油炒めと僕
劣等人間
第1話
僕は油炒めに命を救われた。
油炒めが何かって?
油炒めは僕が考案した料理だ。
正式名称は『
作り方は簡単だ。
フライパンに油を適量入れ、0.5合の米を強火で炒める。
ただそれだけだ。
作り方はシンプルだし、必要な食材も少ない。
なおかつ、チャーハンを食べた気になれるというのもでかい。
調味料は一切使ってないから、あくまでもそういう気分になれるだけだが。
この食べ物は、僕が上京して大学に通っていた時によく食べていた。
実家も色々と仕送りをしてくれていたのだが、裕福な家庭でもなかったので僕は断った。
学友に「おごってくれ」なんて言える性でもなかった。
その為、昼は大学に行き、夜は夜勤の毎日。
東京は物価も地価も死ぬほど高い。
もちろん、食費に割くほどの余裕がなかった。
死に物狂いで働いた。
でも、体力が追い付かなかった。
最初はもやしを食べて飢えを凌いでいたのだが、炭水化物の偉大さを思い知らされた。
そして、いかに安上がりできてエネルギーを確保できないかを模索した。
その結果、この料理が生まれたというのがいきさつだ。
もう、大学を卒業して数年が経つ。
ちゃんと就職もでき、今では食い扶持に困ることはない。
美味しいと言われる料理も色々食べた。
でも、今でもあの料理に勝るものはない。
実家に帰った時に、母さんに説明すると腹の底から笑われた。
誰がなんと言おうと、油炒めはこの世の中でナンバーワンの料理だ。
健康的にやばそうだったので今では食べてないが、あれが無かったら僕は死んでいただろう。
油炒めと僕 劣等人間 @yuruyama
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