【詩】愛人という名の私
菊池昭仁
愛人という名の私
シワになった白いシーツ あなたの残り香 温もり
私は今夜もあなたの香りに包まれて 独りで眠る
飲めないお酒 嫌いなタバコ
私はあなたを真似てみる
あなたの気持ちが知りたくて
あなたのすべてを奪いたい
妻という一文字に負けている 「愛人」の二文字
恋はするものではなく落ちるもの
落ちて 落ちて
あなたにもっと 深く沈んでしまいたい
線香花火は燃え尽きる最後が美しいわ
華やかさよりも 消えゆく切なさが素敵
「私のこと愛してる?」 そう尋ねてもあなたは目をそらし 静かに微笑むだけ
もうすぐ午前零時の鐘が鳴る あなたは狡いペテン師ね?
そんなペテン師を好きになった私はただのおバカさん
あなたに掛けられた 私の呪縛を解いて頂戴
男のくせに あなたはシンデレラのつもりなの?
「馬車がカボチャに変わらぬうちに」と あなたは白いシャツを着てネクタイを締める
忘れているわよ 私が脱ぎ捨てたガラスの靴を
そのガラスの靴は私
あなたのKISSで魔法を解いて
私の夢が永遠に醒めないように
「お願い 帰らないで!」
その一言が言えない
午前零時を過ぎてしまうと 私は何も言えなくなるから
私はひとり ベッドでドアの閉まる音を聞く
「生き甲斐」という名のあなたが去った この部屋の片隅で
【詩】愛人という名の私 菊池昭仁 @landfall0810
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