依頼

 パクスは称号者になり様々な依頼を受けていった中で自分の【力】のことについて、新しいことが分かった。




 それは、この【力】はスタミナのような、体力的なものと同じだということだ。




 修行をして、称号者になってからも依頼を受けながら、【力】を使ってきた。




 すると、昨日よりも、【力】を使える時間、量が多いことに気づいた。




 【力】を使えば使うほど、【力】がついていくことが分かった。




 体力も同じだ。自分の体を追い込んで追い込んで追い込んでいくと、体力や筋力がついてくる。




 まぁ、つまりパクスは称号者になる前となった後で強くなったということだ。




 …………




「ここ、か」




「はい。依頼がある村です」




 依頼が出された村に着くまで他にもいろんな魔物に襲われた。まぁ、すべて撃退したがな。




「…そこの者。何者だ!?」




 村の出入口と思える所で、見張り…門番のような役目をしている、槍を持った男が聞いてきた。




「どうも。称号者"英雄ヒーロー"です。依頼があると聞きまして参りました」




 何者と聞かれ、パクスは自分が称号者だということを、礼儀正しく、警戒されないよう伝えた。




「おお!称号者の方でしたか!村長の所へとご案内します。ついてきてください」




 すると、警戒なんか微塵もされず、すんなり案内してくれた。称号者って、結構有名なんだな。




 …………




「前から、魔物の動きが活発になり、時折村へと来ては作物を荒らされて困っておるのです」




 村長の所へと案内されたパクス達は今回の依頼の内容について詳しく聞かされた。




「どのような魔物なのか…分かりますか?」




「いえ。我々は魔物のこととなると疎くて…」




「そうですか」




 魔物の討伐に限らず、何かを行うときはそのことに必要な情報を得ることが大切だ。魔物はどういった奴なのか、大きさ、習性、特性などそういったことを知っておくことで"もしも"の時を防ぐことができる。被害の拡大を防ぐことができる。




 …………




「さて、それじゃあ、やるか」




 村長から大体の話を聞いたパクス達は村のあまり人気のないところで作戦会議(これといった作戦はないが)をしていた。




「こんな依頼、称号者である師匠なら余裕ですね」




「そうそう。お師匠様なら楽勝ッス」




 ヴィルトとラエティアは依頼内容について、軽視している。そんな二人にベレスは声をかけようとした。




 パクスが称号者となってから秘書として一緒に行動してきた経験からどんな依頼でも軽く見てはいけないことをしっていたからだ。




「ー!」




 しかし、ベレスが声を出すより、先にパクスが言った。




「お前ら、ふざけているのか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る