第二章 損壊

腐敗する大地

第14話 歪界


私はテレビ出演した。

それから人気を集めてから舞台稽古などに挑んだ。

もっと強くもっと有名になって...大切な人を独占したい。

そう思えるのだ。

私は控室に戻って来る。


「陸羽」

「...あ。萌香」

「...今、彼に会って来たの」

「彼?」

「...うん。貴方の好きな彼。木村陶冶さん」

「!」


衝撃を受けながら彼女を見る。

汗を拭きながら...。

萌香は「...彼、良い人だね」と少しだけ複雑な顔をする。

私は「?」と思いながらも「でしょ?」と笑顔になる。


「...彼からお土産を預かった。あげるね」

「え?お土産...」

「彼、クッキーを焼いてくれたの。...それで陸羽にもって」

「...ああ。...そういう事なんだね」

「...陸羽が好きっていう理由が分かった気がする。...彼は...頼もしいね」


萌香は「...」となる。

私は「?」を浮かべているとドアがノックされた。

そして「はろはろー」と声がして...そこに東郷翔也が現れた。

何をしに来たコイツ。


「はい」

「やあ。頑張っているそうじゃないか。...陸羽ちゃん」

「アンタなんかに言われなくても頑張っています」

「...そして...萌香ちゃん。頑張っているみたいだね」

「...!」


萌香は汗を噴き出した。

それから「...だね」と苦笑いで返事をする。

私は「?」を浮かべながら萌香を見ていると「でもでもぉ。ちょっと調子に乗っているよね。君」と笑顔になった東郷翔也。

何だそれは。どういう意味だ。


「萌香ちゃん。あくまで君は俺より下だからさ。そういう意味ではあまり調子に乗らない様にね。...君は俺より弱いから。所詮は犬でしょ」

「どういう意味。アンタに言われたくないんだけど」

「まあそういう表現の意味だよ。所詮はこの世界は俺の世界って事。俺の為に有るのだからね」

「...」


私は東郷翔也を見る。

そして「...いずれにせよ貴方は本当に鬼畜だね」と告げる。

すると東郷翔也は「俺は鬼畜じゃ無いよ。優しい」と笑顔で話した。

それから私達を見てから「じゃあまた」と言ってから去って行く。

私は「...」となってからハッとなって直ぐに萌香を見る。


「萌香...」

「あ、うん。気にしないで」

「...気になるよ。何かあったの。東郷翔也と」

「...今は話せない」

「...そう」

「だけど必ず話す」


萌香は私を見てから笑顔になる。

そして私にクッキーを渡してきた。

私はそのクッキーを見ながら「...有難う」と萌香に笑みを浮かべる。

それから去って行った萌香を見てからクッキーを齧る。



東郷翔也も同じ様にテレビ出演が増えている。

私はその姿を見てから東郷翔也の過去を調べていた。

先手を打って打開策を。

そう思ってから調べていると私は...青ざめた。

何故なら。


「...萌香と...中学校が一緒の学校?」


何故か萌香と奴の中学校が一緒だった。

そして私は...その事もあり。

当時の同級生とやらに私の素性を明かして接した。

それから...情報を集める。


そして1つの結論に行き着いた。


彼は彼女をイジメていたのではないか、という点に。

心臓が跳ね上がり...心拍数が上がる。

それから怒りが込み上げた。

萌香に、だ。


「...何故...」


私はそんなに信頼が無いのだろうか。

何故、萌香は私にこの事を告げなかったのだろうか。

信じられない。

そして裏切られた様な気持ちだった。


「...でもそんな事より」


東郷翔也が滅茶苦茶な屑だという事に気が付いた。

私はその事を考えながら事務所に戻る。

そして私は自ら持っているパソコンを開いた。

それから私は更に情報を集めようと思い。

東郷翔也のSNSを観た。


正直...こんな真似をしたくは無かったが。

何か情報が欲しい。

というかこれは...結構な情報だ。

暴露して全てを破壊しても良いと思う。

そう思ってから私は情報を見ていた。


「...本当にイジメていたのかどうなのか」


当時の目撃者は居ない様だ。

という事はもしかしたら東郷翔也はイジメてないのかもしれないけど。

だけどそれであったとしても。

そういう噂話が流れるとなると?


「...」


私は考えながらパソコンを観ていると私のSNSに書き込みがあった。

通知が来たのだが。

そこにはこう書かれている。

(あまり詮索すると痛い目に遭うぞ)という形で。

それは東郷翔也では無い。

誰か分からないが捨て垢の様だ。


「...」


私は息を飲む。

それから(貴方は誰ですか)と聞いてみる。

すると(答える訳無いだろう)と書かれてそのまま捨て垢は消えた。

この短時間で...しかも私が調べている事を知っている。

大体は予想がつくがそれが本当かどうかは分からないな...。


「...」


SNSを静かに離れる。

それから私は考えていたのだが。

翌日、私のアカウントに大量の意見が寄せられた。

それは...私の家の周りをその捨て垢に暴露された。


誰が漏らしたか分からない。

だがこの事によって大変な事になりつつあった。



誰か分からないが私の家の周りの写真を暴露した。

その為に嫌がらせを受ける様になってしまった。

私は事務所に言ってから休む事にした。

今の状況では集中が難しいと思ったのもある。


私はお父さんに迷惑が掛かると思って引っ越しする事にした。

事務所の近くのアパートに、である。

それから私はそのアパート内で考えていた。


「...」


警察に訴える?

だけどこんな事で警察が動くのだろうか。

ただ写真を撮って投稿しただけだ。

2chが勝手に動いてから解析されただけ。

つまり住所を漏らされた訳じゃない。


「まあどっちにせよ」


かなり忌々しい。

そう思いながら私はゆっくり立ち上がる。

それから私はアパートから外に出た。

確実にこれをやった人を仕留めなければ。

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