パワーアップ

 ……………………


 ヴィルトが目を覚まし、神の使途による呪いにより、暴走し始めた後のこと、精霊王であるスピリスのことについて話した。


 ヴィルトは暴走したことで、師匠であるパクス、ラエティア、ベレス、またヴィルトを助けるために来てくれたネネムとその従者であるレトに迷惑をかけてしまったことについて悔やんだ。


 そして、精霊王であるスピリスと出会えたことについて、とても嬉しく興奮していた。


「え!?精霊王って、あの伝承にのっている精霊王様ですか!?」


 言うには、精霊王というより、精霊に会うことが珍しいことらしい。つまり、今精霊王に会えていることが奇跡なのだ。


 そして、精霊王がヴィルトと話したいことがあるようだった。


「ヴィルトさん。あなたは精霊との親和性が高いですね」


「え?」


「精霊術師になりませんか?」


 精霊術師。それは、精霊と契約し、精霊の力を扱う者を言う。しかし、精霊術師になるには前提条件として、精霊との親和性が高くなくてはいけない。だが、ヴィルトはその条件を満たしているそうだ。


 ちなみに、ヴィルトの他に、誰も声を掛けられなかったことから、あとのみんなは無理だってことだ。


 悲しくなるな。


「僕なんかが…なれるんですか?」


「はい。あなたは精霊との親和性が高く、才能があります。このような方と会うのは極稀です」


 スピリスの言葉に反応したのか、周囲から淡い光が漂い、ヴィルトの正面にそれぞれ、赤、青、黄、緑の色を放っている微精霊が現れた。


 ヴィルトは一瞬迷った。自分なんかが、なれるのか…と。しかし、すぐにその迷いは消えた。もう、誰にも迷惑をかけない。そのための力を手にするために。


「分かりました。僕に精霊の力を」


「ーーそれでは、この子達と魔力の回路を繋いでください」


 精霊と契約するには、契約する精霊と魔力を繋ぐことが必要みたいだ。


「どうやら、上手く契約できたようですね」


 ヴィルトの周囲を微精霊が周り、ヴィルトの体へと吸い込まれるように消えていった。これを見たことで、契約成立したことが明らかだった。


「ありがとうございます!」


「いえ。その子達をよろしくお願いいたします」


「はい!」


「精霊の力を最大限引き出すのはとても困難ですが、頑張ってください」


 そして、話は今へと戻る。

 

 ……………………


 俺は今、微精霊の力に慣れるため特訓しているヴィルトとそれを手伝っているベレス達から離れて、精霊王と一対一で話をしている。

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