第3話 冒険者
城から逃げ出し街に来ていた俺は今最大の危機に瀕していた。
「金がねぇ〜 この世の終わりだ〜」
不貞腐れていると誰かに声を掛けられた。
「おいお前、ガキがこんな所にいると危ない奴らに絡まれるからやめとけよ⋯俺みたいな奴にな」
そう言いながら殴りかかってきた。
俺はその男の拳を軽く避け、顔面に蹴りを入れ吹っ飛ばした。
「急に殴り掛かるなんて危ない奴だな」
「ぁあ゙ なっなにがおき⋯⋯⋯」
そう言い残し気を失った奴から金を盗った。
(冒険者ギルドでも探して見るか⋯)
───二十分後───
「やっと見つけた 冒険者総合ギルド」
そうして俺はその扉を開いた。
その建物の中には十人も居なかった、総合ギルドにしては人が少ないが、まぁ仕方ない事だろう何故ならこのギルドは王都の中で一番ギルド本部に遠い場所なのだから。
そうして少し呆けていると受付にいる紺色の髪の女性が尋ねてきた。
「初めて見る方ですね。何のご用でしょうか?」
「新規登録をしたくて来ました」
「そうですか。現在所属は無しということでよろしいでしょうか」
「はい。今のところ無所属です」
「分かりました。それではこちらの用紙に冒険者としての活動名と主に出来ることを書いてください。書き終わったらこれに手を置いてください」
そうして出された水晶は王城で見た水晶よりも粗末な品だが同じ物だと感じた俺は〈隠蔽〉で隠す所を変えた。
そして⋯⋯。
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本所属:冒険者総合ギルド
副所属:無し
【活動名】エンブ
【出来ること】
火属性魔法、〈ストレージ〉による荷物持ち
【魔力適正】(強) 火、風、光 (弱)
【
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「こちらが貴方のギルドカードになります。それにしても凄いですね。三属性持ちで能力も6つあるなんて、私なんて1つしか無いんですよ」
「そうですか。あまり見せた事が無いもので。それと1つでもあれば落ちこぼれって訳ではないでしょう」
「そうなんですけどね。ここに来るような人達は皆さん2つ以上持っている方達ばかりなので。まぁそれでも6つ持っている方は珍しいんですよ」
「それで貴方のスキルは教えてくれないんですか?」
「知りたいですか?何の面白みも無いですよ。ただの視力強化系ですよ」
「それはおかしいですね鑑定系が無いと俺のスキルが5つ以上なんて分からないはずなのに」
⋯⋯⋯⋯⋯しばしの沈黙の後女性は口を開いた。
「なら、私も聞きたいことがあります。貴方は一体何者ですか?」
「それに気づけるんですか、鑑定系の中でも上位じゃないと分からないのに」
「質問に答えて下さい!私でも鑑定できない人なんて今までいなかったのに!」
「シー静かに周りに聞かれます。まぁ一つ言えることがあるとしたら僕は普通の人間では無いということだけです」
「⋯⋯⋯⋯フフッ。登録を受理しました。Fランク冒険者としてこれからよろしくお願いしますね エンブさん♡私の名前はミーナと言います」
「こちらこそよろしくお願いします。貴方とは長い付き合いになりそうなのでねミーナさん」
「それでは初めての依頼は何にしますか?Fランクが受けられる系列はこんなものですが」
そう言ってミーナがカウンターの上に置いた三枚の紙を見せてくる。
〔鉱石採取〕
指定の鉱山に行き依頼された鉱物を採取する
※怪我などをしても手当金は出ません
〔薬草採取〕
依頼された薬草を採取する
※怪我などをしても手当金は出ません
〔下水獣討伐〕
下水道に住み着いた魔物の討伐
※怪我などをしても手当金は出ません
「でもまぁ貴方にはコレの方がいいと思いますけどね」
そう言いもう一枚取り出した。
〔Eランク昇格案内状〕
毎週火曜にギルド裏の闘技場で昇格戦を行えます
当日参加でも時間に余裕があれば参加可能です
Eランクになりたい人、Eランクとの実力差を知りたい人は来てみてください
「まぁ今日って何曜でしたっけ」
「今日は聖曜です。つまり明日ですね。行く気になりましたか?」
(突っかかって来た奴から奪った金で五日は暮らせるだろうから急ぐ必要はないがとっとと“アレ”を手に入れるためにはランクを上げた方が何かと楽だろうから行くか)
「まぁ考えときます」
そう言って俺はギルドから去ろうとした時。
「あっそうだ。宿を探しているなら私の家に泊まるなんてどうです?」
そんなふざけた提案出されながらも俺はギルドから去り宿を探すのだった。
───────────────────────
「先輩やけに気分が良さそうっスね」
そう話しかけて来たのは私の後輩のカエラだった
「そうね〜️♡」
「なんスか?その恋する乙女の眼は!」
「やっと見つけたから️︎︎︎︎♡」
「えっ・・・彼が先輩よりも強いって言うんスか?!」
「今はまだだけど⋯⋯いずれ⋯ね️♡」
(あんな化け物に勝てる訳無いもの)
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【名前】菴ソ蠕堤n豁ヲ (エンブ)
【魔力適正】(強)火 、蜿崎サ「、光、風、全 (弱)
【
【総合評価】ランク “測定不能”
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「それじゃ今日は早帰りするから バイバーイ」
「ちょっ 先輩待って下さいよ」
そんな制止を聞くことなく私は運命の人を追いかけるのだった⋯⋯⋯⋯。
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