大好きな人に浮気されたので、自分も浮気します!

理亜

第1話 結婚

 少子高齢化が進み、強制結婚制度というものができた。

 18歳になったら国が選んだパートナーと強制的に結婚する。それが強制結婚制度。

 ほんと、とんでもない制度だな……。

 

 そして今日、国が選んだ女の子が俺の家に来る。

 俺はその子と結婚し、子作りセックスまでしないとダメだ。

 子供が生まれたらその子と一緒に育てないとダメだし……。

 つまり今日が人生のターニングポイントってことだ。

 

 どんな相手が来るんだろう……。 


 10分後、インターホンの音が家全体に響き渡る。 

 遂に運命の相手が来たか……。


 俺は玄関に向かい、ゆっくりと扉を開ける。

 すると、そこには運命の相手がいた。


 

 背中まで伸びた黒髪。

 くっきりとした大きな瞳と筋の通った鼻。

 薄い唇。

 

 結論から言うと、運命の相手は美人だった。

 あと、おっぱいがデカい。

 

 この人が運命の相手か……。

 上手くやっていけるかな。

 正直、めっちゃ不安だ。


 俺の顔を見て、運命の相手は優しい笑みを浮かべる。


「君がアタシの運命の相手か。ねぇ君、なんて名前なの?」

「えーっと……西崎にしざきまもるです」

まもるくんか。アタシ、東雲しののめ有沙ありさ。これからよろしくね、護くん」

「は、はい、よろしくお願いします」


 


 ◇◇◇






 場所を変え、俺達は近所のレストランにやってきた。

 食事を楽しみつつ、お互いのことを話し合う。

 

 東雲有沙。

 現在は大学3年生で趣味はアニメとゲームらしい。

 また、近所のレンタルショップでアルバイトしてるんだって。


 可愛いし、スタイルもいいし、面白いし、喋りやすいし。

 ちょっと話しただけなのに、もう俺は東雲有沙さんのことを好きになりかけていた。

 俺、本当にこの人と結婚すんの? 夢じゃないよな?

 

「護くんは誰かと付き合ったことあるの?」

「いえ、ないです……」

「え? ないの?」

「は、はい……俺、モテないんで」

「ふーん、そうなんだ。護くん、かっこいいし女性経験豊富だと思ってたよ」

「あはは……そんなまさか」


 高校時代、好きな人に告白したことあるけど「ごめん、そういうの興味ないの」と振られた。

 あれがトラウマで恋愛は避けてたんだよな。


 あっ、ちなみに、恋人いる人は強制結婚制度を拒否できるぞ。

 一応恋人いなくても拒否はできるけど、周りから社会不適合者扱いされるんだよな。

 社会不適合者扱いされると、就職にも影響がでるらしい。

 それが嫌で俺は強制結婚制度を拒否しなかった。


 東雲さんも強制結婚制度を拒否しなかったってことは、今は彼氏いないんだろう。

 けどこの人、めっちゃ美人だから恋愛経験豊富そう……。

 昔の男と比較されたら嫌だな。


「護くんって一人暮らしなんだよね?」

「ええ、まぁ……」

「なら、今日から君の家に住むね」

「え? は? どうしてそうなるんですか?」

「どうしてって、アタシたちもう夫婦だよ?」


 そういえばそうだったな……。


「夫婦が一緒に住むのは普通のことでしょ?」

「まぁ確かに……。けど嫌じゃないんですか?」

「え? 何が?」

「だからその、俺と一緒に住むの嫌じゃないんですか?」

「うん、アタシは嫌じゃないよ。護くん、いい人そうだしね」

「そ、そうですか……」


 東雲さんは俺と一緒に住むの嫌じゃないんだ。

 なんかちょっと嬉しいな……。


「護くんはアタシと一緒に住むの嫌?」

「……嫌じゃないです」

「ふふ、なら一緒に住もうよ」

「は、はい……。えーっと、その、これからよろしくお願いします」

「うん、よろしくねっ」


 今日俺に美人な嫁さんができました。

 

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2024年10月2日 17:30
2024年10月3日 17:30

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