第3話 王子との放課後風景


***


ご飯を食べあり、和やかに話していてふとスマホを見ていたら、5時間目の授業の時間に近づいていた。


あき君、そろそろお昼休み終わるから、僕達も校舎戻ろっか?」


「、、、、、、、、ムゥ (涙目)」


あき君?」


僕がそう言うとあき君は顔をムクれ顔で涙目で、僕と顔を見る。、、、、この顔はあれだな。離れたくない顔だな。昔から良くやっていた顔を久しぶりに見て懐かしいな、と思いながらあき君にある提案をする。


「、、、、(ため息)、あき君、今日一緒に帰る?お母さん達にも会ったりする?」


「!!?良いの、りんちゃん!?」


「うん、お母さん達も喜ぶと思うし」


僕の言葉を聞いた瞬間、顔を途端に笑顔にし明るくなった。すると体を振るわせたからと思えば、僕を見るなり抱きついて来た。


「ムグッ あき君、苦しい。喜び過ぎ」


「だって、10年ぶりだよ!りんちゃんのお母さん達に会えるのとっても楽しみ!」


「なら、良かった笑」

「って、本当にそろそろ教室に戻ろ、」


「うん、あっ!俺迎えに行こっか?」


「!!?」


そう笑顔で言うあき君に超絶驚いてしまった。急いでどうにかして迎えに来させない様に言葉を出す。


「あ、あのね、あき君、この学校でどんな風に見られてるか、知ってる?」


「?そりゃあ、クールで笑顔の少ない学校のしゅう王子様でしょ?」


「、、!知ってたんだ?」


「まぁ、この設定を作り上げたのが俺の友達だもん」


「お友達、、、、じゃなくて、その人気者のあき君が僕のクラスに入ったら、騒がれるよ」

「そのままの性格で来たら、多分騒がられるから、クールの方がまだ、」


そう言うと途端にあき君は少し寂しさな顔をしてこっちを見た。あ、変な事言った。そうだ、作られた性格を肯定されている様なものだ。違う、僕が言いたいのはこうじゃない、そう心の中で悶々としといたら、あき君の口が開いた。


「本当の俺の性格はダメ?クールな俺の方が良い?」


「、、、、ち、違う。違うの、たださ、その、あき君の本来の性格は優しくて明るくて僕にとっては光だし、そのだから、周りの人達に素のあき君をみ、見られたくなくて、」


「、、、、」


「僕だけが知っているあき君を他の人にはみ、見られたくないんだ、その変だよね?」


そう言っている僕の顔は多分、顔は真っ赤であろう。だって体暑いし。僕があき君の顔が見れず目線をずらした途端に、体を引き寄せられたと思えば、顔を掴まれたと思った瞬間、口に何か柔らかい物が触れた。目の前にはあき君の顔が5cmぐらいの距離にある。これは、まさか


「!!????、、、、、(何これ、何これ、キス?キスだよね?!)」

「(何で、キスされてるの僕?!!?)」


何て混乱していると、30秒たった頃にあき君の唇が離れたと思えば、何故かあき君も混乱し始めた。


「?、、、、、、、、!?、、何で俺、りんちゃんにキスしたの?」


「それは僕が1番聞きたいやつ!!?」


「あっ、だよね。、、、、、、、、マジでごめん」


ボケた様な事を言うので瞬時にツッコめば納得したかと思えば少し考えて、こちらを見たと思えば、自分がしでかした事に気づき、正座をして頭を深々と下げたと言うか、土下座をした。


