第7話 神のお告げ


飯田が何を考えているのかさっぱり分からん。

俺はそう思いながら翌日になってから学校に行く為にドアを開ける。

そして驚いた。

何故なら...彼女。

つまり陸羽が居たから、だ。


「おはようございます」

「お、おはよう?何をしているんだ」

「見て分かる通りです。待っていたんです」

「...何でだよ。お前な。人気女優なんだぞ」

「私にとってはこれも日課です」


そして「さあ歩きますよ」と笑顔になってから歩き出す陸羽。

俺は「ああ。あ、そういえば」と言う。

陸羽は俺を見てきた。

「?」を浮かべて首を傾げている。


「ラーメン。美味しかったぞ」

「もう食べられたんですね」

「ああ。チャーシューは味わい深いしスープもな。...具が全部美味しくて...こってりだった」

「良かったです。お父さんに胸を張って報告が出来ます」


俺達はそう言いながら歩く。

そして通学路を歩いてから高校に向かう。

すると陸羽が「先輩」と言ってくる。


俺は「?」を浮かべて背後を見る。

すると陸羽がいきなり鞄を落とした。

人が少ない場所。

次の瞬間。


唇と唇で見上げた陸羽とキスをしていた。


「...り、くう!!!!?」


愕然としてから陸羽を見る。

すると陸羽は「これもスキンシップですから」と笑顔になった。

そして抱き締めてくる。


「最大のスキャンダルだぞ!?」

「昨日から疼いてしまって。ごめんなさい。でもこれ、好きって意味じゃないです。ただの芸能界スキンシップです」

「は、はい!?」


俺は唖然としながらスキンシップと言ってから鞄を拾った陸羽を見る。

そして陸羽は「じゃあ行きましょうか」と平然な返事をする。

心臓がバクバクと高鳴る。

こ、これがスキンシップなのか?

凄いな芸能界。


「ってんな訳ない!陸羽!お前絶対に...」

「何ですか?」

「何ですか?じゃないぞ!俺を本当に好きじゃないのかお前!?」

「ですよ?」

「ですよ?!」


マジかコイツ。

そう思いながら「スキンシップです」と言い張る陸羽を見る。

すると陸羽は「じゃあ行きましょう」と笑顔になる。

俺はその姿に「...」となりながら歩く。



マジか...。

そう思いながら俺は外を見る。

陸羽とキスをした。

だが陸羽はあくまで「スキンシップです」と言い張る。

嘘だろオイ。


「なあ。当山」

「おう。どうした。ハゲ」

「殺すぞ?...は良いけど。...なあ。女子がキスする時ってどういう時?」

「は...?何おま。キスしたの?死ねよ。死ね?いや。死んで下さい」

「まだ何も言ってない。...お前マジに良い加減にしろ」

「は?良い加減にしろ?お前日本中を敵に回したぞ?あの子の事だろ?女優だぞ。グラビアアイドルだぞ。歌手だぞ?殺すぞ?」


殺すとか死ねとかいう名目が好きだなコイツ!

そう思いながら俺は休み時間の時間を計算してから「いや。偶然思っただけだぞ」と当山に向く。

当山は「そうか。良かった。お前がキスしていたのなら絶交するところだった」と額の汗を拭う当山。

マジかコイツ。


「だってそうだろ。お弁当を作っている上にキス?好きって暗示だぞそれ」

「そうか...やっぱり童貞だとそうなるよな?」

「そうだな。...いや待てオイ。そりゃ俺の事か(・∀・)?」

「お前とは言ってない」


当山は「そうか」となりながら沈黙して真剣な顔になる。

それから俺に向いてくる。

そして「まあ冗談は抜きでそれって好きって示しだと思うが」とシャーペンを回す。

俺は「だよなぁ」と当山は俺を見る。


「しかしなぁ。そういうお前の言ういきなりのキスだけじゃ確かに判断できないよな。...俺は童貞だから分からんが」

「俺は彼女は居たが浮気されたしな」

「その彼女は今何をしているんだ」

「知らん。死ねって感じ」

「ほほう。確かにな」

「だが俺に付き纏っている」

「うーん。マジか。キモいな」


そして当山は「幾ら童貞でも要らんわそりゃ」と苦笑い。

俺はその言葉に「だよなぁ...」と天井を見る。

しつこいんだよなあの女。

そう思いながら俺は椅子をがったんがったんさせる。

そうして居ると「先輩居ますか」と声がした。


「ああ。陸羽か」

「はい。今日のお弁当です。渡し忘れていました」

「...陸羽」

「...はい?」

「...いや。何でもない」

「...内緒です」


俺の言葉にそれを察して唇に人差し指を添える陸羽。

その様子に「俺は何も言ってない」と赤面する。

陸羽は「もー。先輩は本当にエッチなんですから」と言い放つ。


クラスが「...ァェ?」と凍った。

陸羽はそのまま去って行く。

俺は青ざめていた。

当山が俺の肩を掴む。


「...お前何をした?陸羽ちゃんに」

「何もしてない。無実だ」

「...お前な。頬を朱に染めてしかも女神の女子から先輩、エッチという言葉だぞ。何も無い訳無かろうが。ふざけるな」

「マジに何もない...、っていうかそこだけ単語を聞き取るな!?誤解されるだろ!」


「野郎ども。聞いたか。今の女神の、エッチ、先輩、恥じらい、というボイスを!!!!!」と当山はクラスの目を光らせている童貞男子に言い放つ。

女子は顔を引き攣らせてドン引きしていた。

男子達は「うぉおおお!!!!!」とやる気に満ちて獣の様に俺を捕まえた。

というかくすぐってくる。

教室の鍵が掛けられた...オイ!ふざけるな!もう時間がねぇぞ!?ぶはは!!!!!

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