もしかして、あなたは…………
「それで、話って?」
スピリスから話があると、呼び出され、一対一で向き合っている。
「ヴィルトさんが神の使途による呪いに侵された時、助けましたよね」
「ああ」
ヴィルトが呪いによって暴走した際、ネネムが来るまで、【力】を使い、時間を稼いだ。
「その時も、私は子を通して見ておりました」
「見ていたってーー」
「はい。あなたから発せられる不思議な力を」
しかし、パクスに動揺はなかった。元々、【力】を隠そうとは思ってもいなかった。今まで様々な人に見られている。その中で大半の人が不思議がっていた。今さら見られた、と言われてもどうということはない。
「お失礼ながら、魔力を調べてさせてもよろしいでしょうか」
「魔力?ああ。それなら無理だな。俺は魔力を持っていないんだ」
「それも、調べれば分かります」
パクスの言葉を無視するようスピリスは続けた。
おそらく、スピリスは自分の目で見たり、感じたりしないと信じないタイプなのではないかと思った。
「ーー」
「それでは、いきます」
スピリスは魔力感知を発動。パクスの魔力を感知する。
…………
…………
スピリスが魔力感知を発動してる間、パクスは一言も喋らず黙っている。そのため、静かな時間が続いた。
「なんと!?これは…」
「ほらな。これでわかったろ」
スピリスの反応から、老人と同じ反応だと見て取れ、結果は変わらないと、
「結論から言わせてもらいますと、あなたには魔力があります」
「ーーえ!?」
スピリスの発言に、パクスは目を見開いて驚いた。
「しかし、魔力回路がとても複雑に入り組んでいるのです」
魔力回路とは、魔力が流れる道…簡単に言うと、血管のような感じで、血液が魔力だと思えばいい。
「……これはあくまで私の考えですが、魔力回路が複雑に絡み、魔力どうしがぶつかり合い、打ち消しているのではと…」
「ーーー」
「そのため、魔力感知に引っ掛からず、周囲の魔力の影響も受けないのではと…」
「ーー魔力感知に引っ掛からないって、じゃあお前はどうやって調べたんだ?」
「この子を通して」
そう言い手のひらを前に差し出す。するとスピリスの手のひらの上に微精霊が現れた。
「ーーなら、ヴィルトが暴走した時、俺から出ていた【力】はどう考える?」
パクスは自分自身ではよく分からない最大の疑問をスピリスに投げ掛けた。
「ーーー」
スピリスが沈黙する。さすがの精霊王でも分からないのか。
「ーーそうですね、魔力回路が複雑に入り組んでいるなか私達が魔法を発動させる際、魔力を放出するように、周囲の魔力を意に介さない魔力と呼べない、紛い物のような物を放出しているのでは…」
予測できないちゃんとした答えに、そして今まで疑問に思っていたことの答えが返ってきたことにパクスは驚いた。
「……そう、か…。ありがとう、今まで疑問に思っていたことが分かった」
「私の推測ですが」
「例え推測でも、俺にはさっぱりだったんだ。知れただけでも嬉しいさ」
パクスは頭を下げ、感謝を述べる。
「それで、話の本題ですが……」
「え?ああ、話の本題って別?」
「はい。あなたの、その…【力】を踏まえての話ですので」
スピリスが言う話の本題が自分自身の【力】を踏まえてと聞いて、パクスの体に緊張が走る。
「あなたは、神の使途ですか?」
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