第3話 少年の姿をした存在

この話をする前に、前置きとして書かせて頂きます。



 自分自身、夢の話をする際に説明していることがあります。

 自分の見る夢は、現実と区別がつき難く、夢から覚め、時間が経てば経つほど夢の出来事が、現実の世界で起きたことと勘違いすることが多々あります。

 

 その理由は──

 例えば、今皆さんが見ている目の前の景色をシースルーの生地越しに見ているような物なのです。


 ただ、これだけでは『何で区別がつかない?』と言われてしまいます。しかし、その状態と五感全てがある為に分からなくなることに拍車をかけています。


 夢の中の空気感、食べた物の味、その他の感覚が全て、現実のものと全く変わりません。

 ですので、区別がつき難くなります。



このことを踏まえて読んでいただけたらと思います。





 自分は現実に似た世界にいます。

 目の前には集合住宅のような複数の扉があります。

 

 この時点で、現実に近づいています。

 ここがどこか分からず、右往左往していると、一人の少年の姿をした者が来ました。

 

 この少年の姿をした者は言いました。『私に着いて来なよ。説明してあげる』と。

 自分は移動しながら尋ねました。


《自分》「この世界が現実なのか夢の中の異世界なのか区別がつかない」



 そう尋ねると、少年は答えを返してくれました。



《少年》「ここは異世界で現実だ。と言っても、本から生まれただけどね。つまり、書いた人がいる。その話しの延長から生まれた世界だ。だから、この世界はえがかれているんだ」



 そう返された自分はさらに疑問を口にした。 



《自分》「本から生まれたと言っていますが、並行世界ということは、現在自分が住んでいる世界と同じってことですか?」



《少年》「そうだね。同じだ。話は遥かに昔に終わっているが世界は終わらない。本から生まれた並行世界は、その書き手が存在している。つまりこの書き手は君の世界の住人ということだ」


《自分》「じゃあ、その本を読めば、この世界のこれから先の出来事も分かるって事?」



《少年》「いや、分からないよ。今は完全に独立した世界になってるんだ。だから、そこからは未来は分からないんだよ。今の君の世界と同じだよ」



《自分》「という事は、今の自分の世界と同じ様に世界は進んだの?」



《少年》「──途中まではね」



《自分》「少し聞きたいんだけど、今の自分の世界では各地で戦争が起こり、第三次世界大戦が起きる可能性もあるかもしれないのだけど、こっちの世界では? 例えば、第一次、第二次世界大戦とかはあったのですか?」


《少年》「こっちの世界では、そんな戦争は無かったよ。並行世界でも、流れまで全て同じわけでは無いからね。ただ、生きている人間たちは同じ者が多い。つまり、違う人間も居るわけだ。違う人間が存在するということは、君の世界で起こったことが起こらなくなったり、起こっていないことが起きたりと流れは変化する。ただ、並行世界である以上、当然同じことも起きているけどね」


 少年の姿をした者はそう言うと、自分に、「──もう時間のようだね」と告げました。


 これで夢は終わりました。

 最初に出てきた《集合住宅のような複数の扉》は予想ですが、複数存在する並行世界への扉ではないかと考えています。

 

 自分は少年とその扉の一室に入り、先ほどの話を聞きました。

 《少年の姿をした者》に聞けなかったのが心残りです。

 また、この話に出てきた本の名前も少年から聞いていますが、あえて伏せさせていただきました。ご了承ください。


 以上がこの度の話になります。

 ここまで読んで頂きありがとうございます。

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