「別に良くはないけど、謝ったりしないでよ。その、少し嫌ではなかったし、てかも、もう僕、教室戻るね!」

「、、、、あっ、教室に迎えとかしなくて良いから!絶対にね!校門に待ってて!!」


「いや、絶対迎えに行くから!!、絶対!!」


「大丈夫だって!!」


この空気に耐えられないのと今は顔を見られたくないと言う恥ずかしさから、そう言ってお弁当箱などを持って、急いでその場から離れて教室に駆け足で入った。


「ただいま」


莉衣りい君、おかえり〜、って、どうしたの、顔真っ赤だよ!!?」


「へっ?、あ、顔?だ、大丈夫、ちょと走ったから、赤いだけ」


「なら、良いけど」


「りぃが顔真っ赤になるまで走るとか珍しい〜、何遠いとこで食べてたの?」


「まぁ、普段ギリギリで走りっぱなしののぞみとは大違いですからね」


麗華れいか言い方笑、ま、顔が真っ赤なりぃ見るのも新鮮だから、良いな?な、大翔ひろと?」


「おう!いつも冷静で顔が真っ赤なのとか、滅多に見れないから結構嬉しいし!」


「そうだね笑、何かあったのかと思った〜」


「ごめんごめん笑、光莉ひかり心配させてごめんね」


顔がまだ赤かったのか、光莉ひかり達が心配して来たが、軽く安心させると、前の扉が開くと先生が来た。


ガラガラ


「おーい、座れ〜、授業始まるぞ〜」


ザワザワ ガヤガヤ


「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」


「(ヤバ、早く授業の準備しなきゃ)」


急いで、椅子に座り教科書やノートを机に出して授業を聞く。この時間だけなら、あき君の事を良い意味で忘れさせてくれる。放課後までの間は考えない様にしなきゃ、!!

そう思い、僕は5時間目の授業に集中し始める。





*****



キーンコーンカーンコーン


「これで、授業は終わり、部活行く人は行っても良いし、帰る人は気をつけなさい」


「「「「「「「「「はーい、」」」」」」」」」


そう言って先生が教室から出て行き、6時間目の授業が終わった。帰りの支度を座りながらしていると前から人影が見えた。


「?、、、光莉ひかりどうした?」


「ぁ、いや、その何かあった?午後ずっと心ここに在らずだったから、」


そう心配な表情を浮かべる光莉ひかり。他の4人も同じくらしく、気になっている表情をしている。


「大丈夫だよ。ちょーと、考え事してたから」


「なら、良いんだけど、でも何かがあるのであれば、すぐ言ってよ?」


「はいは 「りんちゃ〜ん!!」 !?、、、、 (ため息)」


そこで話は終わるはずだった。だが、右からあの声が聞こえてしまった。あの、呼び名が聞こえてしまった。そして声の方向を見れば、あの男、速水秋夜はやみしゅうやが笑顔の表情を浮かべながらこちら、僕の探す様に居た。そして周りは驚きと興奮した様な顔で騒いでいる。そして目の前に居る光莉ひかりは驚きの表情を浮かべながら僕の顔を伺う。


