闇を払うのはいつだって"光" 3

「お師匠様…」


 ラエティアには、パクスの言葉の真意が分からなかった。


「フゥゥゥー!」


 先ほどと同じ攻撃。しかし、パクスは障壁を展開しようとしない。


「お師匠様!?」


 パクスが動かない。このままでは、やられてしまう。ラエティアには訳が分からなくなった。


「ラエティア。大丈夫」


 だが、パクスは曖昧な返事をした。


 ヴィルトによる黒い靄による攻撃。動こうとしないパクスに直撃…とはいかなかった。


「ご無事ですか」


 突如現れた女性がヴィルトの攻撃をすべて弾いたのだ。女性はメイド服を着こなし、紫紺の瞳で二人の無事を確かめる。長い黒髪をお団子ヘアにまとめ、動きやすいようにしている。


「はぁはぁ、遅く、なって、申し訳、ありません」


「パクス様。大丈夫ですか?」


 メイド服を着た女性に遅れて、二人がやってきた。


 一人は村の女性を安全な所へと逃がすために離脱していたベレス、もう一人は、"聖女"の称号者、ネネムだった。


「ああ。タイミングいいね」


「やっぱり、何か起きていたんですね」


「ああ。助けて欲しい」


 パクスの合図により、助けを求めていると感じネネムはきた。つまり、先ほどのパクスの行動はSOSのサインということだったのだ。


「それでいったいどういう状況なのですか?」


「その前にお前さんのことを聞きたいが…」


「これについては後ほど」


「あ、分かりました。ーえっと、詳しく話すと、村の…」


「ー!!避けてください!」 


 パクスが話している途中に、ヴィルトが攻撃を仕掛けてきた。ベレスが咄嗟に避けるよう言ってくれたおかげで、回避に成功した。


「申し訳ありません。なるべく手短に」


「ー黒い靄で操られてる!」


 メイド服を着た女性の言葉で、パクスは手短に話した。


「黒い靄…呪いですね」


「分かったのですか!?」


 黒い靄というなんとも曖昧で抽象的な言葉だが、ネネムはすぐに原因が分かったようだ。


「呪い…?」


「はい。おそらく、呪いの一種かと…」


 呪いとは闇魔法の一種で、特殊な条件を元に発動するものだ。


「ネネムさん。ヴィルトを元に戻すことは?」


「聖魔法を使えば解呪できます」


 呪いは聖魔法によって解呪できるそうだ。


「よし。それじゃ俺たちはネネムを守りながら、時間を稼ぐぞ!」


「「はい!」」


「了解しました」


 パクスの合図により、ネネムはその場で魔力を溜め始めた。

 

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