闇を払うのはいつだって"光"
「アアアァァァーー!」
黒い霧にヴィルトは飲み込まれ、絶叫が響いた。黒い霧はまるで、闇を表しているかのように、光を一筋も通そうとしない。
「…………」
ヴィルトが叫んでも、パクス達は動こうとしない。
「……ーー!」
しかし、パクスは突如、右腕を空に向かって伸ばし、【力】を天へと放った。
「ーーウウゥゥゥ……」
ヴィルトの絶叫が止まり、低い唸り声を上げていた。姿は禍々しい黒い靄のようなものをまとい、目は赤く充血している。
まるで、飢餓状態の獣のように目の前の獲物を捕らえる目付きをしている。
「お師匠様…」
ラエティアは髪を緑色へと変え、不安の気持ちを露にした。
「…ヴィルト、大丈夫か?」
「グワァァーー!」
パクスの声掛けに、ヴィルトは叫び、襲いかかってきた。
「避けろ!」
パクスの声に、ベレスとラエティアは反応し避けることに成功した。
「くっ……」
ヴィルトの黒い靄の攻撃を避けたパクスは【力】を紐状へと変化、ヴィルトを捕らえる。
【力】の強度が強く、ヴィルトがじたばたと動いてもなかなかほどけることができない。
「お師匠様…」
ラエティアが髪の色をさらに濃い緑色にして、か細い声をだした。
「ーベレス!ヴィルトを眠らせれるか!?」
咄嗟に、ラエティアでは行動できないと思い、ベレスに声をかけた。それは、倒すのではなく眠らせること。パクスには暴走したヴィルトを助ける考えがあった。
「私には無理です!眠らせる魔法が…」
「くそっ!」
しかし、ベレスは眠らせることができる魔法を使えず、打つ術がなかった。
「グオオォォー!」
ヴィルトは長い時間待つわけがなく、じたばたと暴れた。パクスの拘束から逃れようと必死に。
そして…
「グアアァァァー!」
「ー!?マジかよ」
ヴィルトがパクスの拘束を逃れて、再び暴れだした。
「ヴィルト!落ち着け!」
パクスの中では、声をかけても無駄という思いがあったが…声を掛けずにはいられなかった。漫画やアニメではあるあるの思いがなんかやっと分かった気がした。
しかし、ヴィルトは反応せず辺りを破壊して暴れ回った。
「ヴィルト!お師匠様のことを無視するのは同じ弟子として許さないッス!」
すると、パクスのためにラエティアが髪の色を赤く染め、ヴィルトを蹴り飛ばした。
(すげー!)
蹴り飛ばされたヴィルトは森の中へとぶっ飛んだ。
「ー!?まずい!」
パクスは【力】を発動させ、速やかにヤバいと判断した。
「きゃー!!」
それはヴィルトが飛ばされた方向に、薬草採集でもしていたのか、一人の女性がいたのだ。
(くそっ!やるしかねぇ)
パクスは意を決して、覚悟を決めた。
「ヒーロータイム」
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