「、、、、りんちゃんって、、、!まさか、莉衣りい君」


「、、、、」


「りんちゃんって誰だ?」

「てか、何で王子が居るんだ?」


「さぁ、俺らのクラスに“りん“って言う名前居ないはずだよな?」

「て言うか、のぞみの言うしゅう王子とは真逆の性格っぽいし」


「はい、私が知っている限り、苗字にもりんと言う字ば入ってませんよ?」

「確かにそうですね。聞いていた性格とは違う気がしますわ」


「私も知らないなぁ〜、りぃ知ってる?」

「あんな明るい性格だと思わなかった」


「、、、、ん〜、僕も知らないか 「あっ、りんちゃん居た、!」、、 グイッ ちょと、あきく、」


喋ろうと声を発した瞬間、あき君の声がまた聞こえたかと思えば、こちらに向かってくる足音がした瞬間、手を恋人繋ぎで掴まれて、引っ張られた。


「さっ、帰ろ!」


「ちょ、待って荷物あるから、本当、待て!」


そう言うとあき君は少し止まってくれて、急いでリュックを取った瞬間にまた、あき君は動きだし、教室から出ようとした瞬間に、大きな声が右側から聞こえた。


秋夜しゅうや何してんの!?何で素の性格だして!!?」


「うわぁ、久しぶりに完全な素のしゅう見た気がする。てか、佳奈かな落ち着いて、皆が見てる」


「落ち着いている場合!?あたしがどんな思いで、秋夜しゅうやの性格隠してきたか!歩夢あゆむも知ってるよね?!」


「知ってるけど、落ち着かないと話にはならないし」

しゅう、他の3人も何でそんな風になったか聞きたがってたから、教えて?」


佳奈かな歩夢あゆむ、それは明日で良い?」

「今日は無理!!」


「はぁ!?明日って何!てか、その子誰!?」


フランクに話し呼び捨てでお2人の事を読んでいるあき君に何処か懐かしい気持ちとちょと良いな何て、思っていたら、後ろから大きな声が聞こえた。


莉衣りい君!明日、絶対に聞くからね!!」


光莉ひかり!!うん!分かった!絶対に言う!」


そう言って僕とあき君は学校から出た。出てから、数分は手を繋いだまま、何も話せなかった。この沈黙が耐えれず、僕は意を決した。


「、、、、ねぇ、聞いて良い?」


「コクッ」


「何で、素の性格で迎えに来たの?」

「友達の2人も驚いてたし、他の生徒達も」


「、、、、、、、、だって、俺この作られた性格嫌いなんだもん(ボソッ」


「、、ぇっ?」


黙ったままかと思えば、小声で何かを喋り足を止まられたあき君。顔を覗けば、その顔は辛く悲しそうな顔でとても驚いてしまった。


「、、、、あき君、理由教えてくれる?」


「うん、その、この性格が出来たのは中1の時、さっき一緒に居た佳奈かなって言う女子と、歩夢あゆむって言う男子、もう1人雅人まさひとって言う男子が居るんだけど、その3人は転校先の小学校でずっと同じクラスだったんだ」


「うん、」


あき君の言葉を真摯に聞こうと、なるべく頷きなるべく返事をしようと思いながらまた2人で歩き始めた。


「他にも2人友達が居るけど、2人は中学からの付き合いでさ、5人の前だったら素の性格を出せた」


「うん、そっか」


「この性格を作った理由はね、俺さ、父さんに似てイケメンらしいから色んな女子に告白されたんだ。俺は嫌じゃなかったけど、心の中ではずっとりんちゃんが居たから、断ってきた」

「たがら、3人にね、どうやったらモテなくなるかって相談したらね、こう言ったんだ」


「何て?」


「『クールで笑顔を見せない、ちょと冷徹な性格で私達以外、後他にあたし達が仲良くなった子が居るなら、その子達にも素の性格を出して良い』って、言われたんだ」

「最初は良い案だなって思ったんだけどね、でも、中学に上がってからは周りから『クールな速水はやみ君、カッコ良すぎる!』『マジで、またに見る笑顔が良い!』『でも、もしあの顔で笑顔がいっぱいの陽キャってのは嫌だよね。クールな方が良い!』みたいな事いつも言われてきて」


そう言うあき君の顔は辛くそして嫌な事を思ってしまった顔だった。その時、あき君の気持ちが分かってしまった。だって、本来の性格より作られた性格を中学の3年間と高校の1年間、ずっと肯定され続けたんだ。そんな中、友達5人と家族以外に素の性格を見せる事は出来ず、学校ではずっと作った性格で過ごさないといけない。

自分の本来の性格はダメなんじゃないか、こんな性格は俺には似合わないんじゃないか、この性格の俺は嫌われるんじゃないか、何て考えながら過ごして来たと思う。そんな時、僕と再会してどんな気持ちだったろう?素のあき君を家族よりも知っている人に会えたら、はしゃぐに決まっている。


僕自身、可愛い物が好きだっただけで周りから変な目で見られる事なんて何回もあった。そんな時、あき君が助けてくれた。否定してくれなかった。好きな物に理由は要らないって!性格だってそうだ、自分の性格じゃなくて作られた性格を肯定されるって事は、好きな事を隠して嫌いだって演じなきゃいけないって事だ。そんな、苦痛を感じながら、過ごすのはとても辛い。

そんな思いや感情が頭の中で駆け巡って、どうやって何を言って良いか、分からないが今僕が言える言葉を言う。


「、、、、あき君、大丈夫。僕は本来の性格、優しくて頼りになって明るく元気で正義感の強くて犬っぽくて僕を甘やかすのが得意なあき君が好きだよ?」

「教室まで来たのはびっくりしたけど、嫌ではなかったよ?だって、迎えに来てくれるぐらい、僕の事が好きだって分かったから」


「!!、、、、、、、、ポロポロ ポロポロポロ (号泣)」


僕が思った事をあき君の顔を見ながら言うと、途端にあき君の目から大粒の涙が出しながらしゃがみ込む。するとあき君は口を開いた。


「そう言って貰うのは本当久しぶりだ。やっと肯定された。俺の性格は変じゃないんだ(泣)」

「別にね、佳奈かな達が悪いんじゃない、俺が相談した結果、性格を変えるって事になった。5人にも個人の時間は必要だし、家族も忙しいから、素の性格を人前で出す事なんてあんまりなくて、ずっとずっとりんちゃんに会いたかった」


