君のヒーローになれたかな
ガレイド
第1話プロローグ
力が及ばないばかりに君は僕の前から消える。
一度目の危機では君を助けることができたのに。
でも、君は助けられたけど君の両親は守れなかった。
何もできないとはまさにこのことなんだと思う。
君がいなければ仲間たちはもう何度死んでいたか分からない。
かくいう僕も守ってもらっていた。
君がいるだけで死なないという確信があった。
それは私だけじゃなくほかの子もそうだと思う。
君は言っていたよね0か100だと。
背中を預けて戦った。君とならだれが相手だろうと負けるわけがないと思っていた。でも、僕は期待に応えられなかった。
失敗した。
僕が恐れたから君は今から死ぬのだろう。
安全地帯に来るまで殿を務め守り切ってくれた。
何をしているんだろうね、僕は。
僕が攻め、君が守る。そうやって敵を幾度となく倒してきた。でも、あの日は君がすべてを担った。
だから君は死んだんだ。人間にできる範疇を超えていた。手段を選んでられなくなって切り札を切らざるを得なかったんだ。それはひとえに僕の力不足が招いたことだ。
悔しくて仕方がなかったよ。何もできないことがあんなにも惨めだとは思わなかった。
あの日からはしばらくの間情けないことに何もする気が起きなかったんだ。
第二の家族である君を失ったからね。でも、おれていた僕を仲間たちが直してくれた。僕が団長であるにも関わらずだ。今更ながらに良い仲間を持ったと思うよ。
今これから君が致命傷を与えた魔王との戦いだ。君が戦った時よりも力は半分しかない。
君がつないでくれたバトンを僕は成し遂げて見せる。
だから見ていて、今から世界の英雄になってみせるよ。
あの時の約束を果たしてくる。
日差しが差し込み、暖かなぬくもりに眠気を誘われる。
しかしそこに僕を呼ぶ声が訪れる
「起きなよ!リオ!」
「良い感じに眠れそうだったのに何で起こすのさ」
「あんたのお父さんにどうせここで寝てると思うから起こして来てくれって言われたのよ!毎回おこしに来てる私の身になってよね」
「別におこしに来てくれなくていいんだけどなー」
「何馬鹿なこと言ってんの、あんたに任せられてるお仕事しっかり果たしなさいよ」
「そのお仕事って畑を耕すことでしょ。こんなに暑いのにやりたくないよ~」
「我がまま言ってないで早く一緒にやるわよ。一緒にやってあげるんだからしっかり今日の分終わらせるよ」
「でもクリスも仕事あるんじゃないの?」
「言ってなかったけど私の仕事は午前中に終わらそうと思ったら終わらせれるから大丈夫なのよ」
「え~らくそうでいいな~」
「あんたも動物の餌やりと掃除、やってみる?莫大な量の仕事だけど。朝だけで仕事おわるよ?」
「それならやめておこうかな。朝は起きれないからね」
「はぁーそんなんじゃ大人になったときに困っちゃうよ?」
「良いんだよなるようになるさ」
「どうなるんだか…」
軽口を言い合いながらお父さんのところに向かった
自己紹介がまだだったね。
僕の名前はリオネル、13歳
そして、僕と話してた子はクリス。僕といつも遊んでくれる同い年の子。とってもいい子で勝気な子。
今からお父さんの仕事のお手伝いに向かわなくてはならない。
こういう手伝いは私がいてもいなくても変わらないはずなのに手伝えって言ってくるから面白くない。
「お、やっと来たかリオ。いつもごめんなクリスちゃん。」
「いえいえ、この子がぐーたらしてるからいけないんですよ。」
「いつも連れてきてくれてるお礼にお菓子でもあげよう。」
「いいんですか!」
「もちろんだとも、今からうちの奥さんに作ってもらうから待っておいてくれ。」
「分かりました!」
「僕の分もあるよね!」
「仕事してないものの分はない」
「ええーなんでー」
「じゃあ今から行ってくるから」
「なんでクリスにはあんなに優しいんだよ。」
「それはあんたがお利巧さんにしてないからでしょ」
「それはそうなのかもしれないけどさー、なんか納得できないなー」
「でもいつもあの場所で寝てても怒ったりしないんだから優しいと思うよ。」
「そうなのかなー」
「そうだよ」
それから20分ぐらいしてお父さんがお菓子を持ってきてくれた。
でもお父さんの宣言通り僕の分はなかった。その時はちぇって悪態をついていたが、
「仕事をしっかり手伝ってくれたら家に帰えってからお母さんにお菓子作ってもらえるからそれまでは仕事を手伝いなさい」
って言われてお菓子が待ってるなら頑張ろうと思えた。
そして、仕事が終わり家に帰るとお母さんがお菓子を作ってくれた。
「今日はしっかりお父さんのお仕事しっかり手伝ってくれたんでしょ?」
「もちろんだよ!めっちゃ頑張った!だからお菓子いっぱい作って!」
「頑張ったのね、じゃあご褒美が必要よね。たくさん作ってあげるから待ってなさい」
「はーい!」
それから少したってからお母さんがお菓子を作って持ってきてくれた。
このお菓子はとてもまろやかで好きなのだ。甘いものがそこまで好きではない私にお母さんが開発してくれたお菓子で、このお菓子を食べてから甘いものが好きになった。
「またしばらくしたら晩御飯があるから御飯が入るぐらいにしなさいね。」
「はーい!」
嬉しそうに頬ばりながら答えるとお母さんは微笑みながら
「本当にわかってるのかしら。」
と言っていた。
しかし、私はお菓子を食べすぎて晩御飯が食べられず呆れられてしまった。
とても平凡だけど幸せな日々だった。これ以上ないくらいにはかけがえのない日々だった。
でも、その日常は壊れてしまった。村が壊滅したあの日を境に。
僕らの日常は変わってしまう。この先にはいくつもの災難が待っている。
覚悟を持ち進まなければならない。
今も時計の針は無情にも進む。
君のヒーローになれたかな ガレイド @gareid53
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