英雄の一撃

「ドルァーー!!」


「はっ!!」


「やぁーー!!」


 突如現れた魔物にパクスとルトス、そして周囲にいる魔物にベックとフィリスが対処した。


「ーーなに!?」


 しかし、魔物が即座に反応し、ルトスの剣が弾かれた。


 (ーーここだ!)


「おりゃ!」


 魔物の隙を見てパクスが剣をたてに振った。しかし、魔物も即座に反応。すぐさま対処するーーと思った。


 魔物が身を翻し、パクスの剣を避けた。


「グオオオォォーー!!」


 パクスの剣に恐れでも感じたのか、魔物は大きく咆哮。周囲の魔力を取り込み、パワーアップした。


「いきますよ、パクスさん」


「ああ」


 ルトスの合図に合わせ、二人同時にダッシュ。日々鍛えている騎士団団長のスピードにパクスは【力】を駆使し並ぶ。魔物は動かない。


 二人はそれぞれ魔物の両サイドへと移動。そのまま魔物へと一直線に進み、剣を横に薙ぐ。


「「!?」」


 魔物の体が左右からの剣により切られたーーと思われたが、そうはいかなかった。魔物の皮膚が硬い!


 主に、体の表面は毛で覆われているが、その毛に剣が止められて切ることができない。


「ーー!!避けろ!」


 ルトスが至近距離で魔物を見ていて嫌な感じでもしたのかパクスに避けるよう指示。


「くっ!」


 パクスとルトスは魔物から剣を放し、回避した。


 みると、二人のいたところの一直線上の地面がえぐれていた。


 したのは勿論魔物。魔物が両手を上げていた。その手からおそらく魔力でも発射したのだろう。


「パクスさん、この魔物は推定ですが、おそらく聖級だと考えた方がいいでしょう」


「聖級か……問題ない。俺と団長で連携をとれれば勝てる」


 以前に聖級の魔物と戦い勝利したことがある経験から連携さえできれば問題ないようだ。


「でしたら、私が奴を引き付けます。その隙に」


「分かった」


 ルトスは魔物へと走り、剣で攻撃。ダメージは通らないが、引き付けることに成功。


 その間、パクスは【力】を溜める。


 スピリス曰く、この剣は特製らしく、魔力の伝導率が高く、付与しやすい。また、パクスの【力】も通しやすいとのこと。


 剣に【力】を込める。明るい赤と青の光が螺旋状に光り渡る。その剣は美しいと言う他がない程煌めいている。


「よし!」


 【力】が伝わったと感じ、パクスはルトスと交戦している魔物へと走る。パクスが動いたと見たらルトスはすぐに離脱。


 魔物との距離が十分近くなったと分かったら渾身の力を込めて、剣を上から下へ振り下ろす。 


 その一刀は魔物の体を一刀両断する力があった。そのことに魔物が気付き、かわす。好機と見るや、パクスは距離を詰め、剣を振り回し連撃をかましていく。かわすということは恐れていることの表れだからな。


 パクスの大振りな剣をもかわし、魔物はパクスと距離をとった。


「ならば……くらえ。"英雄の一撃"を」


 そう言い、パクスは剣を両手で持ち、剣の先を上へ向け高く上げた。


 そして、剣に【力】を込め、圧縮。振り下ろす!


 圧縮された【力】が飛ぶ斬撃へと変わり魔物へと迫った。


「……………………」


 一瞬のことだったので、魔物は避けきれず頭のてっぺんから一刀両断され真っ二つになった。

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