「えっ?」


「りんちゃんは俺以上に俺の性格を知ってる。りんちゃんなら、作られた性格より本来の性格をどんだけ好きかも知ってた。たから、りんちゃんに褒められたかった」


「、、、、そっか。うん、なら、僕はずっとあき君を褒め続ける。貴方が満たされ続けるまでね」


ナデナデ


そう言って、僕はしゃがみ込んだあき君の頭を撫でた。


「よし、そろそろお母さん達の喫茶店着くから、行こ?」


「!ん!行こうか!」


笑顔で答えながらあき君は瞬時に立ち上がって僕の手を繋ぎ再び歩に始めると5分程で喫茶店の看板が目に入り、少し急足になりながらも、喫茶店のドアを開けた。


ガチャ カランッカランッ


「いらっしゃいm って、莉衣りいか、何だ。珍しいな。学校から直行でうちに来るなんて」


「ちょっと、またには良いかなって、お父さんその他のみんな居る?」


「あぁ、母さん達は裏に居るから呼ぼうか?」


「うん、お願い」


僕がそう言うとお父さんは裏に行こうとした瞬間、僕の後ろに居るあき君の顔を見て、止まった。考え込んだ後、疑問口調で声を発した。


「、、、、、、、、もしかして後ろの男の子、秋夜しゅうや君かい?」


「、!はい、お久しぶりです。りんちゃんのお父さん。速水秋夜はやみしゅうやです」


「お父さん良く分かったね。僕、初見では分かんなかった」


「雰囲気とかで分かったんだ」


「!!!!、秋夜しゅうや君ですって!?、、、、あら、本当秋夜しゅうや君じゃない!!」


「お母さん!何処から聞いて」


「りんちゃんのお母さん、お久しぶりです。相変わらずお変わりなく」


「あら、嬉しい事言っちゃって笑」

「、、、、背伸びたわね?」


荒々しく裏から現れたのは現役バリバリの調理師の母だった。母はあき君を見るなり、興奮した様にはしゃいだ。母は興奮が治ったのか次にあき君をマジマジと見ていた。


「はい、180ぐらいです」


「、、、、よし、羅衣らいの方が2cm高い!」


「何、羅衣らい兄で戦ってるの」


「だって怜衣は176cmだし、しょうがないじゃない」


「何処もしょうがなくないし」


「、、、、フフッ」


何て母と喋っていたら隣に居たあき君が嬉しそうに笑っていた。その笑顔はあの当時、まだ引っ越す前までのあき君の笑顔だった。無理に作った作り笑顔じゃなく、純粋に笑った笑顔だった。


「//// あき君、何で笑ってんの!」


「いや、何か懐かしくてこの光景笑」


「!、、、、確かに、あき君が居た時は良くこんな事してたね」


「うん、昔は良くお泊まりとかしてたし、楽しかったね」


何て笑っていたら、前に居た母が何かを思い付いたのか、こちらをあき君の見て来た。


「!、、秋夜しゅうや君、良かったら今日泊まっていきなさい!」


「、、、、!!?はぁ!何言ってんの!迷惑でしょ!」


「何言ってるのよ。昔は良くしてたでしょ?」


「昔は昔、今は今だから、てか、あき君の意見も聞け!」


「お父さん、今日私早上がりでも良いかしら?」


「ぇ?あぁ、良いけど」


「人の話を聞けよ!!!!」


何て僕の大声が店の中で響、少し落ち着いたと思えば、隣の馬鹿がバカな発言をした。


「俺も泊まりたいな!楽しみ!」


「ほら、秋夜しゅうや君も良いって言ってるし!」

「そうだ、久しぶり四葉よつばちゃんに連絡しなきゃ!」


あき君、何言ってんだ!!」

「お母さんも四葉よつばおばさんに変な事さんな!!」


莉衣りい、母さんのあれはどうにもならん、」


ここで、少し母の暴君にイラついている僕の代わりに説明しますが、四葉よつばおばさんと言うのはあき君のお母さんで、お母さんの小中高大学生時代の同級生であり親友に当たる人、言わば約16年間母のそばに居た人である。母の思惑や思い付きに何度巻き込まれた人か、お父さんに何回聞いたと思っている。


「もう、あき君、僕の家行こ!!」


「えっ、うん。じゃ、あのまた後で、!」


「えぇ、あ、今日の夜ご飯はカレーライスよ!」

「トッピングは確実制作!!」


「はーい、!了解!」


その場に居るのも確実に疲れると悟った僕はあき君の手を掴んで、喫茶店から出て急足で自宅に2人で向かった。

この時の僕は頭に血が昇っていたのであろう。



***



























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