師匠と弟子

 久しぶりに会った、二人と話した後、パクスの元に、仕事である依頼がきた。




 その内容は、魔物の討伐といったことだ。




 称号者になってから、依頼として便利屋といえるようなことをしてきた。




 魔物の討伐、迷子の子の捜索、物の修理など…




 冒険者と同じようなことをしていた。




 またこういったことは、称号者だけでなく騎士団の人もやっている。




 今回の依頼の内容は、魔物の討伐だが、その魔物によって、被害にあっている村を救うことだった。




 パクスとベレス、ヴィルトとラエティアの四人は依頼の場所である所へと来ていた。




 …………




「ーーあたしがやるから、あんたは引っ込んでで!」




「いえ、僕がやりますからあなたが引っ込んででください!」




 依頼の場所へと向かっているとヴィルトとラエティアがなにやら口論をしていた。




 内容は、受けた依頼をどっちがやるか。




「なぁ」




「「はい!」」




 パクスが話しかけると、二人は口論をやめ、すぐにパクスの方へと向いた。




「お前らはなんで俺のことを師匠なんて呼ぶんだ?」




「なんでって…」




「思い出したんじゃ…」




「お前らと前に会ったことは思い出したが…ぶっちゃけ弟子入りさせたようなことはしていないだろ」




 パクスの記憶では、二人と出会い、会話をして仲良くなった。そんな思い出がある。…が、弟子入りという話はしていない。




「別に俺の弟子になる必要はないんだ。自分の目標にでも向かって歩んでいけよ」




「「…………」」




 パクスの言葉に二人は口をつぐんでしまった。


 


「いやです!」




「いやッス!」




 だが、そんなパクスの言葉に二人は強く断った。




「僕はこれからも師匠の弟子です」




「あたしも!」




「なんで…」




 二人は弟子をやめず、パクスの弟子で言い続けると言った。




「そんなの…」




 ラエティアが続きを口にしようとした時




「ーー!!」




 突如、魔物の気配が漂い始めた。




「これは…!」




「この気配…ただ者じゃありませんね…」




「ああ。そうだな…」




 直感ではあるが、【力】を発動させ感じた気配。その大きさから今まで出会った魔物の中でも強い方だと感じた。




「お師匠様…」




「来る…」




 ラエティアが髪の色を緑色へと変え、不安の気持ちを表した。その直後、ヴィルトが伝えた通り、横の茂みから、大型の魔物が現れた。




「グオオォォーー!!」




 現れたのは熊のような魔物だった。しかし、騎士団入団試験の時に遭遇した魔物よりさらに大きく、狂暴だった。




「…フレジーベアです!」




 フレジーベア。階級では、上級と言われている。特に目立った特徴はなく、とにかく狂暴であり、被害に遭ったという情報がある。




「師匠、気をつけてください!フレジーベアは上級に分類される魔物。弱点は…」




 とヴィルトは言い続けるが、そんな人をフレジーベアは待つはずもなく、襲いかから…………なかった。




 ヴィルトが言葉を発していた途中、フレジーベアは倒れた。




「え…?」




 何故倒れたのか分からずヴィルトは唖然としていた。




「行こうか」




 唖然としていたヴィルトと一部始終を黙って見ていた、ベレスとラエティアに向けて、パクスが言った。




 そんな中、ヴィルトは何が起こったのか分からなかった。




「お師匠様流石ッス!」




 ベレスとラエティアはパクスがやったということが分かっているらしい。




 見ると、フレジーベアの胴体に穴が開いていた。その穴は的確に急所を射ぬいていた。




 (これを…師匠が…?)




 上級の魔物とはいえ、倒すのに一撃というのは難しい。ランクが上の冒険者や称号者の者ではなければ不可能だろう。




「ー!そうか…」




 なにやら納得したヴィルトはパクスへと向き




「流石師匠!」




 と言った。その言葉にパクスは…




「称号者だからな」




 と返した。四人はそのまま目的地へと向けて進みだした。


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