第2話 イチャイチャ

「へぇ~、ここが護くんの家か。結構キレイだね」

「昨日掃除したんで……」

「ふふ、アタシが来るから掃除したんだ」

「はい」


 昨日本気で掃除したんだよな。

 たぶん掃除頑張ってなかったら、東雲さんドン引きしてたと思う。

 掃除する前の部屋、めっちゃ汚かったから。


「ねぇどこにエッチな本隠してるの?」

「そんなの持ってないですよ」

「いやいや、そんなわけないでしょ。若い子は絶対持ってるもんだよ。ほら、正直に言ってごらん、どこにエロ漫画隠してるんだい?」

「いや、本当に持ってないですよ。俺、AVとエロ漫画はデジタルでしか購入しないんで」

「あ~、なるほど」


 AVとエロ漫画はデジタルでしか購入したことない。

 だから、何度俺の部屋を探してもエッチなお宝は出てこないぞ。


 東雲さんは俺が普段寝ているベッドに腰を下ろす。

 俺も彼女の隣に座った。


 距離が近いため、彼女から甘い香りが漂ってくる。

 いい匂いだな……。

 なんで女の子ってこんなにいい匂いするんだろう。

 わけがわからないよ。


「護くんは誰かとキスしたことある?」

「な、ないです」

「ふふ、そっか。ならアタシとしてみる?」

「え?」


 アタシとしてみる、だとっ……。

 そんな素晴らしい日本語存在していいのか?


「い、いいんですか?」

「うん、いいよ。アタシたち、もう夫婦だしね」

「た、確かに、もう俺達夫婦ですもんね。き、キスしますか」

「うん、しよ♡」


 東雲さんは目を閉じて、俺に唇を差し出してくる。

 俺はそっと彼女に近づき、柔らかそうな唇を優しく奪った。


 やべぇ……キスしちゃったよ。しかも、相手めっちゃ美人だし。

 本当にこんなことしていいのかな?

 謎の背徳感を感じながら東雲さんの唇を楽しむ。


 10秒ぐらいが経ち、俺達はそっと唇を離す。

 

「どう、アタシとのキスは?」

「さ、最高でした」

「ふふ、素直でよろしい」

「東雲さんは俺とのキスどうでした?」

「すっごくドキドキしたよ。キスすんの久しぶりだからね」


 東雲さんもドキドキしてくれたんだ。

 なんか嬉しいっ。

 

「ねぇ、そろそろアタシのこと名前で呼んでくれない?」

「な、名前ですか?」

「うん、東雲しののめじゃなくて有沙ありさって呼んでほしい」

「わかりました、有沙ありささん」

「もう一回呼んで」

「あ、有沙さん」

「もう一回」

「有沙さん」


 そう呼ぶと、有沙さんの顔は少しだけ赤くなる。

 恥ずかしいんだろう。


「護くんに名前で呼ばれると、なんかドキドキしちゃう……ははっ、なんでだろうね」

「……」


 なにこの人、可愛すぎるだろ。


「ねぇ護くん」

「はい、なんですか?」

「もう一回キスして」

「いいんですか……?」

「うん、してほしい……」

「わかりました……」


 再び俺達は唇を合わせる。

 すぐに唇を離すと、有沙さんが「ダメっ、もっとチューして」と懇願してきた。

 この人、さっきから可愛すぎるだろ……。


 再度、有沙さんの唇を奪う。

 何度も唇を離したり、くっつけたりする。


「んっんっ、ちゅっ、ちゅっ……護くんっ」

「有沙さんっ……」

「んっ……ちゅっ、ちゅっ」


 お互いの名前を呼びながら相手のことを求め合う。

 気づいたら、舌を絡め合う大人のキスに変化していた。


「んっんっ……ちゅっ、んっんっ、ちゅっ、ちゅっ」


 やばいっ、興奮しすぎて理性が……。

 正直、今すぐ有沙さんのこと襲いたい。

 けど、そんなことしたら有沙さんに嫌われるかもしれないし。

 それは嫌だっ……。

 

 突如、有沙さんがキスしながら俺の大事なところを触ってきた。

 え? この人、何してんの?

 そんなことされたら我慢できないよっ……。


「護くんのここ、すごいことなってる……」

「……」

「アタシとシたいの?」

「そりゃしたいですよ……」

「ふふ、君は本当に素直で可愛いな」


 有沙さんはそう言ってチュッとキスしてくる。

 すぐに唇を離し、俺達は見つめ合う。


「いいよ、エッチしよっか……」

「え? まじで言ってます?」

「うん、マジだよ」

「けどその……俺とすんの嫌じゃないんですか?」

「全然嫌じゃないよ。アタシ、護くんとシたいっ……」

「……」


 やべぇ……今日童貞卒業できるかも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る