闇を払うのはいつだって"光" 4

「アアアァァァー!」


 ネネムが魔力を溜め、攻撃が向かないように、パクスたちは振る舞った。


 時には、ヴィルトを攻撃して怯ませたり、靄を断ち切ったりと。


「皆さん!あと少しです!」


 後少しで魔力が溜まり、魔法を発動できる。


 (よし。このまま…)


 もう少しで、ヴィルトを元に戻せ、依頼も完了できる。


「ーあ!!」


 ーーしかし、世の中そう上手く物事は進まない。


「ヤバいッスー!」


 あと少しと言われ、緊張の糸でも切れたのか、油断してしまい、ヴィルトによる、黒い靄による攻撃がラエティアを掻い潜り、ネネムへと一直線に突き進んだ。


 ネネムは目を瞑り、魔力を溜めることに集中していて気づいていない。


 (くそ!こうなったら…)


 このままではネネムが危ない。自分の身を挺してでも守らなければ…


「ーー!?」


 だが、そんな考えはすぐに消え去った。


 突如、ネネムと黒い靄との間で淡い光が現れ、次の瞬間には黒い靄は霧散していた。


 (なんなんだ!?)


 先ほど起きたことについて、パクスは何が起こったのか分からなかった。


「た、溜まりました。ー皆さん!離れて、ください」


 すると、ネネムから魔法発動の合図が聞こえた。


 パクスは一端、考えるのをやめ、その場を退避した。


「せ、聖魔法 セイント·レイ」


 …………


「皆さん!大丈夫ですか」


 魔法を放った余波により、辺りは荒れてしまった。


 この場から離れるよう指示を出したつもりだが…巻き添えを喰らってしまったのだろうか。辺り一面に人影がない。


「そん、な…皆さん…!」


 自分がまた、やってしまった。そんな罪悪感がネネムを襲った。しかし…


「けほっ、おっほ」


「パクス様!」


「ああ。大丈夫」


 煙がはれると、パクスの【力】によって障壁バリアを張られそれにより守られていた仲間が見えてきた。


「よかった…」


「ーヴィルトは!?」


 煙がはれ、頭の中をよぎったのはやはりヴィルトだった。


 ヴィルトはネネムの魔法を喰らった位置で倒れていた。


「だ、大丈夫だと思います。呪いは解呪できました」


「よかった…」


 これにより、一件落着に終わった。


 …………………………………………………………………………………………     かに思われた。


 突如、突風が吹き、目に見えるほどの風がヴィルトを包み込んだ。


「な、なんスか!?」


 気づくと、ヴィルトは姿を消していた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る