第2,4,7話 裏
───時はエンブが逃げ出した日に遡る───
(陛下は俺にヤツの殺しを命じたということは俺の人脈を使えということだろう)
そう考えて私は暗殺者ギルドの“死流”へと向かった⋯⋯。
「お久しぶりです。私はクレースです」
「おぉ 騎士団の副長様が何の御用かな?」
「ここに来る理由なんて1つでしょう」
「分からんよ。ただ酒を飲み交わしたいという奴はいるからな⋯⋯。で、誰を殺せばいいのかな?」
「勇者の召喚の儀があったことは知っていますか?」
「えぇ それはもちろん」
「召喚された2人の勇者の他にもう1人巻き込まれて来たようでしてね。ソイツが兵を5人程度を倒し逃走したのですよ」
「!!召喚の儀に立ち会う兵はなかなかの実力者を揃えると聞いているが?」
「えぇ 今回もちゃんとCランク以上を揃えていましたよ。ですが的確にそのCランクの兵が多い箇所へ向かい包囲網乎突破したそうですよ」
「ならばソイツは実力を見抜く何かがあると?」
「えぇ 私の隠蔽を突破して私の実力を理解するほどにね」
「なんとも面倒な依頼だな。標的は最低でもBランク以上か」
「ですがあなたの子供達は全員Bランク以上でしょう?」
「何もお前だけしか依頼人がいない訳ではない。いくら国からの要請でもそこはきっちりしておかなければいかん。“火龍”と“水龍”は情報収集をしているし“風龍”は別の街で仕事中だ」
「えぇ そうでしょうね。ですから“土龍”さんに頼みたいのですよ」
「あいつは高いぞ」
「お金の心配は要りません」
「まぁそうだな⋯実力的にも“土龍”を向かわせるのが一番安定して依頼を達成出来るだろう。頼めるか?」
そう目の前の男が言った瞬間に背後に気配が現れた。
「あぁ 問題無い」
(!!ずっと後ろにいたのか!これがこの国最強の暗殺者!いつ見ても凄まじいな)
「それでは交渉成立だな。それでは標的の情報を貰おうか」
───“土龍”がエンブに敗北後───
「!!なぜだ!!何故あいつが負けた!Aランクだぞ!そんな相手を⋯⋯」
ドンという机を強く叩く音が響いた部屋の中で私は今回の事を整理するのだった。
(絶対におかしい。父さんは見てないから知らないけどあの時のお兄ちゃんは絶対におかしかった。なんで魔術を使わなかったの?なんでちゃんとした装備で行かなかったの?なんで?どうして?)
「なんかあったの?」
その声を発したのはついさっきまで別の街で仕事をしていた“風龍”フーカの声だった。
「“土龍”のヤツが死んだんだよ。あのヤローここまでなんのために育ててやったと思ってるんだ!」
「??は??にぃにが死んだ?お父さん何?その冗談⋯⋯笑えないよ」
「ハッ嘘だと思うなら探して見ろ。きっと死体が見つかるぞ」
「死体?回収すらしてないの?」
「あんなものただの証拠にしかならん」
「⋯⋯そっか⋯⋯⋯」
その会話を聞いていて私はフーカの心の痛みを感じて自分のクズさを改めて理解し心が痛くなった。
「それじゃぁその依頼。私が引き継ぐ!」
「あ?何言ってる“土龍”よりも弱いお前に何ができるって?」
「確かめるのよ」
そう言い残しフーカは家を飛び出すのだった。
「たっくあいつらは本っ当に親不孝者ばかりだな。“土龍”が死んだ今お前らを育ててやる義理は無いが⋯⋯。もしまだ育てて欲しいなら⋯⋯ミーナ?何をして欲しいか分かるか?」
「はい。お父様」
そう言って私はこのクズな男と一夜を過ごすのだった⋯⋯⋯。
(この地獄はいつまで続くの?お兄ちゃんなんで置いていっちゃったの?寂しいよ)
───“風龍”がエンブに逃げられた後───
「おまえ!!勝手なことをした挙句に右腕を使えなくされただと!?そこまでマヌケだったとはな」
「お父様。もう少し優しく接してあげてはくれませんか?“土龍”が殺されたことは私達にとって決して軽い出来事ではないのです」
「ハッ そんなやわな心に育てたつもりはなかったがお前らはとんだ失敗作だ」
「もういい!!」
「フー⋯“風龍”!どういう意味ですか?」
「私は“死流”を抜ける!」
「おまえそれが何を意味するか分かって言っているのか!」
「えぇ!もちろん!知っていますとも」
「そうか残念だな。ここまで救いようがないとは。“水龍”!こいつを殺せ」
「えっ!」
「無理に決まってんでしょ。私あんたらに私は見つけられない」(スキル発動〈影移動〉)
「待って!“風龍”!」
「さようなら⋯⋯⋯」
「フーカ!!」
───“土龍”ダズの私室───
「にぃに⋯⋯。きっとこれはにぃにの望んだことじゃないと思う。でも私は止まらない!本当にアイツがにぃにの言ってた存在ならきっと⋯⋯⋯」
そうして私はにぃにの部屋を探し2つの物を見つけ出した。
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銘:〈龍撃のダガー〉
等級:伝説級
詳細:土属性の龍の牙を芯に使ったダガー
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名:〈◼の宝玉〉
等級:ー
詳細:◼◼を封じ込めている宝玉
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「借りるよにぃに⋯⋯返すことは無いと思うけど⋯」
(それじゃぁ始めよう復讐を⋯⋯⋯)
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