第4話 暗殺者

 安値の宿屋を探して路地裏を歩いていると突然殺気を感じたためギルドに行く道中で買っていた片手剣を使って防いだ。

「刺客を向けるにしても早過ぎるだろ!まだ半日も経ってないぞ」

「防いだとはな。やり手だとは聞いていたがこれ程とは⋯⋯」

「それはお前が素人なだけだろ。殺気ダダ漏れだったぞ」

 本当は直前まで気づけてなかったが挑発をするためにハッタリを混ぜて言った。

「お前なかなか言うな。だが俺は正面から殺り合うのが得意なんだ。俺を本気にさせたことを後悔させてやる!」

 そう言ってナイフを投擲して間合いを詰めて来た。

 それに対して俺は正面から殺り合う状況にしないのが暗殺者じゃないのかと思いつつも

(スキル発動〈魔術補強〉 魔術〈炎幕〉)

 そう心の中で唱え“魔術”を発動した。

 そしてその炎は飛んで来たナイフを塞き止め、飛び込んで来た刺客を燃やした。

「やっぱりこの術は使い勝手がいいな」

「チッ “魔法”が使えるなんて聴いていないぞ!」

「魔法じゃなくて魔術な」

「その歳でか?やっぱり異世界人ってのは凄いな〜。こんなことになるんだったら“アレ”持って来るんだったな」

「やけに冷静だな」

「お前は火属性が得意なんだろ。そんな弱点だらけの属性なんて魔物に使うならまだしも人間に使うんじゃ弱すぎるだろ」

「本当にそうかは自分で確かめろよ」

「あぁ それも一理ある⋯なっ!」

 そうして刺客は地面を巻き上げ俺に向かわせてきた!

「“土魔法”かそれにしても魔法でこの精度とは」

 その攻撃を避けたあと俺は笑っていた

「いいね〜楽しくなってきたぁ゙ーー!」

(一点突破の手札は対策されやすいからあまり見せたくない。ならこの状況で使うのは スキル発動〈魔術補助〉 魔術〈突風障〉〈炎幕〉)

 そうして俺は風で障壁を創りだし追撃の岩石を防ぎ起こった風と炎を利用し刺客の視界を遮った⋯⋯⋯。

───────────────────────

「たっく 風属性が使えるなんて聴いてないぞ」

(落ち着け⋯情報に頼っていたのは事実だとしたらこの行動は僕には予測不可能だと考えることになるだとしたらおそらく視界が遮られたことによってできた隙をついて来る筈だ。だとしたら狙うは僕が土魔法で守っていない背後か!)

 そう思い振り向いたが相手はいなかった。

 そしてバチパチバチっと他とは違う⋯炎が燃える音が聞こえた時に俺は自分の最期を悟った

(あぁ⋯⋯読み間違えたか⋯⋯⋯⋯)

「⋯⋯“炎槍”⋯⋯」

───────────────────────

(相手はおそらく視界を遮った俺が不意打ちをすると思って警戒を強めるだろうが視界を遮れた時点で俺の勝ちはほぼ確実だ一点突破のこいつで決める スキル発動〈魔術補助〉 魔術 〈炎槍・激・圧〉)

 そうして俺は集中して術式を組み⋯⋯⋯

「⋯⋯“炎槍”⋯⋯」

 そうして放った一投は刺客が創り出した石柱を次々と貫通していき刺客の腹部を貫いた⋯⋯⋯

 腹部に穴を開けられてまともに動けなくなっているそいつに対して

「お前の敗因は魔術ではなく魔法で戦ったことと自分の技を突破出来る奴との戦闘経験の少なさだ。お前が近接戦を仕掛けて来ていたら勝負は分からなかった。まぁお前にはそれを次に活かすことが出来ないだろうけどな」

「頭が痛いね。君ならもしかしたら出来るかもしれない。頼まれてくれるかな?」

「調子のいいヤツだなそんな余裕あるのか?⋯⋯で、なんだ?」

「やっぱり君は優しいね。君に頼みたいことは僕の妹達を助けてくれ。今の環境からそして心を⋯⋯ゲホゴホ・・の・・ふた・つ・・は⋯“”⋯だ」

 そうして俺に差し向けられた初めての刺客は俺に思いを託し死んだ。

「たっく 自分勝手なヤツだな⋯⋯でもまぁ顔が良かったら助けてやってもいいかもな」

 なんていう愚痴と言い訳を言いつつ“友”となった者の最期の願いを聞き入れるのだった⋯⋯⋯。

 

「流石に仕事中に大金は持って来てないか⋯でもいい武器は持ってたな。これを投げられてたら炎幕では防げなかったな。まぁ別の方法で勝つだけだがな」

 そう言って取り上げた武器に〈解析・鑑定〉を使った

「名前は〈みつぎのナイフ〉で量産品のランクはB+か」

(つまりこいつの所属先はこんな高ランクを量産出来るような所と繋がりがあるのか大変だな。そもそもこいつを差し向けて来たのは国王かそこら辺の奴だろうからなその線で入手したってのもあるだろうが俺の勘が違うって言ってんだよな〜)

「まっ 俺が難しいこと考えても意味ねえよな!今日はいろいろあり過ぎだ。とっとと宿屋見つけて寝るぞ〜〜!」

───────────────────────

 私はその一部始終を見ていた。

「何よあれ“土龍”が負けるなんて⋯⋯。いくら魔道具や魔術を使わなかったからって装備品を入れない私の判定でもランクAだったのに⋯⋯。彼は本当に何者なの?!」

「センパ〜イ も〜待ってって言ったんスから待ってくれてもいいじゃないスか〜。?大丈夫ッスか先輩顔色悪いッスよ」

「私もしかしたらとことん男運悪いかも」

「なんスかそれ〜」

「“土龍”が死んだ」

「?!!!!⋯⋯。うっ嘘⋯ですよね先輩」

「⋯⋯⋯事実よ」

「嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!」

「カエラ!ここは人が多いわ。家に戻しましょね」

「誰に⋯誰に殺られたんですか⋯ソイツを私が!」

「いい加減にしなさい!!私達はね、命を⋯人生を奪うの!だったらこっちも死ぬ覚悟が無いと行けない!私達は暗殺者やら刺客なんて名前はついててもただの同族殺しなの。私達だけ復讐しようなんて虫のいい話無いのよ」

「それでも!私は兄貴の⋯⋯」

「一旦気持ちを落ち着けなさい⋯明日のギルドは私と一般職員で回すから貴方は休みなさい」

「お姉ちゃん⋯⋯」

「ごめんね」

(私があそこで介入していたらもしかしたらお兄ちゃんは死ななかったかもしれないでも⋯⋯やっぱり私は最低ね。兄を殺し妹を悲しませるようなヤツへの恋心が消えないんだもの️♡)

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