将軍の意地! 魂の咆哮!
「……そろそろいいか」
聞こえてきたのは、そんな呟きだった。
「――なに?」
レッドの攻撃が一瞬止まる。
一体なんだ? バラ将軍はなぜこのようなことを言う?
何か奥の手があるのか? 一旦距離をとるか?
「レッド! 迷うな!」
ブルーの喝が飛ぶ!
有利な内に全てを決するのだ!
レッドはそれを了承した。
打撃の嵐を継続する。
バラ将軍には、確実にダメージを与えているはずだ。
このまま押し切る!
……だが!
「……おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
瞬間、衝撃が大ロビーを駆け巡った。
衝撃の中心にはバラ将軍。
5人組が小石のように吹っ飛ぶ。
「ぐっ!」
これはなんだ。
総統および幹部陣は弱体化したはず。
なぜこんなにも強力な技が出せる。
床面に叩きつけられた5人組は、急いでバラ将軍へと顔を向けた。
そして、驚愕する。
「……バラ将軍! その姿は!?」
レッドの問いに、青髪の女は答えた。
「まあ、要するに。これがわたしの奥の手だ」
それまでの鮮烈な赤は、空のような青色に変わっていた。
髪の色が変化したと同時に、青い粒子が周囲を漂っている。
天上の者が降り立ったような美が、そこにあった。
「ベルも割と賭けだったと思うぜ。私のこの力を封じられるかは。賭けはあいつの負けだ」
「青い、薔薇……!?」
レッドは畏怖すら覚えた。
今のバラ将軍には神々しいまでの雰囲気を感じる。
「つーか、赤が被ったと思ったら今度は青が被っちまった。色をトレードマークにするヒーローと戦うと、これだから困るんだよな」
「うおおおお!!!」
5人はゴーグルのレベルを最大値まで上昇させる!
後先のことを考えている余裕はない。
いま自分たちにある全てを叩きつけないと、負ける。
青い粒子を押しのけて、攻撃再開!
「この姿になるのは久しぶりだからな! 加減なんて出来ねえぞ!」
いまや5人組の打撃は濁流の如し!
拳の百打と蹴りの百打!
拳の千打と蹴りの千打!
だが、しかし!
「止まって見えるぜ!」
バラ将軍の速さも同等!
難なく五人組の攻撃を、全て防ぎきっていた。
「おらよ!」
青い粒子はひときわ大きく光ると、閃光となってヒーローたちへ襲い掛かる。
彼らの体を守るジャケットが激しい火花を散らした。
「ぐあああああああ!!!!」
たまらず5人組は膝をつく。
その隙を逃すバラ将軍ではない。
「オラァ!」
5人全員へ、拳をプレゼントした!
それぞれが20メートルほど後方へ吹っ飛ぶ!
「が……あ……!」
「これだけは言わせてもらうぜ、ヒーロー。奇跡はお前らの専売特許じゃない。こっちにだって奇跡は起こる。わたしがその証拠だ」
よろよろと五人組は立ち上がった。
ゴーグルの機能はまだ生きている。
光の刃もある。
戦いは、これからだ。
「はっ、そうこなっくちゃな! 来いよ! まだまだ遊ぼうぜ!」
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