしたんだ!」
変な声が聞こえたが無視をして周りの人と話す。
感知して確認してみるけどほかに害獣はいなさそうなことを伝えると騎士の方がこちらに来てくれた。
「助かった。感謝するよ。例の獣人さん。」
僕のことを知っているの?あ、アースランドさん経由か…
「い、いえ。大したことはなかったので。それに昨日感知できていたのに無視してて…」
「仕方ないさ。それに君は悪くない。君のおかげで助かった命もある。」
「あ、ありがとうございます。」
騎士の人と話し終えると害獣をお肉屋さんまで運んだ。お肉の解体中にお金がないのを忘れてたので1頭そちらにわけると交渉し、何とかしてくれた。お肉ももらったので屋敷に帰還した。
「た、ただいま戻りました。」
お肉屋さんで帰りが遅くなり、誰もいなかった。
みんなに聞くとフェデリカさんたちは害獣駆除の結末は電話で聞いていたので帰宅していた。
こうして初日の勤務が終了したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます