ヒトになる筋道
放課後に貴子は実子を自室に招き口を開いた。
貴子の付き人の空秀と実子の付き人の紅葉はお茶の用意と言って貴子の部屋からは出払っている。
「結局あの時の御札はなんだったのです?」
貴子が人差し指の先を口元につけて実子に言った。
目を向けられ問われた実子は少し押し黙った後覚悟を決めたのか伏し目がちに口を開いた。
「……確認したときはアレはあの時の貴女を、貴子さんをヤマから出られないように名前で縛る意味を持つ名前の御札だった」
「!?」
重い口を開いて放たれた実子の発言に貴子は目を瞠る。
「な、何故そんなモノがヤマにあったんですの……?」
声を荒らげるも実子に対して一方的に責め立てないように抑えて尚震えた声で貴子は訊ねる。
「正直に言うとわからない。でもあの様な事が出来るのは当時の御三家の本家のみだ……間違いなく身内を疑うことになるからあの時は素直に全てを話す事が出来なかった。すまない」
「……いえ、別にいいわ」
当時は常盤家は御三家ではなく祝から独立した一派であったので除外される。
来島恭子の実家で嘗ての旧御三家である
「名前で縛ろうとするやり方は恭子を苦しめたやり方に類似するんだよね……だから間違いなく旧穂宮家が怪しいんだが、当事者はかなり昔に行方不明だからな……私の父の差し金で」
暗に祝家の当主が嘗ての分家であった堀川家関係者を制裁し破滅に導いたと実子は告げる。
「……恭子さんとその
「それだけでなくあの後は私達も命を狙われてね」
「なっ!?」
貴子も察しは付いていたがそれ以上の事を実子から告げられ目を瞠り声を思わず素っ頓狂な声を出した。
因みに貴子も恭子が産まれたときに名前によって縛られ苦しめられた人間である事を把握している。
「そうだな、それと貴子さんの御札の件は政理家内部にも犯人が居る事件だったから貴子さんのお父様が内密に片付けられたと思うよ」
「……いつの間にか関わりが無くなった家がありましたわね」
思えば、と実子の情報に対して納得したと返答した。
「まぁ、貴子さんのお父様はしっかりした人だと
あの後の後始末の手際とか諸々ね、と実子の発言に貴子は頷いた。
「そのことについては、その通りですわね」
嬉しそうに貴子は頷いたら部屋の外からお茶一式を持ってきた空秀と紅葉の二人がノックをしてきたので入室許可を出し、そしてお茶を始めたのだった。
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